第28話~七海のもとへ~

文字数 11,021文字

七海と異世界通話から半月
今回はアレが少し早く来たので予定より少し早く戻れるよ
体調も完全になり魔力も最大まで満たされているのがわかる
えっ今すぐ帰ればと思うけど私だってこれだけの日数いればメネシスにも愛着が湧いてるから気持ちの切り替え時間は必用なんだよ

月明りのテラスでワインを片手に最後の覚悟をしていると背後に気配が
「覚悟はできましたか?」
クリスタルを溶かしたような声ルシファーだね
”ええ・・・でも元々覚悟なんて必要ないんだ・・・帰れば七海と再会して今までと同じでないけど二人で一緒に刻を過ごせる”
・・・・・・
”帰る事で今の安寧な日々は終わりで物語のページがめくられ次章がはじまる”
「ダブネスとの戦いが始まると言う事ですか」
”それだけじゃないんだ私が何もわからない新章の始まり何が起きるか全て未知数な世界を私は耐え抜く事ができるのか”

「彩美はいつも先がわかってる未来はつまらないって言ってましたよね」
”そうだからやるしかないのはわかってる今してるのは覚悟でなく安寧と決別”
「私達との刻を安寧と言って頂けますか」
”色々あったけど思い出せば暖かい皆の心に見守られて母が見守る揺り篭の中で安心して寝る子供の気持ちだったよ”
「そう言って頂けると本当にうれしいですねナタリーもナターシャも同じ気持ちだと思います」

”ねえ今晩だけ我儘許してくれるかな”
「彩美が望むのであれば」
呼鈴を鳴らす
しばらくするとナタリーがやって来る
「御呼びですか」
”ナターシャも呼んでルシファーと四人で女子会を出来ないかな”
ナタリーがルシファーを見るとルシファーが軽く頷く
「ではナターシャと女子会の準備をして参りますので少しお待ちください」

少し冷えてきたので部屋に戻る
もうルシファーに車椅子を押してもらう必要はなく自分の脚で

部屋に戻るとソファーへ
ソファーセットも完成し届き二人掛けが二脚向かい合い間にローテーブルが配置されている
しばらくすると押し車を押したナターシャが入って来る
押し車の上からローテーブルにワインのボトル数本とグラスにチーズの皿が移される
今度はナタリーが大きめの袋を持って入って来た

「今後の冒険に備え服を御準備させて頂きました」
”服!?”
「はいガイアに戻るにしても寝着で帰しては七海に顔向けできませんしね」
”あれ着て来た服は?”
ナタリーが申し訳なさそうに
「こちらの洗剤で洗いましたら染料が抜けて色移りしてとても着れる状態で無くなってしまいまして」
”そうかメネシスの洗剤とガイアの染料相性が悪かったんだね”
「ですので新たな服を御準備させて頂きました着ていただけますか?」
”よろこんで”

ナタリーが着付けをしてくれる
服は狭霧が来ている胸元の大きく開いている前合わせの着物に似ている
狭霧のと胸元が大きく開き谷間が強調されいるは同じだが他は少し違い全体的にタイトで裾は膝上位のタイトスカートに近い形状で袖は無くは肩口が広がった形状になっている
カラーは黒を基調に紫のアクセントラインが縁と全体的に斜めに数本入るシンプルなデザイン
帯は紫色でウエスト幅の紫色後ろで結ばれツインテールのように膝下辺りまで垂れている
服は触り心地が抜群で少し厚めで艶があり帯は軽く柔らかく少し透け感がある生地
足元は黒革で筒の前面が紐で編込みになったデカヒールが十センチくらいあるニーハイブーツで絶対領域がいい感じ
そして指切り肘上までのコルセットグローブ
グローブをする為に外した魔剣のバングルを戻すとコーディネート完成

鏡で見ると西洋風にアレンジされた忍者かな
せっかくなら納めていた翼を出す
私の魔力により与えられた見た目の変化は肩甲骨辺りから生えて膝下まである黒光りする翼
翼には実体がないので服を着ていても貫通して現れるよ
翼を大きく広げる肩から左右に一メートルくらいの開いた形状になる
「何回見ても素晴らしい翼ですね」

鏡の前でくるって回って全体を確認する
うんこれは好きな感じの仕上がりだよ
”ありがとうメチャ気に入ったよ”
「お気づきと思いますが全て魔装具になっております」
”うん防御強化と耐魔法にまだまだ色々あるね使う場面が楽しみだよ”
「着るだけで魔装具の内容までわかるとは毎度のチートですね」
”なんか冒険が少し怖かったけど恐怖心よりこの服を着て旅に出たい気持ちの方が強いよ”
「そういって頂けると御準備した甲斐があります」
羽を仕舞いソファーに座る

