手折られる花

文字数 930文字

しりうすさん 様作

───想像力を刺激される、文学的な物語。妄想すら掻き立てるエロスにも注目。

【物語の概要】

物語は主人公が、自分とは正反対の同級生に性交を迫ったことから始まる。彼は恐らく、主人公にとって特別な存在であるが、恋愛感情よりも好奇心や嫉妬、承認欲求などが勝るように見える。田舎という環境もあり、自分の気持ちと向き合うよりも先に、周りの目が気になり、相手からの好意や興味を待たれることに嬉しさを感じてはいるものの、自分に素直になる余裕はないという印象。


【凄く文学的な印象の作品】

一時期、日本文学にハマった時期があり、この作品を読み始めて田山花袋の”蒲団”。志賀直哉の”暗夜行路”がポッと浮かんだ。文体自体を指しているわけではなく、凄く文学的に感じる文章と構成、物語が印象的である。冒頭に『手折る』についての記述があることから、この同級生が『道端の花を手折る』という場面において、物語の裏側、もしくはもう一つの意味を想像してしまう。

それは何かといえば、『道端の花』=女性を指しているのではないか?
と思ってしまうことにある。
つまり、物語では確かにこの同級生は道端の花を手折っているが、実際は女性との性交を指しているのではないだろうか、と妄想してしまうのだ。見たままではなく、深く読んで真実を探す。それが文学である。

【登場人物の心情の推移】

自分が言い出したことに、おじけづく主人公。これは不思議な事ではない。男性は男性を受け入れるために作られた身体の構造をしていない。本心からの言葉であっても、冷静になれば怖気づくはずだ。それが未経験であれば、なお更。もちろん、自分には話す相手も彼しかいないのに、誰からも好かれる彼を興味を自分に向けられたなら優越感に浸れるという理由もあるだろう。自分の衝動的な言動的で、二人の歓迎が終わると思っていた主人公であったが、事態は思わぬ方向へと展開していきます。

連載中で、まだこの先どうなるのか分かりませんが、冒頭では現在から回想となっているので、いずれ現在の場面へ繋がると想像できる作品。続きがとても楽しみです。

あなたも是非、お手に取られてみてはいかがでしょうか?
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