第39話~街ブラデート~

文字数 6,552文字

私の左腕に腕を回し抱き着く七海と一緒にメインストリートを冒険者ギルドに向かい歩いてると注目を集めてることに気が付いたよ
ギルド入会数日で白金級とか前代未聞の話は昨晩の間に街を駆け巡ったみたいだね
何かヒソヒソ話が色々と聞こえて来るけど気にしないで通りを進むよ
ただモーゼが海を割ったみたいに通りの人混みが私達が進むと開いて行くのは少し寂しい感覚になるね
七海は私と一緒なら何も気にしない感じだね
ギルド酒場にはジルの姿がなかったので隣の冒険者ギルド内に入る

多くの冒険者でごった返し会話が飛び交っていた建物内だったけど私達が足を踏み入れると急に静かになり視線が私達に集まる
私達の場合はジルから声を掛けてくれたから金級のジルに対して不義理ではなかったけど冒険者の世界では階級が全てで理由がどうであれ上位級に対しては最大限の敬意を払わなくてならない不文律
目的の為に望んで手に入れた立場
でもやっぱし孤独は感じるよ・・・まだ心が弱いな私
左腕に抱きついた七海が抱き着く腕に力を入れ私が一人で無い事を伝えてくれる

「おー!二人の普段着も可愛いなあ!」
ジルが受付の奥から出てきたのはいいのだがギルド女制服を着てるけど鍛え上げられた筋肉でパンパンになってて弾けそうだよ
「挨拶に来たら今日から新人サポートで入ってくれってギルマスから話があってね」
”それはよかった!”
「でも・・・似合わないだろ制服」
「そんなことは・・・」
「今更気を使うなよ」
”依頼に出ないならしばらくすれば少し筋肉も落ちて細くなるから”
「そうなる事を願うよ一番大きいサイズでもコレだからね」

”ジルならギルドに居るかと思ってランチの御誘いに来たんだけど”
「丁度昼休みの順番だから行けるよ」
「じゃあジルおススメのお店に行って見たいな」
ジルが受付女の一人にランチに行くことを伝えギルドを出る
「まあ顧問的な感じなんで出勤も指導予約とか昇級試験を手伝う日以外は自由なんだよ」
メインストリートを黒泉館の方に少し戻り目的のお店へ到着
お店に入ると右側はカウンターが十席くらいでカウンターの内側がキッチンになってるね
左側に店奥に向かって四人テーブルが四セットってガイアの少し小箱の居酒屋みたいなレイアウトだね

繁盛してるね通された入口に一番近いテーブル席以外は全て埋まってるよ
「ここは魚料理がメインのお店でランチもやってるけど昼呑みも出来るので人気だよ」
魚料理なので米酒を注文したけど
”仕事中で大丈夫なの?”
「もしかしてガイアは仕事中のお酒は駄目なのかな」
「うん」
「こっちでは仕事に影響でなければ普通に飲んでもいいんだよ」
”そうなんだ設定になかった事を色々知れて楽しいな”

料理はメニューが読めないのでジルが説明してくれたよ
ジルのおススメと何品か気になったのを頼んでたら
「アレ今日は出せる?」
「はい」
「じゃあ三人前お願いね」
注文が終わるとよいタイミングで米酒のピッチャーとグラスが届いたよ
七海がグラスの注いで渡してくれたよ
「「かんぱーい」」
「アレってなに?」
「届いてからのお楽しみね」

「そういえば少し前にお忍びでルシファー様がいらしたよ」
「私達の説明かな?」
「私とミナイも同席でギルマスに二人の話をしてたよ」
”まったく面倒見がいいんだからルシファーは”
「二人から聞いていたと驚きはしなかったギルマスだけど心のどこかで疑ってる部分もあったみたいでルシファー様の話で二人に全面協力を約束してたよ」
「ミナイの反応が気になっちゃう」
「ミナイは二人の話は完全に信じていたけどルシファー様と直接話せて舞い上がっていたよ」

一品目が届いたけど
”えっお刺身!!”
「キャンプで飲んでた時に生魚が無いって悲しんでた話を思い出してね」
醤油の入った小皿も届いたよ
「ここの店主は生魚を食べる地方の元漁師なんで裏メニューがあるんだよ」
見た目は青魚の身を薄切りにして少し白くなってるのはもしかして酢で〆てるのかな
醤油を付けずに一枚食べてみる
”おいしい!酢の〆具合もいい感じ!”
七海も一枚食べて
「本当だ!酢の具合がいいし魚も新鮮だね」
「気に入ってくれてよかったよ」

