第12話
文字数 1,821文字
はっと意識が戻ると「Xの絵画」の前だった。
「これが、最後の絵画「Xの絵画」です」
リリーはそう言って笑った。
『随分と余計な詮索をしたものだな』
声に驚き、階段の上「ディアボロ」の存在に気付く。カツカツと音を立てて、一歩ずつ階段を下って私たちに近寄ってくる。
ディアボロはコールに話していく。
「「ディアボロ」私は生前にそう呼ばれていた」
「どうして私の記憶を奪って絵画にしている?」
ディアボロは「お前のためだ」と言った。
「白々しい嘘を吐くな!」
コールの口調には「怒り」が感じ取れる。
「お前は私の記憶を奪ってこの邸に閉じ込めるつもりなんだろうが、そうはいかない。私は、自分自身を取り戻してきた。そして、間もなく全てを思い出すだろう。その後で、私はお前の支配を逃れてこの邸を出て行くさ!」
突如、ディアボロが笑い出す。
そしてディアボロは「忘れることは、お前にとって救いだったようだな」と告げる。その言葉は、口調は、皮肉めいている。
「何が「救い」だ。お前の「まやかし」だろう!」
「お前の考えていることと「真実」は違うものだ」
「その「真実」を見せてみろ」
「いいだろう。お前がそう望むのならば」
ディアボロがふっと煙のように消えたかと思うと、次にはコールの背後に立っていた。ディアボロはその手でコールの顔を掴んだ。
「どうした? その目で見るんじゃないのか?」
コールの顔を力づくで「Xの絵画」へ向けさせた。
「「Xの絵画」をお前に見せてやる。忘れていれば、真実を知らなければよいものを。さあ、見るがいい「Xの絵画」を」
真っ黒だった「Xの絵画」が次第に浮かび上がってくる。
コールが見たものは「豪邸の庭、ライオンの彫刻が見えるプールに浮かび上がった自分の死体」だった。銃で打たれているのか、プールの水には血が見える。その向こうに見えるのは「銃を持っている、愛する妹」だった。
愕然と、全てを覚ったコールは力のない声で呟く。
「そうだ「ディアボロ」は「私」だった」
ショックを受けたコールは呟いていく。
まるで光のない絶望の中に居るかのように「うつろな声」だ。
「私は、コールは「コール・ロックチップ」は、残酷な人間「ディアボロ」だった。唯一、妹のエミリアだけは愛していた。だが、私は他の誰も信用していなかった。私は妹に近寄ってきた存在を始末してきた。妹が私を憎しみ、恨んだ。そして最後には「私は、愛していた妹によって殺された」それが私だった」
「そうだ。やっと思い出したか」
ディアボロは、力のないコールに悪魔のように囁く。
「お前は「二つ名」を持っていた。それが悪魔のような男という意味の「ディアボロ」という二つ名だ。死後、お前の名前を覚えている者よりも「ディアボロ」という名前の方が覚えられていて、死後に魔力を持った。そして「コール・ロックチップ」の、本当の人格など、誰も覚えていなかった」
黒いハットを取ったディアボロ。
ディアボロは「コールと同じ顔」をしていた。
「お前ではなく、私が「ディアボロが主人格になった」お前は、私のもう1つのペルソナ。僅かに残っていた「善の心の一部」だ」
コールは深い絶望の前にその場に膝をつく。
無表情になったディアボロが告げる。
「さよならだ。間もなくお前は消えるだろう」
ディアボロの言葉でコールは「Xの絵画」の中へ吸い込まれていく。
「何故「Xの絵画」に何も描かれていなかったのか。それは「絵画であるお前が、絵画の中から出てきてしまった」からだ。驚いたが、出来ることならお前に何もせず、この邸に私と共存させておきたかったが。残念だよ」
コールが絵画に吸い込まれた後に「Xの絵画」は違う絵画になった。
最後に浮かび上がってきた絵画は「コールの悲痛な表情を浮かべた肖像画」だった。それこそが「Xの絵画」の真実であると。
ディアボロが踵を返して後ろを向く。
「灯りを消したまえ」
ディアボロのその言葉に私は焦った。
「待って。私はまだ」
ディアボロの言葉にリリーが答える。
「はい。かしこまりました」
リリーのその言葉で、邸の中の全てのカーテンが一斉に閉まって、電気は落ちる。そして邸の中は何もかもが暗闇に包まれた。
私の意識だけが消えずに残っている。
同時に、私は「この闇の中でどうすればいい?」と思っていると、声が聞こえてきた。誰かの声。その声が次第にはっきりしていく。
それと、振動音。車の中? 私は、今どこに居るのだろうか?
