第十一話「最終回 その2」

文字数 1,685文字

あの・・・・あなたたち・・・・
・・・
・・・・
靴を履きなさい・・・・
俺は、この小娘に連れられて小さなカフェに入った。

まるでキリスト教の教会のようなステンドグラスの窓にテーブルの上の蝋燭(ろうそく)立てが静謐な雰囲気をたたえている。

それにしても、いよいよね。
いよいよ?・・・なにがです?
コーヒーはブラックでも深みのある味わいで上質な、気がする。

なによりカップがゴツゴツした肌ざわりが手造りのようで、この一杯がここにしかに存在感を認識させた。

この連載もずいぶんと間が空いて、いよいよ、行き詰っているってこと。

これはよくないわ。

あんたがモタモタしてるからよ!

あたしと姉さまが何とかするんだから!


もう、あんたどんどん鈍くなってくわねっ!

こ、こいつ・・・・
無理もないわ。

今、いくつもの要素が絡み合ってより進まない状態になっている。


ここは「カオスフィールド」と呼ばれるなんの秩序もなく前にも後ろにも進めないものになっているわ。

カオス・・・
カオス・・・じゃないわよ!

バカオスね!

オウム返ししかできない主人公なんて降板だわね。


あんたほんとに覚醒してんのかしら、怪しいわ!

瞳(ひとみ)。

そのくらいにしておきなさい。


彼は覚醒しているわ。

あなたの名を言い当てたのだから。

・・・・・・・・・・。
蒼井瞳。

あてずっぽうに言った彼女の名前は当たっていたのだろうか。


彼女の眼に涙が溜って今にも零れ落ちそうだ。

壊れそうな不安定な心は直視できないくらい不憫に思えた。

あんたねぇ!・・・・もう、いいわ。

ちょっとトイレ・・・じゃなくて、

えーと、わら人形であんたの心臓ぶったたいてくる!!

蒼井はバタバタと走って奥の通路に消えた。
ふふ・・・悪く思わないでね。

可愛い子でしょ。動揺がわかりやすい。


で、話は戻るけれど、とにかく急を要するの。

そもそも、この小説は実験小説。本当に書くべきものが書けるかどうか、そのリハビリでもあり、あわよくばこれ自体をそれにできれば最高だったの。
だが、それは目的を果たせなかった。

だから放置されている、と。

そう。

ではズルいことを言うわ。

この小説で言おうとしていることは

「起承転結」の器では語れないの。

物語の構築よりも伝えたいものがあるからそれが先に来るの。


だから、もしかすると物語の体を為さないかもしれない、というか現にこれがそのままカオスフィールドになっている。

実はその先に何もなかった・・・・という場合も考えられるわけですね。


すいません、なにもありませんでした、と・・・

ふふ・・・さすが覚醒者。鋭いわね。


そう、まさに現にそれがこの状態、ともいえるわね。


でも安心して、あなたはいくつかの形を持って生まれ変わる

生まれ、変わる・・・?


いや、なんとなくわかる。リビルドされるわけですね。再構築・・・

ふふ・・・勘を取り戻してきたわね。

そう、この小説は失敗だったとしても意味がなかったわけじゃない。



そこで伝えるべきメッセージを伝えられれば良い、、、そういうことか。
と。・・・・突然目の前が真っ暗になった。
イテテテテ!!!
俺の顔面にぶつかって来たのは俺の写真付きのわら人形だった。
あわわわわ、ごめんなさい!


わら人形にチマチマ心臓くぎ打つよりも、それで直接あんたをぶんなぐってやろうと思って!!!

瞳。

ありがとう。

あ、、、ありがとうってなんですか!


お、俺、暴力受けてるんですよ!!

あんた、なに姉さんに突っかかってんのよ!!!!
水島君!


私の名前、当ててみて・・・・わかるはずよ。

はいっ!と今日はここまで
はー、呆れた。あんたまだここにいたの?
私は逃げないわ。薄っぺらい私は薄っぺらいなりにこのコーナーに命を注いでるの

(; ・`ω・´)

やめてよね、

私、完全に悪者で、負ける展開じゃないの

・・・ごめんね。

それなりに時間があったから考えちゃったの。変よね、私、薄っぺらいのに(;'∀')

次回第十二話「最終回 その3」!!!でお会いしましょう!!
・・・・・・・・・・・
どう?命を賭けたコーナー奪っちゃった
ふふふふふ・・・・可笑しい・・・・(*´ω`)

はい、ではまた次回!(`・ω・´)ゞ

なに?・・・負けてないからね。
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登場人物紹介

名前「水島義男(みずしまよしお)」

中二病を病み続ける男。

哲学者キルケゴールの存在を知ったときに自分は彼の生まれ変わりだと信じてしまい絶望に身を投じる。


名前:セーレン・キルケゴール(アイコンは作者描いてます)

実在したデンマークの哲学者。

著書「死に至る病」が有名。

実存哲学の巨匠である。愛した女性レギーネ・オルセンの婚約を突如破棄し、絶望の中から哲学を探求し続けた。

名前:結城美緒(ゆうき みお)

水島にとって、すべてをかけて愛したという最愛の人。


キルケゴールの著書

名前:竹林香織(たけばやし かおり)

通称「かおちん」

パチンコ屋の店員で結城美緒の親友


女の子

覚醒レベル「サード」の覚醒者

水島義男の物語を向かわせるべきところへ導こうとする

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