第14話

文字数 587文字

ああああああああああああああああああああ
オルロフの心の叫びだ。

爆睡している妖精は、まったくもって無防備だ。
おまけに鼻の頭が、赤くなっている。
少し口を開けて、すーぴーすーぴー寝息を立てている。

「俺は・・何を・・していたんだ!・・本当にバカだ・・」
オルロフは、ぐったりと人形になっているような妖精を抱え、天を仰いだ。
しばらくして、気持ちを落ち着けたオルロフは、慎重に妖精を抱きかかえ、ベッドに運んだ。
それから、寒くないように毛布でしっかりくるんだ。

一緒のベッドで眠ることで、絆ができる・・・
妖精はそう言っていた。
オルロフは隣に寝転んだ。
狭いベッドなので、しっかり抱きかかえないと、床に落ちてしまう。
毛布にすっぽりと埋もれるようにして、妖精はオルロフの腕の中で眠り込んでいる。

酒臭い・・
薬草リキュールは相当強い酒だから、そうだろう。
それでも・・・
大きな花束を抱きかかえているようで、この幸福感。
心の中に甘い気持ちが流れ込み、満たされていく。

「うん・・・」
妖精が寝返りを打とうとして、小さな声を出した。

3人の男と結婚するなんて・・・オルロフは強く抱きしめた。
明日、すぐに妖精を連れてこの国を出よう。
もし、妖精が難色を示したら、母親と直談判して、結婚を取り消すよう交渉しよう。
3人の男と決闘をしてもいい。

オルロフは、自分の胸に下がっているペンダントを握りしめた。
交渉材料は・・・ある。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み