第6話 投票でセパレートウェイズ

文字数 748文字

「選挙したって何も変わらないって言うけどさ」
 この物語では、15歳以上に選挙権が与えられている。

「確実に変わってるんだよね」
 SFほどではないが、政治にもいっちょがみしている。

「そんなもんかしらね」
 鷹山政権誕生で確かに変わってはいるのだが。

「二人候補者が居たとして、野党候補が当選したけど、当選議員の総数としては与党の圧勝だったり、そんなケースは確かにある」
「野党に投票しても大差で負けたら無力感を覚えるわね」
 集計法で陰謀論が囁かれているが、ここでは触れない。ベンフォードの法則が役立つことは述べておく。

「A候補とB候補とにそれぞれ投票した場合の人生を比較できるといいんだけど、実際歩めるのはひとつだけだから違いが分かりにくいんだ。でも絶対に異なる人生になる。政権交代が起こらなかったとしてもね」
 この仕組みが分かれば、逃票するのはもったいない。

「またSFじみてきたわね」
 呆れた物言いのようで、マリアの顔は興味深げだ。

「その意思決定が、何者かには届いてるんじゃないかな。人間のような存在ではないんだろうけど。こう、人生のレール上で、ターンアウトスイッチに差し掛かる瞬間なんだよきっと」
 一日を細かく見ても、人生は選ぶの連続だ。チョット考え物かも知れないが。

「どうだか。投票しなかった場合のルートも見ないとね」
 参加しないと、傘下になる。

 投票した候補者は落選したが、その人物が得意とする分野に自分の人生において関わり合いが出て来るという想像は働く。もっと微細な変化をあげればキリが無いくらいだ。

「あんたはもう誰に入れるか決めてるの?」
 国政では無く、地方選である。

「もちろんさ」
 メシヤが投票したくなる人物というのも気になる。


「あれっ? あの人、小池さんじゃない!?」
 投票場に、小池栄子♪


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登場人物紹介

奇特人間大賞・藤原メシヤ。

彼の元には、いつもハチャメチャが押し寄せてくる。

お転婆娘・安倍マリア。

ギャルであり、敬虔なシスター。

メシヤを止められるのは、マリアだけ。

江戸時代から脈々と続く、大手ゼネコンの御曹司、十九川イエス。

メシヤにとって無くてはならない、心の友。

イスラエルからの留学生・裁紅谷エリ(姉)。小柄だがフィジカルお化け。最初は身分を隠していたが・・・

同・裁紅谷レマ(妹)。エリは双子の姉。落ち着いているように見えるが、9マイル先のターゲットを錆びついたマシンガンで撃ち抜ける。

【東洋】あずまひろし。北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーにて勤務。ろくに学校も出ていないが、父親のスパルタ教育により、体だけは頑丈。後輩・キョン子に、なぜかなつかれている。

【西本願寺京子】京都の名門・西本願寺家の長女。学年的にはメシヤたちと同じである。躾の厳しい実家を飛び出し、北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーで勤務する。職場の先輩、東洋《あずまひろし》に、キョン子と呼ばれる。どうやらヒロシのことは以前から知っているようだが・・・。

【科納ニカル】かのにかる。科納エレクトロニクスの令嬢。子供向け番組『コンピューター・ニカルちゃん』で一世を風靡。ロンドンインペリアルカレッジを首席で卒業後は、神籬探偵事務所で助手を務めている。

【奈保レオン】なぽれおん。年齢、星籍不詳。メシヤと同じ1年G組に席を並べる。数学、歴史が得意。破天荒(誤用ではない)なメシヤの、良き理解者。

【ジェニー・オブライエン】人類史上最高峰の知性と評される宇宙物理学者。メシヤと日本贔屓。頭脳労働者のためか、結構な大食漢。研究所は大西洋の孤島だが、北伊勢市内にもよく出没する。

【必勝ミドル】ひちかたみどる。雲水翁の内弟子。凡庸な12歳であったが、五大所山の修行でメキメキと腕を上げる。先手必勝をモットーとする。

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