私の横にルシファーで向かいにナタリーとナターシャが座る
ナターシャが全員分のグラスにワインを注ぎ渡す
「「乾杯」」
私とルシファーは一息で飲む干す
すぐにナターシャがワインを注いでくる
女子会と言っても色恋話でなく私がメネシスに現れてからの日々のこととか七海を惚気たりガイアの色々な話をしたよ

そろそろ持って来てくれたワインが終わりそうだね
「明日は何時頃の御予定で」
「十一時頃を予定してるよ」
この時間なら出勤日でも七海も起きてソファーで雑誌を読んでる可能性が大きいからね
ナタリーからの確認
「では朝食は九時頃でよろしいですか?」
”うんメニューはスープとパンにコーヒーの定番がいいな”
「承りました食後はお着換えをお手伝いさせて頂きます」
”ありがとう状況で若干前後はするけど二週間位で戻って来る予定なのでお願いね”

そこから少し雑談をすると片づけをしてナタリーとナターシャが戻る
”ルシファー本当にありがとう”
「戻って来てからも気にせずなんでも御申しつけください」
ルシファーも部屋を出る

タバコが欲しいな・・・
まあ無いものねだりしてもなんで服を脱ぎハンガーに掛けてハンガーラックに掛け寝着に着替える
そういえばチューブトップタイプだけどブラも服のセットに入っていたんだよね
前はパッドを入れる為の道具だったけど本物の胸になると支えられ包まれる安心感が凄いよ
なんかブラの感覚が気持ち良くて今日は寝着の下にして寝ようね
ベッドに入ると明日への興奮もワインで落ち着いて眠気がやってきたよ・・・

”うーん”
枕元の時計を見ると九時少し前だね
テラスの洗面台が完成したので顔を洗って歯磨きをする
ふーさっぱりだね
部屋に戻るとナタリーが朝食を届けに来てくれていた
ソファーのテーブルにカットされカリカリに焼き上げバターをたっぷり塗られたバケットにスープとコーヒーセット
「スープはコーンポタージュです」

パンの匂いとスープの匂い我慢出来ずに食べ始める
バケットをスープに浸してひとかじり
カリカリのバケットに纏わり着くコーンポタージュ
表面が少し柔らかくなるけど中はカリカリで食感が楽しいよ
あっという間に食べちゃったよ
でもナタリーのスープともしばらくお別れだね少し寂しいよ

コーヒーで一息入れるとナタリーが
「お着換えをお手伝いいたします」
ルシファーが用意してくれた服へナタリーが着替えさせてくれた
着替え終わると思わずナタリーを抱きしめる
「無事のお帰りをお待ちしております」

気が付くと十一時少し前でルシファーとナターシャもやってくる
「無事のお帰りと七海にお会い出来るのを楽しみにしております」
”行ってくるね”

胸に手を当て魂の中にある扉を探す
集中すると背中に翼が現れ大きく開く
世界を超える翼が開いた!
掴んだよ魂の中にある扉のノブ
魔力を極限まで扉に集中する
ガチャ
扉の開く音がして私の体か霞んで行く

足の裏に地面の感覚が伝わってくる
少しずつ肌に纏わりつく空気に現実感が生まれてくる
眼を開くと・・・
手に持っていた雑誌が床に落ち目を見開き口がポカンと開いて驚きを隠せない七海がソファーに居るよ
「まっまま幻じゃないよね彩美ぃ!」
ソファーから立ち上がり私の胸に飛び込んで来る
受け止め強く抱きしめる
「おかえり彩美」
”ただいま七海”

自然と唇を重ねる
交互に舌を入れお互いを貪る
どれだけの刻が過ぎただろう
自然と唇が離れ艶っぽい表情をしてる七海をもう一度強く抱きしめる
帰って来れた・・・帰って来れたよ・・・七海のもとへ

七海が私の胸に顔を埋める
「あはコノ胸の感触・・・本当に女になったんだね」
七海の手がスカートをたくし上げパンツの上から谷間に指を滑らせアレに触れる
脳が軽くスパークして足に力が入らない
崩れの落ちそうになる私を七海が抱きしめ支えてくれる
「本当に女体化したんだね・・・先に言っておくよ・・・性別なんて関係ないよ・・・私は彩美って人に惚れてるんだから・・・」
余韻で足に力が入らない私を支えるようにソファーに座らせてくれたよ

