第1話:ひまわりと太陽(その5)

文字数 711文字

その日のお昼、屋上に何気にやって来たひまわり。

今日は快晴で、屋上の入口ドアを開けた瞬間、さわやかな風が吹き込んできた。

「ん~っ!さわやかです!
お昼寝でもしたい気分ですね!」

ぐっと体を伸ばして、ふと左を見た瞬間ギョッとした。

女の子が屋上の柵をまたいで、乗り越えようとしているではないか!?

「ダッ、ダメ~!ダメダメ!
早まっちゃダメです!」

あわてて女の子の体をガシッとつかむひまわり。

急に後に引っ張られた女の子はびっくりして、バランスを崩したため、2人は床にバタンと倒れこんだ。

「いたたたた・・・」

倒れこんだ女の子が、
「ちょっと何するのよ!
ハンカチを落としたから、向こうに取りに行こうとしてただけなのに!」
と言ったので、ひまわりはあわてて、
「そ・・・そうでしたか・・・すいません。
でも、柵を乗り越えるなんて危ないですよ」
と言いながら、女の子の顔を見てギョッとした。

確かこの子は!
そう、朝、桐島太陽に告白してふられた子だ!

びっくりして体が固まっていると、 屋上の入口の方から、
「ねーねー、知ってる?
今日の朝、太陽に告白してた子って1年3組の安井さんでしょ?」
「ほんと、バカだよね~。
あんなたくさんの人の前で告白するなんて考えられないわ。
もう完全に学年中にウワサも広まってるし」
と3、4人の女の子達がワイワイ騒ぎながらやって来た。

『本人いるのに!』

びっくりしたひまわりが、あわてて振り返ると、安井さんは今にも泣き出しそうな表情だ。

そして、
「わ・・・私だって・・・バカだって分かってたけど・・・
好きっていう気持ちが止まらなかったもん・・・。
だから、この気持ちを太陽くんに伝えただけなのに・・・」
と言うと、ポロポロと涙を流し始めた。
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