第一話「絶望殺し」

文字数 1,135文字

さて、自己紹介が遅れた。


俺の名前は『水島義男(みずしま よしお)』

そして、ただそれだけの男だ。

水島は目を閉じ、少しだけ間を置いた。

大学も出てない。貯金も資格もなけりゃあ、王家の血筋も引いていない。

あんたがこれを読んでくれるまで38年の人生を惨めに生きてきた。

さぁ、早いとこキルケゴールを倒しに行くんだ。


ただでさえファンタジーの欠片も見えない話っぽいから

早いとこクライマックスまで行ってしまおう。

水島は天を仰ぐようにして上を見上げた

俺の世界の神様はこの物語の作家ってわけだろう。

このグータラ人間が最後まで話を書いてくれる保証はないんだ。


なんならこのラノベだって新人賞の募集に目がくらんで突然書き始めたものに違いない。

一万文字から簡単に応募できるよ、ってうたっているが一万文字が俺の神様にはどれだけ長い道のりか。

だからあんたの応援が必要なんだ。

あんたが新人賞の選考委員ならより一層その意味はデカい。

なに?そんな語りは反則だって?!

おいおい、ライトノベルの剣と魔法とアホ毛ドジっ子娘の方がよっぽど反則なんじゃないか?


こっちは38年間長ーい人生這いつくばって生きてきたんだ。

地べたに胡坐をかき、膝に手のひらを勢いよく乗せた。

このフィクションにひとつだけ魔法が赦されるなら

どうか「現実を巻き込ませてくれ」

先にカラクリをバラしちまったけれど、なにも

表現技法として、新しいわけじゃあない。


ただ、俺はキルケゴールを倒すために

すべての新しい技を出し惜しみなんかしはしないってだけだ。

ただでさえやつは現実を生きた人間なんだ。

こんな希薄な存在でしかない俺があいつをやるには手段なんか選んでられない。

水島は大きく息を吸い込んだ。そして呟くように言う。

やってやろうぜ、絶望殺しを

水島はゆっくり立ち上がりながらしゃべる。

なんてな、カッコつけは終わりだ。ごめん、今のは少しだけ引っ張って文字数稼いだ、、稼げてないけどな。

あー、、映画の予告編だったら、今の台詞を抜いて使う…そんな感じだ…ってどんな感じだ。

あいつの操る絶望はそんな単純じゃない。

…さぁ、薄っぺらい俺自身の説明は終わりだ。この俺を薄っぺらくさせたあいつを倒すための説明をしよう。

と言いたいところだが、ここは、どこだ?

なんとかならないか。

薄暗いライトの下で一人芝居みたいに語り続けてこの物語は進行するのか?

場面転換だ。ライトを落としてくれ!
灯りが消え、真っ暗になる。

痛っ!

おい暗くて見えないぞ!どこなんだよ、ここは!!


なに?

は?

終わり!!?

ちょっと話進んでないぞ!

と、いうことで次回に続きますっ!


プロット作りも難航しているようで、水島さんの先が思いられます。

きゃっ!急に電気っ…

ちょっと…そういうのは登場人物にやらせて話を進めてくださいっ!

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登場人物紹介

名前「水島義男(みずしまよしお)」

中二病を病み続ける男。

哲学者キルケゴールの存在を知ったときに自分は彼の生まれ変わりだと信じてしまい絶望に身を投じる。


名前:セーレン・キルケゴール(アイコンは作者描いてます)

実在したデンマークの哲学者。

著書「死に至る病」が有名。

実存哲学の巨匠である。愛した女性レギーネ・オルセンの婚約を突如破棄し、絶望の中から哲学を探求し続けた。

名前:結城美緒(ゆうき みお)

水島にとって、すべてをかけて愛したという最愛の人。


キルケゴールの著書

名前:竹林香織(たけばやし かおり)

通称「かおちん」

パチンコ屋の店員で結城美緒の親友


女の子

覚醒レベル「サード」の覚醒者

水島義男の物語を向かわせるべきところへ導こうとする

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