「ジャックでいいかな」
”うん”
ロックグラスにストレートなみなみ注いで持って来てくれた
「「乾杯」」
一気にグラスを煽る
久々に喉の焼ける感覚と焦げたオーク材の香り・・・懐かしく美味しい
七海が横に座りジャックを注いでくれる
「お洒落な服だね」
”ルシファーが帰るのに合わせて用意してくれたの”
「凄く似合ってるよ」
あっ!!
慌ててブーツを脱ぐ
ここは石作りの部屋じゃないから土足厳禁です
「はははは!変わらないね」

”・・・・・・・・・”
「どうしたの?」
”帰って来たら色々話そうと思ってたけど七海の顔を見たらそれだけで・・・”
七海が胸に私の頭を抱える
「ゆっくりでいいよ・・・これからは永遠の刻があるんだから・・・」
少し下から見上げる七海の顔が世界で最高に可愛いよ
あれ?なんか頬が火照るのがわかる
視界が少し歪み揺れる泣いてる訳じゃないのに
なんか沸き起こる気持ちがあるんだけど初めてで意味がわからないよ

七海が唇を軽く重ねる
「ふふ女の顔もしっかり出来るようになってるね」
”えっ”
「火照った頬・・・潤んだ瞳・・・軽く開いた唇・・・」
”それって”
この気持ちって私が七海を求めてるの?
わからない男の時だったら簡単だった見栄え良くする言い訳はどうあれ結果的に「七海の中に入れて出したい」って欲求だけだった

”なんか初めての気持ちで何だかわからないの・・・”
「ふふ声まで・・・甘いよ・・・」
七海が私の頭を胸に強く押し付けると帯をほどく
帯が無くなり前合わせが肌蹴ける
少し腰を持ち上げられスルリと袖が抜け下着姿に・・・
そのままソファーに倒される
七海が私の上に覆い被さり唇を重ねてくる
舌が私の中に入ってきて私の舌に絡む
もうこれだけで意識が朧げになり感じた事のない感覚で満たされて行く・・・気持ちいいよ・・・

あっ七海の手がパンツの中に差し込まれる
来る!あの感覚!少し緊張で体に力が入る
それを感じたのか優しく谷間に指が当てられる
七海が少し指を強く押しあてると谷間の間に指が入る
あの内臓を触られてる感覚を覚悟だよ

えっ違和感が何もなく感じた事無い快感が腰から背骨を駆け上がって脳にくるよ
声が出ちゃう・・・
”あっあっ・・・”
「可愛い声で囀るね」
七海の指が優しく少し動く
クチュクチュって恥ずかしい音が聞こえてくるよ・・・私って・・・
その瞬間・・・指先がアレに触れ何回か軽く撫でられる
”うわああああ・・・逝くの・・・逝くの・・・逝く~!”
もう声を抑えられず絶叫してしまったよ

ガチャ
リビングのドアが開く音が聞こえた気が・・・
だけど私は頭が真っ白でそれ以上を考えられない
「ねーさん!大福持って来たからお茶しよう!」
美香の声!?
急に全身の感覚が急激に戻ってくる
「ねーさんが二人でねーさんがねーさんとエッチしてる」
感覚の戻ってきた体を動かしてドアの方をみる
手に袋を下げた美香が直立不動で固まってる
いきなり回れ右をして玄関に向かう美香

ああ混乱が限界を通り越して現実逃避でこの場から逃げようとしてるのがわかるよ
”まってぇ!美香ちゃん!”
「えっこの声・・・彩美ちゃん!?」
美香が振り向く
う~ん凄い姿で再会になってしまった
七海が上に覆いかぶさり七海の手がパンツの中にはいってるとか

七海がゆっくり立ち上がる少しだけバツの悪そうな表情をしてる
私も続いて立ち上がる
「その・・・」
七海が何か言おうとしたら美香が
「私って本当にタイミングわるいなぁ」
美香が下着姿で立ってる私に近づいて来て抱きしめてくれる
「おかえり彩美ちゃん」
”うん・・・ただいま”
美香の顔をみると笑顔だけど涙が頬を伝ってる
「本当に本当に心配したんだぞお」
私も腕を回して美香を抱きしめる

下着のままではだけどルシファーの服はリラックスするほど慣れてないので七海がタンクトップとショーパンを持って来てくれたので着る

とりあえず七海がキッチンで緑茶の準備をしてて
美香はリビングテーブルで待ってる
私は久々にタバコ吸いたいな
”七海タバコあるかな”
「ほい」
ってタバコの箱を渡してくれる

