第十三話「最終回の最終回」

文字数 1,305文字

記憶が会話が断片的に頭の中で突き刺さっているようだ。


いい加減な構成の演劇を見ているようだ。

終わらせなくっちゃいけない。


美緒さんが駆けつけた時にはもう、瞳ちゃんは跡形もなく消えていた。

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(回想始まり)



上体を抱えて起こすと瞳は笑っていた。

へへ、なによバカチン。大きな声出して・・・。

まるで瀕死のヒロインを介抱するみたいじゃない。

瞳、お前消えちまうんだろ。

そう、この回で私は消える、っていう設定

設定、、、

怖かった。毎日毎日、消えてしまう夢を見るの、、、


だからあたしあんたが憎かった。

終わらしてやろうって、美緒って子もイジメて、でも。

終わりたくなくなっちゃった。

そう思った時にはもう遅いものね。


楽しくなっちゃった。裸足になってくれたこと、名前をくれたこと

携帯電話が鳴る。

もしもし、今着いたわ!

もうダメです。瞳ちゃんが、、、

水島君、あなたはこの物語の主役。もしかしたら瞳が消えるって設定をいじれないかしら。あなたが覚醒していればそれができるかもしれないの。

そんなことできるわけがない。

主役、、、主役は。瞳ちゃんだよ。

バ、、、カ、、、

瞳っ・・・・・

・・・・・

・・・・もうちょい行けそうだから、もっと頂戴。

バカ・・・

瞳は消えた。

ーーーーーーーーーーーーー

(回想終わり)

もう、なにを言っても始まらない。

受け入れるの・・・・


私たちは、いやあなたは長い長い予告編をここでやっているに過ぎないのかもしれないわ。

生まれるの、あなたは。

俺が、いけないんです。

あなたは宇宙の始まりと同じくビッグバンのトリガーだったの

そのパッションから始まった話じゃない。

それ自体はいけないことではないわ。


伝えていことはぼんやりと見えているはず。

あとは時間と滋養と、少しばかりの運命を必要とするわ。

次の段階へは、、、だいぶ前から始まっていましたね?

その栄養を他に取られてしまうからさらにこちらは支離滅裂になった。

「実存とは、こうして生成することなの。」

失敗、躓き、

卑しまれ蔑まれるような物語にこそ、実存のキーがあるんじゃなくって。

出会えるといいわね、本当のあなたに。

あなたが伝えるべき、こと。

伝わるといいわね。


いえ、伝えなさい。


価値観を揺さぶるものを。

ふふふふふふ・・・・

・・・!!

・・・!!

じゃーーーん!!終わりと思ったら大間違いよ、おバカちん!

ひ、瞳、ちゃん?


いったいなぜ?・・・

私が説明するわ

じゃーーん!!

結城美緒・・・

仮面ライダーだって最終回は歴代ライダー総出のなんでもありなんだから、なんでもありよ!

あんたなによ!私の見せ場に出てこないでよね!

設定の改変が行われたの。前の話の時に覚醒した水島さんは主役であることを瞳ちゃんに譲渡したの、その瞬間瞳ちゃんは主役となり

主役は死なんのだ!!!

そんなのありか?

ありもありあり、大アリクイよ!覚醒が発現すればこれくらい昼飯前なの、ダイエットで一日一食中なの!

まあ、主役が生き返るってのはちょっとベタだったかしら。

そもそもベタってのは王道で、王道を踏まずに奇をてらおうとする卑しい心が水島みたいな

と、いうわけでワイワイしてますが、今回はこの辺で。


次回「おまけ」に続きます

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登場人物紹介

名前「水島義男(みずしまよしお)」

中二病を病み続ける男。

哲学者キルケゴールの存在を知ったときに自分は彼の生まれ変わりだと信じてしまい絶望に身を投じる。


名前:セーレン・キルケゴール(アイコンは作者描いてます)

実在したデンマークの哲学者。

著書「死に至る病」が有名。

実存哲学の巨匠である。愛した女性レギーネ・オルセンの婚約を突如破棄し、絶望の中から哲学を探求し続けた。

名前:結城美緒(ゆうき みお)

水島にとって、すべてをかけて愛したという最愛の人。


キルケゴールの著書

名前:竹林香織(たけばやし かおり)

通称「かおちん」

パチンコ屋の店員で結城美緒の親友


女の子

覚醒レベル「サード」の覚醒者

水島義男の物語を向かわせるべきところへ導こうとする

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