第15話

文字数 513文字

タトゥーはじっと待ち続けていた。彼の目覚める時を、ただひたすら。彼を見守り、その目覚めの時に、彼を、彼の地に導くことがタトゥーの務めだった。
今のところ、幸いにも彼の居場所は、誰にも知られていない。もし彼の居場所を探り、その眠りの邪魔をする者が現れれば、その者を排除しなければならない。タトゥーにとってそれは、気の進まないことではあった。
(…サイトからの知らせでは、既に何箇所かで異変が起こったとのこと。…しかし、早すぎる。彼の目覚めは、まだ先になる。)
眼を閉じたタトゥーの脳裏に、眠る彼とその傍らで彼を見守る少年の姿とが、浮かび上がってきた。
(彼の旅は、まだ始まったばかりだ。少なくとも後七日、…いや、後十目間は、時間が必要だ。)
タトゥーにとって、その目覚めを待つ時間は、永遠かと思われるようだった。
(…今はいい。異変はダクテュロス様たちのお能力で抑えられている。しかし、次に異変が起こったら…。)
遥かな惑星で旅を続ける彼の、一日も早い帰還の日をタトゥーは願った。
(どうか、正しい道をお選びになり、一日も早くお戻り下さい。)
小さく眩いたタトゥーは、眠る彼の周りに結界を張り直し、周囲に異状がないか点検すると、静かに気を消した。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み