第十一話「最終回 その2」
文字数 1,685文字
俺は、この小娘に連れられて小さなカフェに入った。
まるでキリスト教の教会のようなステンドグラスの窓にテーブルの上の蝋燭(ろうそく)立てが静謐な雰囲気をたたえている。
コーヒーはブラックでも深みのある味わいで上質な、気がする。
なによりカップがゴツゴツした肌ざわりが手造りのようで、この一杯がここにしかに存在感を認識させた。
蒼井瞳。
あてずっぽうに言った彼女の名前は当たっていたのだろうか。
彼女の眼に涙が溜って今にも零れ落ちそうだ。
壊れそうな不安定な心は直視できないくらい不憫に思えた。
蒼井はバタバタと走って奥の通路に消えた。
この小説で言おうとしていることは
「起承転結」の器では語れないの。
物語の構築よりも伝えたいものがあるからそれが先に来るの。
だから、もしかすると物語の体を為さないかもしれない、というか現にこれがそのままカオスフィールドになっている。
と。・・・・突然目の前が真っ暗になった。
俺の顔面にぶつかって来たのは俺の写真付きのわら人形だった。