「これが、最後の絵画「Xの絵画」です」
リリーはそう言って笑った。
『随分と余計な詮索をしたものだな』
声に驚き、階段の上「ディアボロ」の存在に気付く。カツカツと音を立てて、一歩ずつ階段を下って私たちに近寄ってくる。
ディアボロはコールに話していく。
「「ディアボロ」私は生前にそう呼ばれていた」
「どうして私の記憶を奪って絵画にしている?」
ディアボロは「お前のためだ」と言った。
「白々しい嘘を吐くな!」
コールの口調には「怒り」が感じ取れる。
「お前は私の記憶を奪ってこの邸に閉じ込めるつもりなんだろうが、そうはいかない。私は、自分自身を取り戻してきた。そして、間もなく全てを思い出すだろう。その後で、私はお前の支配を逃れてこの邸を出て行くさ!」
突如、ディアボロが笑い出す。
そしてディアボロは「忘れることは、お前にとって救いだったようだな」と告げる。その言葉は、口調は、皮肉めいている。
「何が「救い」だ。お前の「まやかし」だろう!」
「お前の考えていることと「真実」は違うものだ」
「その「真実」を見せてみろ」
「いいだろう。お前がそう望むのならば」
ディアボロがふっと煙のように消えたかと思うと、次にはコールの背後に立っていた。ディアボロはその手でコールの顔を掴んだ。
「どうした? その目で見るんじゃないのか?」
コールの顔を力づくで「Xの絵画」へ向けさせた。
「「Xの絵画」をお前に見せてやる。忘れていれば、真実を知らなければよいものを。さあ、見るがいい「Xの絵画」を」
真っ黒だった「Xの絵画」が次第に浮かび上がってくる。
コールが見たものは「豪邸の庭、ライオンの彫刻が見えるプールに浮かび上がった自分の死体」だった。銃で打たれているのか、プールの水には血が見える。その向こうに見えるのは「銃を持っている、愛する妹」だった。
愕然と、全てを覚ったコールは力のない声で呟く。
「そうだ「ディアボロ」は「私」だった」
ショックを受けたコールは呟いていく。
まるで光のない絶望の中に居るかのように「うつろな声」だ。
「私は、コールは「コール・ロックチップ」は、残酷な人間「ディアボロ」だった。唯一、妹のエミリアだけは愛していた。だが、私は他の誰も信用していなかった。私は妹に近寄ってきた存在を始末してきた。妹が私を憎しみ、恨んだ。そして最後には「私は、愛していた妹によって殺された」それが私だった」
「そうだ。やっと思い出したか」
ディアボロは、力のないコールに悪魔のように囁く。
「お前は「二つ名」を持っていた。それが悪魔のような男という意味の「ディアボロ」という二つ名だ。死後、お前の名前を覚えている者よりも「ディアボロ」という名前の方が覚えられていて、死後に魔力を持った。そして「コール・ロックチップ」の、本当の人格など、誰も覚えていなかった」
黒いハットを取ったディアボロ。
ディアボロは「コールと同じ顔」をしていた。
「お前ではなく、私が「ディアボロが主人格になった」お前は、私のもう1つのペルソナ。僅かに残っていた「善の心の一部」だ」
コールは深い絶望の前にその場に膝をつく。
無表情になったディアボロが告げる。
「さよならだ。間もなくお前は消えるだろう」
ディアボロの言葉でコールは「Xの絵画」の中へ吸い込まれていく。
「何故「Xの絵画」に何も描かれていなかったのか。それは「絵画であるお前が、絵画の中から出てきてしまった」からだ。驚いたが、出来ることならお前に何もせず、この邸に私と共存させておきたかったが。残念だよ」
コールが絵画に吸い込まれた後に「Xの絵画」は違う絵画になった。
最後に浮かび上がってきた絵画は「コールの悲痛な表情を浮かべた肖像画」だった。それこそが「Xの絵画」の真実であると。
ディアボロが踵を返して後ろを向く。
「灯りを消したまえ」
ディアボロのその言葉に私は焦った。
「待って。私はまだ」
ディアボロの言葉にリリーが答える。
「はい。かしこまりました」
リリーのその言葉で、邸の中の全てのカーテンが一斉に閉まって、電気は落ちる。そして邸の中は何もかもが暗闇に包まれた。
私の意識だけが消えずに残っている。
同時に、私は「この闇の中でどうすればいい?」と思っていると、声が聞こえてきた。誰かの声。その声が次第にはっきりしていく。
それと、振動音。車の中? 私は、今どこに居るのだろうか?