「お口にあったみたいでうれしいですよ」
青髪で六十歳位だけど日焼けした肌で筋骨隆々な男がテーブル横に来て話しかけてきたよ
「あっこの方がお店の大将だよ」
「ジルが珍しく友達を連れて来たと思ったら噂の白金御二人だったので御挨拶出来ればと」
”彩美です”
「七海です」
”これ酢〆にしてるのは寄生虫への対策ですか?”
「よく知ってるなあ」
「二人は生魚を食べる国で育ったんだって」
「それは珍しい国だ漁師は船が漂流とかして食料が尽きた時に船上で漁で取った魚を食べようにも火は使えないので考えたのが酢〆で救援が来るまで食いつなぐ方法だ」
”なるほど”
「昔に何で生魚を食べると時々腹痛で死ぬほど苦しむ人が出るかを調べたら米粒くらいの虫が身に居て全て取り除けば腹痛を起こさない事を見付けた漁師がいるんだけど虫を全て取り除くのは料理としては手間が多すぎるので色々試したら酢に漬けると虫は死に安全に食べれることを見付けた料理方法だな」
「安全に食べれるのに何で料理として浸透しないのかな」
「生で食べて当たると魔法医師に診てもらえないと地獄の苦しみが続くので安全と言われても食べる勇気がでない人の方が多いみたいでな」
「私は大将にススメられて勇気を持って食べて見たら時々食べたい味になったんだよ」

もう一枚パクリ
”う~ん美味しい!”
「もし他にも生で食べる方法知ってたら教えてくれれば準備するけど」
”簡単なのは一回凍らす方法かな出来るだけ低温で二日くらい”
「なるほど冷凍で虫も氷り死ぬってことか!だが魚を凍らすと保存は効くが味が極端に悪くなるので保存食として食べるので無いなら難しい方法だな」
そうか魚を凍らして保存する習慣が無いんだね
”冷蔵庫か氷水に漬けてゆっくり解凍すると身がパサパサになるのを防げるよ”
「そんな簡単な方法でか!?今度試してみて上手く行ったら出すよ」
”楽しみにまってるね”
「では他の料理も楽しんで行ってくれ」

他の料理も届いたよ
ムニエルと海老フライに茹で海老だよ
茹で海老はかなり大きいロブスターだね
ムニエルは白身魚だねソースは別添えで刻みオニオンマヨネーズと真赤なソースだね
七海と私はマヨネーズでジルは真赤なソースで食べたよ
とっても興味はあるけど赤いのは味見しません
海老フライがデカい!
三十センチ以上で直径も三センチ以上だよ
ムニエルと同じソースで食べるんだけど私はお腹いっぱいになりそうだよ
ロブスターはジルが上手にバラしてくれたよ
身はそのままでも茹で塩が塩梅よくてプリプリで美味しいけどミソを付けて食べる濃厚な味わいもいいね
でえ私はここでお腹いっぱいで飲み専へ

二人は追加でアクアパッツァの大サイズを注文したよ
届くまでの間に
「次の依頼は決めてるのかい?」
遮音結界を張ったよ
”数日以内に指名依頼が入るよ”
「ルシファー様から?」
「建前で有力貴族からの依頼かな」
「まあ白金級以上だと通常依頼でなく指名依頼が中心になっていくから不自然ではないね」
”次が上手く行けばとういか行かせなければ成らないけど闇の国ギルドにも大きな力になるしね”
「何が起きる?」
「闇の国国軍がギルドと協力関係になるよ」
「お前らぁ気軽に話すけどってさもう驚かないよ」

届いたアクアパッツァは鯛に似た魚なんだけどおサイズが八十センチ位あるんですが
魚の周りには香草と色々な貝類が並んでるよ
二人は凄い勢いで食べ始めたよ
「ジルさあ白米って通じるかな?」
「ガイアと同じかわからないけどあるよ」
ジルが二人前の大盛ご飯を頼んだよ
ご飯はすぐ出て来たよ見た目は予想通り長粒種米だね
「タイ米な感じで洋風の料理には合うね!」
ご飯も魚も凄い勢いで二人の胃袋に消えていくよ
私は味付けが気になってムール貝に似た貝を食べて殻でスープを鋤くって飲むよ
貝はほぼムール貝だね少し苦味のあるヒモ部分がアクセントでプリプリの身の甘みを引き立てるね
スープは白ワインだね魚の旨味が溶け出してスープとして飲めるレベルだよ

