第十二話「最終回 その3」
文字数 1,693文字
夢を見た。
鏡を見たら豚になっていた。他人にはどう見えているのかわからない。怯えながら外に出るといつものように世界は同じ手も足も人間のように生えているけれどガラスに鏡に映る自分の姿だけがどうしても、豚なのだ。
ベッドの上で横になっていた。
美緒さんは温かいスープを僕の前に差し出した。
そうだ。
「名前を当てて」という彼女を前にして俺は。
そう、そしてそのまま意識が遠のいて・・・・。
気がつけばこうしてベッドの上。
瞳は俺の腕を引っ張り力づくで玄関に行かせようとする。
靴を履き紐を結ぶ瞳。
強引に押し切られて俺たち二人は電車に揺られて遊園地に着いた。
電車の中でも遊園地でも、瞳ちゃんははしゃぎ続けた。振り回されながらも、きらきら光る瞳を見ているのは悪くなかった。
足をブラブラさせてベンチに座りソフトクリームを舐める瞳。
絵に描いたようなそれ、だ。
いい天気だ。
携帯電話が鳴った。
水島君?・・・今どこにいるの・・・
やっぱりね。今そちらに向かうわ。瞳にはなにも言わないで!
あの子は必ずもっと遠くへ行こうとするはずよ。
あの子はもうすぐこの世界から消えるの。
そう、消える・・・っていう設定なの。
そう。登場人物の紹介を見れる?
瞳は今どうしてる?
瞳は俺の腕を掴み引っ張る。
次回 第十三話「最終回の最終回」に続く