三十年目の聖夜

文字数 1,210文字

紅と碧湖 様作

【あらすじ引用】
芝草は、ずっとそばにいる。

バツイチの瀧澤浩志にとって、高校からの腐れ縁、芝草瑛太郎はもっとも近しい人間だ。
彼の店でほぼ毎日夕食を摂っているし、週に何日か部屋にも来る。もともと信頼出来るヤツだったが、こんなに優しい男だと知ったのは離婚後のことだ。
憩いの時間をくれるのも、安心出来るのも芝草。こいつと出会えたことを心から感謝している。
ある年のクリスマスイブ。
ひと月ほど前から思い悩んでいたことに決着がついた日。いつもより遅い時間に店へ着いた。
いつも通り迎えてくれる芝草。しかし彼には、瀧澤とは違う想いがあった。

【物語は】
主人公が雪の中、ある店に辿り着くろころから始まっていく。それはクリスマスのことであった。物語が進むと、二人は高校時代からの付き合いであることが分かる。タイトルから、そこから30年目なのだろうか? と推測した。二人の関係に変化は訪れるのであろうか?

【瀧澤と芝草】
店の経営者である芝草は、一件キザに見えるもののしっかり者という印象。ちゃんと計画を立て、不確かなことよりも確かなものを選ぶ。それに対して、瀧澤は弱いところがある印象。離婚後だらしなくなったような感じは受けるが、人の本質は変わらない。元々人に頼らない人は、どんな状況になっても人に頼るという考えに至らないものなので、妻に甘えて生きていた部分があると思われる。

その後、離婚し恐らく何かのきっかけがあって、芝草に世話を焼いてもらうことになったのだろう。いつしかそこに居心地の良さを感じ始めている瀧澤。
30年目にして二人の関係が変わろうとしている。そういう展開なのではないだろうか?

【全体の感想】
後半は二人の営みの展開なので、そこまでの流れより。
現在があり、二人の関係が明かされていく。

クリスマスというのは、一年に一回しかない。その儚さをクリスマスの飾りの話で表しているように思い、面白いなと感じた。芝草の性格や考え方は、料理のくだりから経営に関してに移り変わり明かされていく。文字数に縛りがあり、削った部分があるという話から、無駄のない物語になっていると感じた。つまり、全て何かを表しているという事。それは性格だったり、考え方だったり、気づくことのない想いだったり。

きっと瀧澤は芝草の想いにずっと気づくことなく、この日まで来たのではないだろうか? そして、ふと自分に一番近い存在について考える。ターニングポイントを迎えた日。明確な言葉にはされていないものの、仕草や行動から芝草の気持ちが伝わってくる。果たして、瀧澤はどんな答えを出すのだろうか?

【二人のその後を妄想する】
ここからは、想像に過ぎない。
主人公である瀧澤は、少なくとも芝草に感謝しており、一緒に居たい相手だと思っていたに違いない。それが恋愛感情と違っていても。確実に特別な存在である。30年も友人として一緒におり、失えない相手ならば悪いようにはならないと思う。
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