恋がしたいっ!③
文字数 1,123文字
ユウはたぶん、俺に好意を持ってくれている。まだ彼女の中でもボンヤリした状態のようだけど、それは俺の態度がハッキリしてないせいもあると思う。
俺はというと、勿論、ユウのことは気になってる。だけど、じゃあ付き合いたいかっていうと、そういうのとはちょっと違う気がする。もしも記憶を失っていなければ……いや、俺がもっとユウのことを見ていれば、二人は付き合ってたんだろうか?
「なーに言ってんだ俺」
思わず吹 きそうになった。ユウのことといい、河原 の子といい、俺、記憶喪失だぜ? なのに「好き」とかってなんだよ、おかしいだろ。
!?
「えっ、あ……」
ウワサをすれば、例の河原にいた子がすぐ目の前にいた。
マジか、同じ学校だったのか! しかも彼女のいる下駄箱は三年生の場所だ。年上! どうりで大人っぽいと思ったんだ。
すぐに名前も分かった。「アイ」と、彼女の友達が彼女をそう呼んでいた。ピッタリのいい名前だ。
まあ、彼女が同じ学校で、三年生で、名前がアイだと分かったところで、俺とは何の接点もないんだけどな。頭ではそう解 っていても、昨日見かけた彼女の印象が頭から離れない。
どうにも落ち着かず、休み時間の度に校内をうろついてしまった。
なんでもいいから何か話したい、キッカケがほしい。そう思った矢先、前からアイが歩いてきていた。
「!」
咄嗟 に体が隠 れようとする。
何やってんだ俺! 今「キッカケがほしい」って思ったばかりだろ! 逃げるな! それに……一度記憶をなくしてるんだ、これ以上失うものなんてないだろ!
俺は近付いてくるアイに勇気を出して声を掛 けた。
「あの……すいません」
「はい?」
「よ、よく河原の高架下にいますよね? 俺もあそこよく通るんで……」
だぁー! 何言ってんだ俺は!? 「よく」って、一度しか見かけたことないし、しかも、よく通ってたから話し掛けるってなんだ!? これじゃ不審者じゃねーか。
アイは驚いた顔で俺を見ていた。信じられない、といった表情だ。
やばい、なんか俺、まずいこと言ったのか?
「……まさか、君の方から声を掛けてくるなんてね」
「えっ?」
アイは俺を知ってる?
いやでも、それをそのまま聞く訳にもいかない。な、何て切り返せばいいんだ?
「えっとそれは、どういう意味ですか?」
濁 してしまった。
「ふーん」
アイから驚いた様子は消え、こちらを覗 き込むような表情に変わった。
「ねえ、それじゃ明後日のお昼に改めてあそこの高架下で話さない?」
「へ? あっ、はい!」
予想外の内容に、間の抜けた返事が出てしまった。
「決まり。じゃあ日曜のお昼2時に、高架下に来てね」
「は、はいっ!」
アイは足早に行ってしまったが、ひいき目にみても嬉 しそうだった。
俺はというと、勿論、ユウのことは気になってる。だけど、じゃあ付き合いたいかっていうと、そういうのとはちょっと違う気がする。もしも記憶を失っていなければ……いや、俺がもっとユウのことを見ていれば、二人は付き合ってたんだろうか?
「なーに言ってんだ俺」
思わず
!?
「えっ、あ……」
ウワサをすれば、例の河原にいた子がすぐ目の前にいた。
マジか、同じ学校だったのか! しかも彼女のいる下駄箱は三年生の場所だ。年上! どうりで大人っぽいと思ったんだ。
すぐに名前も分かった。「アイ」と、彼女の友達が彼女をそう呼んでいた。ピッタリのいい名前だ。
まあ、彼女が同じ学校で、三年生で、名前がアイだと分かったところで、俺とは何の接点もないんだけどな。頭ではそう
どうにも落ち着かず、休み時間の度に校内をうろついてしまった。
なんでもいいから何か話したい、キッカケがほしい。そう思った矢先、前からアイが歩いてきていた。
「!」
何やってんだ俺! 今「キッカケがほしい」って思ったばかりだろ! 逃げるな! それに……一度記憶をなくしてるんだ、これ以上失うものなんてないだろ!
俺は近付いてくるアイに勇気を出して声を
「あの……すいません」
「はい?」
「よ、よく河原の高架下にいますよね? 俺もあそこよく通るんで……」
だぁー! 何言ってんだ俺は!? 「よく」って、一度しか見かけたことないし、しかも、よく通ってたから話し掛けるってなんだ!? これじゃ不審者じゃねーか。
アイは驚いた顔で俺を見ていた。信じられない、といった表情だ。
やばい、なんか俺、まずいこと言ったのか?
「……まさか、君の方から声を掛けてくるなんてね」
「えっ?」
アイは俺を知ってる?
いやでも、それをそのまま聞く訳にもいかない。な、何て切り返せばいいんだ?
「えっとそれは、どういう意味ですか?」
「ふーん」
アイから驚いた様子は消え、こちらを
「ねえ、それじゃ明後日のお昼に改めてあそこの高架下で話さない?」
「へ? あっ、はい!」
予想外の内容に、間の抜けた返事が出てしまった。
「決まり。じゃあ日曜のお昼2時に、高架下に来てね」
「は、はいっ!」
アイは足早に行ってしまったが、ひいき目にみても