「はい!あーん」
七海が魚の身を一口差し出してくれたのでパクリ
”美味しい!魚が新鮮で脂がのってるのもあるけど少しレアな火の通し方は料理人の腕が凄いね”
「まったく旦那とでもここまでのラブラブは無かったよ」
聞きたいけど失礼だよね
でもジルは私の表情から察したのか
「あっ気を使わないで旦那は私が覚醒したので何か引け目を感じたのか勝手に出て行っただけだから」
”覚醒しただけで・・・”
「覚醒してない人からは化け物に感じるらしいんだ魔法が使えるとか身近な人ほど」
「他人なら気にならなくても身内が自分には未知の世界の存在になる恐怖か」
「そうだから止めなかったよアヤは父でなく私を選んでくれたので心は耐えれそうだったしね」
だからか・・・
「ごめん何か湿っぽくなちゃったね」
「でぇ〆は何があるの?」
やっぱ上手いな七海
「干物茶漬けか棘海老の味噌汁かな」
棘海老って伊勢海老かな
「じゃあ私は茶漬けにするから彩美は味噌汁でシェアどうかな?」
”うん!”

ジルは茶漬けで七海と私はシェアで〆だよ
「うん干物が独特な風味だけど美味しい」
”これは塩とか醤油でなく魚醤に漬けた干物だねクサヤに近い感じだね”
「味噌汁のコレはほぼ伊勢海老だね」
”棘で予想してたけどミソが味噌と出会って最高だよ”
今日のランチは本当に素晴らしい出会いだったよ

店を出ると私達もジルと一緒にギルドに戻るよ
ミナイにギルマスの合いたいと伝える
すぐに二階のギルマス部屋に呼ばれる
「ジルからルシファー様が来られたのをお聞きになられましたか?」
”うん聞いた”
「少し半信半疑な部分もありましたが信じるしか出来なくなりました」
”伝えたい事が一つ”
「なんですか?」
”私達は成すべき事の為に冒険者という立場を使うが本当は純粋な冒険者として世の為に強者は弱者を助ける為をしたかった”
「そのお言葉を頂けただけで私は嬉しく思います」
”私は既に私の手を離れてるがコノ世界を本当に愛してる・・・だから役に立てる事があったら気軽に伝えてね”
「はい御厚意に甘えさせて頂きます」

七海と少し街ブラをしながらデートを楽しんだよ
「思い返すと彩美と街ブラデートってあんまり出来てなかったね」
”まあ学校とお店で時間が合わないのあったしね”
「私も耐性なくて少し怖くて逃げてたしね」
”その前に私が我慢出来なくて休日はベッドで過ごすが多かった気もするし”
「それは私も望んでいたからね」
メインストリートを少し外れた通りとかも今日は散策してみるよ

そして裏通りで見つけたカフェと思われる店のテラス席でタピオカティーみたいなドリンクを飲んでる私達です
メインストリートと違い通りを行き交う人も少なくノンビリな感じだよね
”年末に美香を迎えに行く時だけどイブイベントは出勤したいなあ”
「お店が懐かしい?」
”うん私の思い出がいっぱい詰まってるからね”
「なんかうれしいな」

ティータイムを終えて再び街ブラへ
気になったお店を覗いたりしたり露店で売っていたジェラートを食べたりしてたら西門に到着
黒泉館は東側の一番奥にあるのでメインストリートを端から端まで歩いたね
そろそろ日も傾き薄暗くなってきたよ
西門から折り返して晩御飯の店を探すよ
「さて今日は飛び込みチャレンジかな」
”何が出るかな何が出るかなだね”
「なんか懐かしい曲を知ってるね」

少し歩くと店前テーブルで盛り上がってるグループの料理が目に止まる
「串焼きかな?」
”そうだね”
「ここで晩御飯してみる」
”いいねえ”
店の前に移動するとエプロンをした緑髪の少女が
「空いてるお好きな席にどうぞ」
夜風が気持ちいいので外のテーブルにしたよ
すぐに先ほどの少女が注文を取りに来てくれたよ
メニューを見せてくれるが読めません
「一番大きいサイズのビール二つと串を適当に盛り合わせでお願いできるかな」
「はーい!」
すぐにビールが届いたよ
”おおマグナムジョッキサイズだ!”
1リットル位は入ってるね
「「かんぱーい」」
黒ビールとのハーフアンドハーフみたいで苦味が気持ち良くて美味しいよ
七海も私も一息でジョッキ半分くらい飲んじゃったよ
”苦味がインパクトで美味しい”
「これいいね」

十本くらい色々な串焼盛り合わせれて届いたよ
ウエイトレスの少女が
「白金の御二人様は街に来たばかりでまだ文字が読めない話は聞いておりますので御声掛け頂ければ追加の時はメニューを御説明しますね」
”ってもうそこまで噂が!”
「冒険者登録数日で白金に昇級それも飛び級なので街中で話題になってますよ」
計画通りなんだけど思っていたよりペースが速くて驚きだね
串焼きは肉なんだけど何肉かわからないけど食感や旨味がどれも違って楽しいよ
決め手はタレだね焼き鳥のタレみたいに何回か漬け焼きされて炭火で軽く焦げて香ばしくていい感じだね
十本全て違う種類だったので七海と半分ずつ食べて色々な味を楽しんだけど脂が強すぎというか脂身だけの串があって脂負けしそうでビールで無理やり流し込んだりも異国料理と出会う面白さだね
ビールも何杯かお替りして串の追加だね
「すいませーん」
「はーい」

