第59話 人の恋路を邪魔するやつは
文字数 661文字
メシヤたち以外の、一般的な高校生も登場する。名前はまだ無い。
「登場人物の女の子が全員ロングヘアなのよね。なんて言うか男の願望丸出しで、作者に気持ち悪さを感じたわ」
「だってこれは創作物でしょ? なんであんたの好みに合わせないといけないのよ」
少女Aの友人かどうかは不明だが、そばに居たBが反論した。
「表現の自由なんて紋切りの言葉を持ち出すまでもないけど、あんたがそうした洒落っ気の無い女性キャラを好きなように、彼には彼で好きなキャラがあるのよ。男も女もね。作家に嫌々書かせるようなことがあっては、文学界の大いなる後退と衰退だわ」
どうやら、文芸部員らしい。
「いかにもな美形でスタイルも良くて利発で楽しくて・・・。妄想の世界に住んでるのよね。こんな女いるわけないのに」
抱えている。かなり抱えている。
「あんたはそうじゃないキャラが好きなんでしょ? だったらそのポリシーを貫けばいいじゃない。だけど、他人がなになにを好きと言っていて『それは間違ってるからこういうものを好きになれ』だなんて、余計なお世話よ」
文芸部室が武道場になりそうな勢いである。
「私はね、こういう目立つ男子や女子ばかり取り上げられるのが、気に入らないのよ。もっとこう、控えめだけど芯のある子も・・・」
「誰々くんが好きとかそういう人間の本質的な部分にまで首を突っ込んで、土足で上がり込む気? あんたは博愛主義者なんかじゃないわ。ただそう言ってる自分が好きなだけなのよ」
「違うわよ!」
「あんたは同情心から人を好きになるの?」