第72話 焼きそば、チャオ!三重ン

文字数 1,013文字

「メシヤってあんな手の込んだ料理を作るのに、インスタントも大好物よね」
 料理意欲や健康志向が高まると、そんなジャンクフードは食べないとなりがちだが、メシヤは違った。

「いやあ、お腹を空かせた時に助けられてきたからね」
 その時の思いが、料理人としての原点である。

「災害の時にも即席麺は大活躍だ。俺も食いたくなってきたぞ」
 Hungry?

「メシヤ。日本のカップ焼きそばは種類豊富だけド、袋麺の焼きそばは少ないネ」
 エリは日本に来て、焼きそばパンの美味さに感激していた。

「そうですわね。日清焼そばの独擅場(どくせんじょう)ですわ」
 日清の即席麺業界でのシェア自体が、二位の東洋水産に売り上げでダブルスコアを付けている。

「何度も飢えを凌いでもらったから感謝しかないけど、確かにそうだね」
 子供が初めて作るインスタント麺は、出前一丁か日清焼そばではないだろうか。

「マルちゃんでもあるけど、ほとんど見掛けないわね」
 『焼そば』というド直球な商品名である。

「それなら『マルちゃん焼そば』があるからな」
 確かに、こちらの方が有名である。ちなみに、この味を再現したカップ焼そばも登場した。

「マルちゃんなら、やきそば弁当もありますわ」
 レマは自宅でこういうものを食べているのだろうか。

「ご当地焼そばのカップ麺も美味しいネ!」
 エリは地方へ行くと、必ず買うようにしている。

「U.F.O.よりペヤング派もいる訳だし、袋焼そばももっと種類が増えて良さそうなものだわ」
 1975年に各メーカーがこぞってカップ焼そばを発売した。国内初のカップ焼そばは、1974年の恵比寿産業が出したエビスカップ焼そばである。現在ナンバーワンのU.F.O.は、1976年と後発であった。

「袋麺よりカップ麺のほうが売り上げ好調って記事を見掛けたけど、それも関係してるのかな」
 『インスタント麺なんて誰が作っても同じじゃ無いの!』という台詞をマンガで目にするが、同じにならないのでカップ麺の売り上げが高いとも言える。

「お湯の量とか火加減とか入れるタイミングとカ、結構重要だからネ」
 より美味しいものを追求するエリは、このあたりの探究心も旺盛だ。

「マルちゃん焼そばは味付けが豊富に出ているが、賞味期限は製造日より15日間だ。フライの袋麺なら半年以上は保つ。こっちで各種の味を出せば、需要はあるんじゃないか」
 別で発売されているマルちゃん正麺 焼そば5食パックも存在するが、すでに入手困難となっている。



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登場人物紹介

奇特人間大賞・藤原メシヤ。

彼の元には、いつもハチャメチャが押し寄せてくる。

お転婆娘・安倍マリア。

ギャルであり、敬虔なシスター。

メシヤを止められるのは、マリアだけ。

江戸時代から脈々と続く、大手ゼネコンの御曹司、十九川イエス。

メシヤにとって無くてはならない、心の友。

イスラエルからの留学生・裁紅谷エリ(姉)。小柄だがフィジカルお化け。最初は身分を隠していたが・・・

同・裁紅谷レマ(妹)。エリは双子の姉。落ち着いているように見えるが、9マイル先のターゲットを錆びついたマシンガンで撃ち抜ける。

【東洋】あずまひろし。北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーにて勤務。ろくに学校も出ていないが、父親のスパルタ教育により、体だけは頑丈。後輩・キョン子に、なぜかなつかれている。

【西本願寺京子】京都の名門・西本願寺家の長女。学年的にはメシヤたちと同じである。躾の厳しい実家を飛び出し、北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーで勤務する。職場の先輩、東洋《あずまひろし》に、キョン子と呼ばれる。どうやらヒロシのことは以前から知っているようだが・・・。

【科納ニカル】かのにかる。科納エレクトロニクスの令嬢。子供向け番組『コンピューター・ニカルちゃん』で一世を風靡。ロンドンインペリアルカレッジを首席で卒業後は、神籬探偵事務所で助手を務めている。

【奈保レオン】なぽれおん。年齢、星籍不詳。メシヤと同じ1年G組に席を並べる。数学、歴史が得意。破天荒(誤用ではない)なメシヤの、良き理解者。

【ジェニー・オブライエン】人類史上最高峰の知性と評される宇宙物理学者。メシヤと日本贔屓。頭脳労働者のためか、結構な大食漢。研究所は大西洋の孤島だが、北伊勢市内にもよく出没する。

【必勝ミドル】ひちかたみどる。雲水翁の内弟子。凡庸な12歳であったが、五大所山の修行でメキメキと腕を上げる。先手必勝をモットーとする。

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