第2話:魔法相談所開設(その16)

文字数 620文字

一方、廃墟ではひまわりが、なけなしの勇気を出して一人ペンダントを捜索していた。

昼間も廃墟は、不気味すぎる雰囲気をかもし出していたが、夜は暗さが加わったため、さらに気味悪さを引き立てている。

ひまわりは霊感は持っていないので、オバケとか幽霊等が実際に視えるわけではないが、それでも真っ暗な廃墟は不気味すぎてすぐにでもここから逃げ出したい気持ちでいっぱいだ。

それでも逃げないのは『依頼者のためにペンダントを見つけ出したい』という思いからである。

「人形は玄関に落ちていただけだから、ペンダントがある詳しい場所までは分からないんですよね・・・」

懐中電灯を照らしながら、1階、2階の全ての部屋を一通り捜索してみたが、一向に何も見つからない。

ひまわりは、今はすでに全く動かなくなった紙の人形に再び目を落とす。

「魔法をもう1回使ってみようと、人形に念じてみたけど何の反応もないです・・・。
なんであの時は動いたんだろう?」

どんどん不安になってくる。

動いたのは自分の力じゃなくて、風が吹いただけだったとか、魔法は発動したけど『追跡の魔法』じゃなくて、ただ単にここに落ちただけだったとか・・・。

かなりマイナス思考に入ってきたので、余計な雑念を振り切ろうと首を横に振る。

「ダメです、ダメです!
まだ探してない部分もあるんですから、もう一度捜索してみましょう!」

そう自分に言い聞かせ、床に落ちていた絵画を除けようとして手を伸ばした瞬間、シュッと何かが手の甲を横切った。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み