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文字数 1,533文字
悪魔だか破壊者だか知らないが、探しに行くならさっさと行きたいと僕は言った。じいさんとのんびり散歩なんかしている場合じゃ無いと思った。3月にはお別れ遠足があって、僕達6年生は隣の県の真田忍者村へ遊びに行く予定なのだ。そのイベントを僕はコメオ10割で楽しみたいと思っていたのだ。早く行かなくてはイベントに間に合わなくなる。
みんながエンジョイしているのに、僕の1/3だけ参加出来無いのは絶対に嫌だと思った。
「暫し待て。今、人事の最終調整をしておるからの」
老婆は言った。
「人事?」
「悪魔探しのメンバーじゃ」
「仲間がいるの?」
「当然じゃ」
僕はちょっと心強くなった。僕みたいに不幸な人間が他にもいるという事だ。
僕達は降って湧いたお互いの不運を慰め合う事が出来るだろう。
夜になって皆が寝静まった頃、犬小屋の前に一匹のコオロギがやって来た。
コオロギはころころと鳴きながら僕を呼んだ。
「ころころコメオ。ころころコメオ。鯉ヶ淵の弁財天社第一神使様がころころお呼びです」
「ころころコメオって何? 何気にムカつくな」
僕はぶつぶつとそう言いながら鯉ヶ淵の弁天様へ走って行った。
弁天様の社の前には一人の高校生がいた。
高校生は無駄にイケメンだった。彼の顔面偏差値を僕の顔面偏差値で割ったら商は二桁、そして余りあり、位のイケメンだった。
彼は不愛想に僕に頭を下げた。僕もお辞儀をして・・・「はっ」と気が付いた。
もしかしたら、この高校生が主人公?
えっ? 主人公は僕じゃ無いの?
しかし、このイケメン振り。これはまさに主人公のオーラを醸し出している。じゃあ、もしかしたら、このヒトが桃太郎で僕は家来の犬? やっぱ、犬?
「はあ・・・・」
僕はがっくりとした。がっくりとし過ぎてその場に倒れ伏しそうだった。
「ふざけんなよー!」
天に向かって叫びたい位だった。
「さて、勇者コメオ。仲間を紹介しよう。こちらへ参れ」
僕の気持ちなど一顧だにせず、弁財天組合の会長であらせられる鯉ヶ淵弁財天神使の鯉はそう言った。
「・・・キジとサルはどこにいるんだよ」
僕はそんな事をぶつぶつと言いながら二人の前にのろのろと歩いて行った。
「この者は狐である」
おばあは突然意味の分からんことを言った。
「狐?」
「そうじゃ。これは我らが弁財天組合の顧問であらせられる御山の地主神様の狐殿じゃ」
おばあがそう言って僕はイケメン高校生をじっと見た。
「狐です。宜しく。またの名をコンタとも言います」
高校生は真面目な顔でそう言った。そして頭を下げた。僕は彼の顔を見詰めた。
ギャグをかましている様にも見えない。・・・これは天然なのか?
僕も頭を下げた。
「コメオです。宜しく」
狐は犬耳の生えた僕の顔をまじまじと見ていたが、突然ぷっと噴出した。
僕はむっとした。
「御免、御免。すごく似合っているなって思って。ケータイの待ち受けにしたい位」
狐はそう言ってくすくすと笑った。
僕はむっとしたまま鯉のおばあを見た。そして「おばあさん。狐と犬と後は誰が来るのですか」と聞いた。
「キジとサルだよ」
狐が面白そうに言った。
「いや、亀じゃ」
「亀!?」
僕と狐は声を揃えて言った。
「か、亀?」
僕は聞き間違いかと思った。
これはある意味鬼退治である。悪魔をひっとらえて連れ帰るのだから。それなのに亀!