テラスに出てタバコを咥え右手の人差し指に「熱い火」をイメージする
指先に蝋燭サイズの火が現れたのでタバコに火をつけ紫煙を深く吸い込む
久々の紫煙を楽しむ
「ってええええええ!本当に魔法使いになってる!!!!」
振り向くと美香がタバコの箱を片手に一歩下がってる
”うん”
気を取り直して美香がテーブルの横に来てタバコを咥える
指先から火を出しタバコに火を着ける
「他にも魔法使えるの?」
”うん色々使えるけどほとんど攻撃系だから日常生活で便利なのは少ないかな”

二人で紫煙を巡らす本当に久々のタバコが美味しい
「その彩美ちゃん さっきはゴメンねタイミング悪くて」
”って気にしないで帰ってきてすぐにエッチとか私がどれだけ淫乱なのかの方が問題だよ”
「それは普通じゃないのドラマとかでも長期離れていたカップルが再会したらエッチの流れは普通だしね」
「おーいお茶はいったぞー!」
「「はーい」」

テーブルに戻ると湯飲みと大福!
だ大福!!アンコなんて久々だよ
「彩美ちゃん遠慮せずに食べて」
”いただきます”
パクリ
ああ口に広がる餅の滑らかな感触とアンコの甘みが体に沁みるよ
超絶笑顔になってたらしく
「メネシスには大福はないの?」
美香の素朴な疑問だね
”アンコは無いかな餅は似たのがあるけど”
「なんか物語だと食べ物はどれも美味しそうに書かれていたけど」
”なんて言うか現地の味!って感じでね日本の食事が恋しくなる時がね”

「そうそう!ねーさん!彩美ちゃん魔法でタバコに火を着けていたんだよ知っていても驚いたよ」
「これかな」
七海が右手の一指し指から蝋燭の火が出て来る
”ってぇ七海!”
「物語に数か所だけあった魔法を発動させるシーンを何回も読み返して練習してみたよ」
”他にも何かできるの?”
「これしか試してないよ他は思いつくのあるけど危なそうだったから」
”でも火を出すのは書いてないよね”
「はいコレ」
一台のノートPCを手渡される

これって・・・これって・・・
「オリジナルの物語が世界になったのならと思いノートPCを奪った親族を特定して取り返したよ」
”えっ売られて初期化されちゃったかと思ってた”
「奪った親族は夏に弁護士が出て来て不当に彩美へ何かしたらの同意書を書かせた一人で同意にビビって売れずに倉庫の隅に放置していたよ」
”そうだったんだ”
「ソイツはさ一円も御両親に貸していなかった被害なしなのに嘘ついてノートPCを取り上げてるの分かったから簡単だったよ」
”なんか色々と血の繋がりってなんなのか考えちゃうよ”
しかしどうやって持ってる人を特定したんだろうか
「持ってるの特定するの簡単だったよ関係者全員に不当に取り上げたノートPC返さないと裁判するよって弁護士から連絡したらこれ以上面倒事に巻き込まれたくない他の親族から突き上げられてすぐに連絡あったよ」
まさに阿吽で疑問に答えてくれる七海だね

確かにオリジナルなら「書かなくてもよい無駄な描写」がいっぱいあったんだよね
どこを略してどこを詳しくがわからず無駄が多かったから
完全に忘れていたけど魔法で火を着けた!でいいところを丁寧に発動過程を書いたシーンがあったのを思い出したよ
そこの描写だけで火を出すだけといえ魔法を発動させるとは凄すぎるよ七海
「それで思い返すとタバコだけでライター渡してなかったんだ」
”私も違和感なくだったなぁやっぱ七海は何枚も上手だよ”
「そう言うが彩美を驚かすの並大抵の仕込みじゃ無理だから成功した時は楽しいね」
「彩美ちゃんって意外に・・・・・で流すからね」
私ってそんななの!?

”オリジナル・・・私も書き直しをした事で失われた記憶が多いよ”
「新たに書き出した物語は色々整理されているしね」
”そのオリジナル最後の行って何が書いてあったかな?”
「ノートPCを起動すれば・・・」
”見る勇気が無理・・・”
「何十回・・・何百回・・・何千回と呼んだから覚えているよ途切れた物語に突然現れる”貴方は私 私は貴方 過去の私と今の私が一つになる事で 私は永遠に愛する者と刻を過ごす”」
よかった・・・よかった上書きが成功してるよ
あっ駄目だよ涙が・・・
「どうした彩美?」
”そこはね「貴方は私 私は貴方 その刻が遠い日であり 実現する日を楽しみに」って「まどか」が私の魂と融合して世界のバランスを取ろうと物語に干渉をした将来を無理やり差し込んで来たの私は上書きで七海との刻を取り返せた”
「なんか複雑だな」
”詳しくは今後に少しずつだけど上書き出来た・・・私は世界の都合の良い玩具にならない”

