第2話:魔法相談所開設(その12)

文字数 794文字

突然動き出した紙人形を追いかけていくと、目の前に廃墟となった古い洋館の前にいつの間にかたどり着いていた。

赤い屋根と白い壁が童話に出てきそうな屋敷をイメージさせるが、今はその面影もなく、屋根はところどころ穴が開き、瓦の隙間から草がぼうぼうに生えている。

窓はほとんどガラスが壊れ、白い壁は今や汚れて灰色と化していた。

さらには、家の周りをカラスが大量に飛び回っているため、この廃墟を一層気味悪いものとしている。

紙人形は、まるで廃墟に引き寄せられたかのように「す~っ」と開いた窓から中に入っていってしまった。

その様子を見ていた2人は、門のところで立ち止まり、
「桐島くん・・・ここに入っていきましたよ・・・」
とひまわりが言うと、太陽はうなずき、
「ああ・・廃墟だな」
とつぶやく。

ひまわりは太陽の顔を見ながら、
「でもなんで、こんな空き家にペンダントが・・・?」
と聞くと、
「それはこっちが聞きたいよ。
おまえが紙人形をここまで飛ばしたんだろ」
と太陽が逆に質問してきた。

その時だ。

「おやおや!
すごいじゃないか!」

振り返ると、おばあちゃんが2人を追いかけて
息切れしながら走ってきているではないか。

「ばーちゃん!?なんでここに!?」

「人形が飛んでいくのが見えたから追いかけてきたんじゃよ!
ひまわりちゃんが飛ばしたのかい?」

そう聞かれてびっくりするひまわり。

「と・・・飛ばしたというか、なんかよく分からないんですが、念じたら急に動き出して飛んだというか・・・」

はっきりいって、なんで飛んだのかひまわり自身、よく分かっていない。

何か特別なことをした記憶もないし、気づいたら動いていたのだ。

それでも、おばあちゃんは「うんうん」とうなずき、
「いや~、さすがじゃよ!最初見たときから、並々ならぬ魔力を持っていると思っていたけど、やはりすごいよ、ひまわりちゃん!
これから鍛え甲斐がありそうだ!」
とひまわりの魔力を大絶賛した。
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