亀なんて何の役に立つの? 桃太郎がお前の従者は亀であると言われたら、彼は速攻鬼退治を止めていただろう。
僕は言った。
「亀なんか付けて貰っても困るんだけれど。大体ノロ過ぎる」
「亀なんて断固拒否します!」
「お前が背負って行けばよい」
「えー!! 無理」
「小さな亀じゃ」
僕は背中にカメを背負った自分の姿を想像した。
・・・・。
狐がまた噴き出した。
みんながエンジョイしているのに、僕の1/3だけ参加出来無いのは絶対に嫌だと思った。
「暫し待て。今、人事の最終調整をしておるからの」
老婆は言った。
「人事?」
「悪魔探しのメンバーじゃ」
「仲間がいるの?」
「当然じゃ」
僕はちょっと心強くなった。僕みたいに不幸な人間が他にもいるという事だ。
僕達は降って湧いたお互いの不運を慰め合う事が出来るだろう。
夜になって皆が寝静まった頃、犬小屋の前に一匹のコオロギがやって来た。
コオロギはころころと鳴きながら僕を呼んだ。
「ころころコメオ。ころころコメオ。鯉ヶ淵の弁財天社第一神使様がころころお呼びです」
「ころころコメオって何? 何気にムカつくな」
僕はぶつぶつとそう言いながら鯉ヶ淵の弁天様へ走って行った。
弁天様の社の前には一人の高校生がいた。
高校生は無駄にイケメンだった。彼の顔面偏差値を僕の顔面偏差値で割ったら商は二桁、そして余りあり、位のイケメンだった。
彼は不愛想に僕に頭を下げた。僕もお辞儀をして・・・「はっ」と気が付いた。
もしかしたら、この高校生が主人公?
えっ? 主人公は僕じゃ無いの?
しかし、このイケメン振り。これはまさに主人公のオーラを醸し出している。じゃあ、もしかしたら、このヒトが桃太郎で僕は家来の犬? やっぱ、犬?
「はあ・・・・」
僕はがっくりとした。がっくりとし過ぎてその場に倒れ伏しそうだった。
「ふざけんなよー!」
天に向かって叫びたい位だった。
「さて、勇者コメオ。仲間を紹介しよう。こちらへ参れ」
僕の気持ちなど一顧だにせず、弁財天組合の会長であらせられる鯉ヶ淵弁財天神使の鯉はそう言った。
「・・・キジとサルはどこにいるんだよ」
僕はそんな事をぶつぶつと言いながら二人の前にのろのろと歩いて行った。
「この者は狐である」
おばあは突然意味の分からんことを言った。
「狐?」
「そうじゃ。これは我らが弁財天組合の顧問であらせられる御山の地主神様の狐殿じゃ」
おばあがそう言って僕はイケメン高校生をじっと見た。
「狐です。宜しく。またの名をコンタとも言います」
高校生は真面目な顔でそう言った。そして頭を下げた。僕は彼の顔を見詰めた。
ギャグをかましている様にも見えない。・・・これは天然なのか?
僕も頭を下げた。
「コメオです。宜しく」
狐は犬耳の生えた僕の顔をまじまじと見ていたが、突然ぷっと噴出した。
僕はむっとした。
「御免、御免。すごく似合っているなって思って。ケータイの待ち受けにしたい位」
狐はそう言ってくすくすと笑った。
僕はむっとしたまま鯉のおばあを見た。そして「おばあさん。狐と犬と後は誰が来るのですか」と聞いた。
「キジとサルだよ」
狐が面白そうに言った。
「いや、亀じゃ」
「亀!?」
僕と狐は声を揃えて言った。
「か、亀?」
僕は聞き間違いかと思った。
これはある意味鬼退治である。悪魔をひっとらえて連れ帰るのだから。それなのに亀!
亀なんて何の役に立つの? 桃太郎がお前の従者は亀であると言われたら、彼は速攻鬼退治を止めていただろう。
僕は言った。
「亀なんか付けて貰っても困るんだけれど。大体ノロ過ぎる」
「亀なんて断固拒否します!」
「お前が背負って行けばよい」
「えー!! 無理」
「小さな亀じゃ」
僕は背中にカメを背負った自分の姿を想像した。
・・・・。
狐がまた噴き出した。