追加注文の前にウエイトレスの少女がメニューを説明してくれたよ
肉は私が物語に書いていた一般的な食用としての牛と豚に鶏が選べる
姿や味はガイアのに似てるけどサイズや品種は全然違うよ
例えば牛の見た目はほぼ水牛でサイズは倍だしね
部位も選べるので「こんな感じが食べたい」って言ってくれれば選んでくれるって
野菜は仕込み前のを持って来て説明してくれたよ
見た目だけだと人参やジャガイモとかの根菜類と数種の茸類にネギだね
私は盛り合わせでかなり満腹に近いので野菜をお任せで数本お願いして七海は私と同じ野菜の盛り合わせと相談しながら十本位の肉串を頼んだよ

しばらくビールを飲んで過ごしたら追加の串も届いたよ
野菜は見た目も味も人参と椎茸にネギだね
”ふ~満腹”
あっと言う間に串を食べた七海は
「私はもう少し食べたいな」
ウエイトレスの少女を呼んで〆に何かないかを聞くとラーメンが人気と教えてくれたので超大盛で追加注文
「ラーメンなんてあったんだ」
”元々は異次元の双子惑星って設定でガイアは科学でメネシスは魔法が発展して独自の世界になったって基本設定があるから食生活とかは刻を巻き戻してメネシスが産まれた時にガイアをコピーした部分が多いかもかな”

ラーメンは澄んだスープに細麺で薄切りにされたローストビーフみたいなのが数枚乗ってるね
小分けの深皿を持って来てくれたので少しわけてもらったよ
スープは牛テールな感じだね出汁に塩胡椒でシンプルに整えられて味の濃かったタレに対していい感じの〆だね
麺は挽きぐるみ小麦の細麺で香りもよく少し固めの食感もいいよ
ローストビーフみたいなのはローストビーフでした
ラーメンも食べ終わり会計して帰ろうとすると背は低いけど筋骨逞しいタレと脂で少し汚れたエプロンをして中年男がやってきたよ
「本日は御来店ありがとうございました店長のボナです」
「とっても美味しかったので時々寄らせて頂きますね」
「ありがとうございます白金の御二人様もしよろしければ御来店して頂いた記念にサインをお願いできませんか」
店内に案内されると壁のあちらこちらに文字が書かれている
「来店日付とお名前を頂けるとうれしいのですが」
”いーよー!でもサインは母国の文字になるから読めないと思うけど”
「サインの中にも異国文字で書かれているのもいくつかありますのでサインの下に説明文だけ追加させて頂きます」

筆と小さな壺に入った塗料を手渡され場所を指定されたので七海とサインをしたよ
ちょっと悪戯で相合傘まで書いちゃったよ
「ありがとうございますコノ不思議なマークはなんですか?」
「相合傘と言ってサインの二人は恋人とか夫婦って表してるんだ」
「面白い風習ですね」
サインのお礼とテイクアウトで串の盛り合わせを頂いて帰路へ

まだまだ活気が凄いメインストリートを歩いて黒泉館に戻ったよ
部屋に戻ると途中で買った瓶ビールを飲みながらソファーでリラックスタイム
「もう少しだね」
時計を見ると十一時を少し過ぎてるね
”うん”
さて今日の一大イベントまでもう少しだね
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

彩美<主人公>

女装癖のある男子高校生

平穏な高校生活が崩れた時に出会い救ってくれた七海と恋に落ちる

七海との出会いで高校生活を送りながらニューハーフとして生活することを決め新宿のMIXバーで活躍する生活を送る

少し普通ではないけど七海と一緒に平穏な日々を過ごしていたが突然の異世界転移で女体化する

異世界転移で与えられたご都合主義は「無敵チート」だけで苦労満載の異世界生活が始まる

唯一与えられた無敵チートの意味を日々考えている

七海<ヒロイン(純女)>

新宿二丁目にあるMIXバー「セブンシー」のオーナーでママ

店を開くまでは歌舞伎町で伝説級のキャバ汝として活躍していた

絶望の淵にいる彩美を愛し救いの手を差し伸べ恋人になる

少し特殊な性癖を持つため彩美と少し不思議だけど幸せな同棲生活を楽しんでいた

ある日突然の異世界転移した彩美の帰りを待ち続けている

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み