第23話 フィーバーでハプニング ~回復の呼吸~

文字数 1,608文字

あまり知られていない驚愕の体調回復法がある。
それを実行することでかなり役立つことがある。

オーストラリア滞在中のこと。
一度だけ体調を崩したことがある。
旅において体調管理は最重要課題であるが、不覚にも体調を崩してしまった。
普段は風邪すら引かないというのに……
妙な寒気がして、身体も怠いし、頭も痛い。
これでは楽しい旅が台無しになってしまう。
せっかくのオーストラリアの旅、1日たりとも無駄にはできない。
これはなんとか自力で最速で治すしかない!
「なんとか体調を良くする方法はないだろうか……」
そんな時、ふと浪人時代に予備校で聞いた話を思い出した。
漢文の講師の先生が話してくれた話だった。それは……
――酸素を多く吸入するとテストの偏差値が上がる!
なんとも新鮮な酸素を多く吸うと頭が良くなるというのである。
そんなことが本当にあるのだろうか?
先生の話によると『血中の酸素濃度が上がると脳が活性化して、記憶力や思考力が増す』というのである。
さらには『体調不調も血中の酸素量を増やすことで改善出来る』と言っていた。
つまり、深呼吸をして多く酸素を吸えば、体調不調が改善されるというのである。
何もしなければ、このまま。この方法で改善されるのであれば、やってみる価値はある。
せっかくの楽しい旅。何が何でも回復したい。
私はこの方法を実行してみることにした。
――よし、やってみよう!
「深呼吸で酸素をたくさん取り込むぞ」
しかしながら、普通の深呼吸では十分とは言えないだろう。
さらなる効果を期待して、この方法にアレンジを加えてみた。
「よし、こうしてみよう」
ベッドに仰向けになり、身体をリラックスさせ、深呼吸をする。
息を吸う時には「黄金の光に満たされた極上の空気」を吸い込み、息を吐く時には、「どす黒く汚れた空気」が身体から出ていくイメージをしてみた。
息を吸う時は「良い空気」、吐く時は「悪い空気」。
単純な発想である。要するに「福は内、鬼は外」である。
これをしっかり実行すれば、血中の酸素濃度が高まり体調が改善されるはず。
「せっかくのオーストラリアの旅、なんとしてでも治すぞ!」
その思いで、この作戦を真剣に実行してみた。
――ス――ハ――、スー―ハ――、
金色の新鮮な空気を吸い込み、黒く汚れた空気を吐き出す。
とにかく、これを大真面目に真剣におこなった。
この呼吸法、思いのほか気持ち良く、なんとなく効いているようにも感じる。
ところが……なんと!
――30分程で完治した!
驚愕である!なんとも、この呼吸法で体調が完全に改善されてしまった!
「ま、マジかよ……」
頭が痛かったのもスッキリ治り、身体の怠さもなく、完全に体調が回復したのである!
一番驚いたのは私自身。
――超能力者かよ!
思わず自分にツッコミを入れてしまった。
「ま、まさか、こ、こんなことが……」
恐るべし『福は内、鬼は外の呼吸』。てきめんの効果を発揮した。
予備校の先生の話は本当だったわけである。
体調を崩したことは広沢には話していない。
広沢に余計な心配を掛けたくなかったからである。
それに、この楽しい旅の為、絶対に自力で最速で治すと決めていたからである。
正直、まさかこのような方法で完全に体調が回復するとは思ってもみなかった。
予備校講師の言葉を元に思いつきでやってみた方法である。
――『福は内、鬼は外の呼吸』
この呼吸法のおかげで、私は楽しく旅を続けることが出来たのである。

まさかと思いつつも実行してみて良かった。
可能性のあることは実行した方が良いと学んだ。
そうである。

――じつのところ誰の人生にも「まだ見ぬ驚愕の方法」が無限にある

旅はそれを私たちに教えてくれるのである。

次回、私たちはアデレードの街でハプニングを体験することとなる。

【旅のワンポイントアドバイス23】
旅で体調を崩した時には『福は内、鬼は外の呼吸』を鬼滅の刃の炭二郎になった気分でやってみる。この呼吸法を実行すると体調を回復することが出来る。


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