第9話
文字数 564文字
ショーパブが休みの日、夜の繁華街へ翔が僕を連れだした。何処いくのかと思ったら、高級なしゃぶしゃぶ屋さんだった。
翔と出会ったあの後で、僕はウソをついたんだ。僕の家は貧乏で、お母さんがしゃぶしゃぶを食べたいって言いながら死んでいったってはなし……。そんなお涙ちょうだいの話をしたから、きっとそれに触発されて連れてきたのかもな。
翔は、それ本当? でも僕もしゃぶしゃぶなんて食べたのつい最近だもんな、なんて呟いていた。
そんな嘘をついて、罪の意識はないのかって? まあ、それを今頃になって思い出しては、いろいろ考えて、気が滅入ってるんだよ。
しばらくして、着物を着たお姉さんが僕たちのテーブルに来て、しゃぶしゃぶをつくってくれてね。で、その時、ちゃんとつくるところよく見みて覚えておくんだよって、翔が言うんだ。たしかにそうかもしれないな。めったに見れるものでもないんだからさ。
でも、こんな高級なとこで食うの始めてだったから緊張したよ。翔はワインを飲んで、僕みたいにガツガツしないで、女性みたいに食べていた。
ふと、坊やのお母さんも連れて来てあげたかったなぁ、なんていったから、おっとっと、すっかり嘘ついたことを忘れて食っていたから、ポン酢が鼻の奥にしみて涙がでてきた。僕は涙をゴシゴシふいた。
翔は僕を見つめ、濡れた瞳でかすかに笑っていたけ。
翔と出会ったあの後で、僕はウソをついたんだ。僕の家は貧乏で、お母さんがしゃぶしゃぶを食べたいって言いながら死んでいったってはなし……。そんなお涙ちょうだいの話をしたから、きっとそれに触発されて連れてきたのかもな。
翔は、それ本当? でも僕もしゃぶしゃぶなんて食べたのつい最近だもんな、なんて呟いていた。
そんな嘘をついて、罪の意識はないのかって? まあ、それを今頃になって思い出しては、いろいろ考えて、気が滅入ってるんだよ。
しばらくして、着物を着たお姉さんが僕たちのテーブルに来て、しゃぶしゃぶをつくってくれてね。で、その時、ちゃんとつくるところよく見みて覚えておくんだよって、翔が言うんだ。たしかにそうかもしれないな。めったに見れるものでもないんだからさ。
でも、こんな高級なとこで食うの始めてだったから緊張したよ。翔はワインを飲んで、僕みたいにガツガツしないで、女性みたいに食べていた。
ふと、坊やのお母さんも連れて来てあげたかったなぁ、なんていったから、おっとっと、すっかり嘘ついたことを忘れて食っていたから、ポン酢が鼻の奥にしみて涙がでてきた。僕は涙をゴシゴシふいた。
翔は僕を見つめ、濡れた瞳でかすかに笑っていたけ。