第七話「本当の自由」

文字数 1,788文字

くそっ!一体どうなってる!!

アメリカのドラマや映画でよくある、飲み込めない設定シーンに対してイラつく登場人物の気持ちがよくわかる

次の話の合間にまた動けるようになったんで街をウロウロしていたんだ。


動ける、けど電車はいつまでも人身事故で止まっているから遠くへは行けない。

そして、、、パチンコは打てる。

でも、ぜんぜん出ない・・・


ガチャガチャで損してこっちでも大損だ。

結局、カードローン限度額いっぱいまでお金をすってしまったラノベの主人公


いったいいつになったら話は進む?

この小説、ぜんぜん、先のこと考えてないんじゃあないかな、

某、国民的アニメのように

永遠の命は欲しいけれどそれは理想の家族を持ってから、にして欲しいな。

ハムスターのように俺を飼うのもいいが

もう少し面白い遊具を置いてくれ。

ゆっくりと歩き始める水島。

人は自由の刑に処せられている、とはサルトルという哲学者の言葉だが、

自由とはなんだ?その刑を減刑させるにはどうしたらいい?

秋葉原に来たのには意味があるのだろう。

元々は俺が秋葉原というものをどこまでも価値観を開放する自由を超人に見立てようと思って訪れた

価値の価値転倒を試み、

秋葉原は自由だが、本当に自由なのか?

現実に牙を剥いている向いているように見えて経済活動に色濃く左右される水物のような文化。


だが、その中にも立派な自由な思想がある、というのが前回のお話だった気がするが、じゃあどうやってそれを伝えるか。

そんな未熟な思想どこにもない、と言われるだろう。

果たしてそれもそうなのか。今やコミックマーケットの大群衆に見られるように一つの大きなコミュニティとして階級闘争できるレベルの連帯が、もうなんだかわからないが出来ているではないか。

ちなみになんでも「党」というものを持つほどでないと階級という段階まで来られないらしい。これ、本屋で哲学書を立ち読みしている知識の受け売りだ。


消費活動の先になにがある?生まれるものもある、か、たしかにそうだろう。

ふと書店の入り口に平積みされた分厚いカタログに目を止める 
コミケのカタログ?・・・そうか、これがもしかして!・・・ 
レジに並びカタログを購入する水島。 

物語を進めるにはどうしたらいいか。

それは進むべき道を知り、そこへ向かうことだ。

勇者が魔王を倒すのに、街人の家に入りタンスを漁りツボを割っていても話は進まないだろう。

この物語はなんだ?キルケゴールを倒す・・・一体どういうことなんだ。

僕が結城美緒と結ばれること?ニーチェの超人を持ってしてキルケゴールをねじ伏せること?

それは今はわからない。

だが、なんとなくわかって来たんだ。第一話の時から、この世界の中では時は経っていないが動かない世界の中、、哲学書を読んでこの物語の構造がなんでこんなイビツなのか、、、、

それはきっとこうだ。

キルケゴールは絶望の果てに、「単独者」であり世界と対峙することがその先の生き方、実存的、つまり自分の中に、自分とともに世界がある主体的な生き方を説いた。

・・・この手の話は説明するほど混乱するくらい常に揺らぎと葛藤がありビシっと言い当てるのが難しいが「今ここで君が君であるその意味」そのものと言えばいいか。 
なにが言いたいか、というとこうして読者であるあんたに俺がこうして語りかけている意図が、その「単独者」であり、キルケゴールの場合「神」と向き合ったわけだけど、この場合、本を開かなければ存在すらしえない俺とあんたの意味なのではないか、と思うんだ。俺にとってあんたは神さまだ。 

とてつもなく不自由に思える設定、俺が38歳にもなってなににもなれない男であるのもそうすると納得がいく。

なにでもない、俺がいる。本当になにでもない、、、、安易な絶望とでも言おうか。

過去編の俺はまだ「恋をする若者」だったよ。

この世界の俺は、、、、前に進まない世界で目的も定まらずただ途方に暮れているだけだ。

モブキャラでは世界は変えられない。

だったら自分自体をモブキャラにしてしまうような大きな力に飛び込んでみよう。

そう、コミケだ。一週間後に控えた夏コミケ。

俺は、コミケに行くっ!

と、いうわけで今回はここまで!・・・


、、、なんですね(;''∀'')


監督!私出れます!準備運動バッチリ!

温まってますけれど、出番あるかな(;´∀`)・・・・


次回、第八話「コミケの神様」でお会いしましょう!

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登場人物紹介

名前「水島義男(みずしまよしお)」

中二病を病み続ける男。

哲学者キルケゴールの存在を知ったときに自分は彼の生まれ変わりだと信じてしまい絶望に身を投じる。


名前:セーレン・キルケゴール(アイコンは作者描いてます)

実在したデンマークの哲学者。

著書「死に至る病」が有名。

実存哲学の巨匠である。愛した女性レギーネ・オルセンの婚約を突如破棄し、絶望の中から哲学を探求し続けた。

名前:結城美緒(ゆうき みお)

水島にとって、すべてをかけて愛したという最愛の人。


キルケゴールの著書

名前:竹林香織(たけばやし かおり)

通称「かおちん」

パチンコ屋の店員で結城美緒の親友


女の子

覚醒レベル「サード」の覚醒者

水島義男の物語を向かわせるべきところへ導こうとする

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