「う~ん私は二人が今の姿の中で老けていくのか・・・少し寂しいね」
やっぱしこの流れになるよね
想定はしてルシファーと色々知恵を巡らしていた
強制覚醒は強制的に多量の魔力を覚醒させたい魂に送り込み魂を変質させ覚醒を行う
送り込まれる魔力に魂が堪えれなければ魂は無散して廃人と化した肉体のみが残る結果になる
結果はやってみなければ分からない
ルシファーが王宮に保管されている文献を探してくれて過去にかなり試みられていたことは分かった
魂へ強制的に魔力を送り込むことで魂を変質させて覚醒させることが出来るのではと推論をした魔法師がでてから数多の実験が繰り返されていた
多くの事例は送り込む魔力が足りずに覚醒が発動せず送り込まれ魔力は魂に残り徐々に魂を焼き尽くし燃え尽き廃人と化す

そこで数人の魔法師が同時に魔力を送り込むことで魔力の不足を補う方法が使われるようになる
この方法も完全でなく複数人から送り込まれる魔力は送り込まれた魂内で融合せずバラバラに覚醒を促そうとして結果魔力不足と同じ状態
成功例は「双子」の魔法師が行った事例だけだった
ここはルシファーと考えた結果だけど魔力は結果として魔法を発動する燃料
通常生活で使う燃料でも薪もあればアルコールと色々な種類がある
各々の魔力は燃料と言う意味では同じだけど種類が違って混ざらない
だが一卵性双生児であれば同じ種類の燃料で送り込まれた後に混ざることが出来るのではないかと

無事に送り込まれる魔力が十分な量に達し覚醒が発動したとしても魂が新たな魂への変質に耐える強度がなければ無散して廃人化する
廃人化の危険を理解した上でも「魔法が使えるようになる」という魅力は多くの人を惹き付け被験者に困る事はなく実験は途切れなく続いていた
強制覚醒に堪えれた確率は0.1%以下
流石に「魔法が使えるようになる」という魅力があっても「ほぼ間違いなく廃人化」と分かると被験者になりたい人も居なくなり実験研究は幕を閉じていた

発動に関する魔力は私であれば一人でも十分に足りる
問題は美香の魂が耐えれるか
0.01%に賭けては絶対に出来ない
時間だけは余るほどあったのでルシファーと多くの推論をしたよ
何回も強制覚醒に関連した文献をルシファーに読み聞かせしてもらったね
王宮の保管してる文献は膨大で強制覚醒とタイトルに入っていない文献に関係する重要な内容が記載されていることがあるので時間を凄く使ったよ

ある魔法師の日記が大きなヒントをくれたよ
そろそろ転生の日をと考えていた強制覚醒を研究していた魔法師が自身の魂を被験者の魂に魔力を送り込む前に融合すれば被験者の魂に魔力を受け入れる変質をもたらすことが出来るのではないかと
ただ魂を融合すれば被験者の人格に変化が出てしまうし現生に疲れた自分の意識が残ることも避けたい
そこで魂の核にある魔力を作り出す部分だけを融合させれば人格問題は発生しないのではないか但し核が無くなった魂は存在を保てずに無散する
魂の無散は転生出来ず無に帰する
例え転生をしても記憶がある訳でもなく無に帰るのと違いはないと実行を決断した
結果は成功であったが魔法師の命と引き換えとなり転生も出来ない無へ帰す恐怖から次に魂を提供しようとする魔法師も現れず失われた手法になった

”人であり人でならず者になる勇気はあるか?”
「えっ!?」
”永遠の刻はすばらしき物であるが刻を重ねるに伴い終りの無き苦痛の時間にかわる”
「彩美ちゃん!なんか宗教家みたいな問答がメンドイよ!」
はは美香ならそうなると思ってたけど・・・ここの決断は魂の・・・決断・・・彩海の・・・・

「あのねー!何千年でも何万年でも刻が果てるまで二人と刻を過ごせるなら永遠のバージンでいいの!もう人生で初体験より最高のキスを貰ったからさ!あんたさぁ!」
あい!?なんかその・・・
「てめーを超える男は私の中に過去も今後も一切居ない!私が唯一無二で崇めるねーさんと一つになった!私はそれに寄り添いたい!」

ここで強制覚醒の調査結果を伝えたよ
「それでは誰かの魂を犠牲にしないと・・・」
七海の問いは当然だよね
(彩海・・・出ておいで)
突然表情が幼女のようになり驚く二人
”大丈夫だよ!なーな”
「えっ”なーな”ってその呼び方で私を呼ぶのは一人だけ」
”なーなと双子の魂だから私の中にも魔力の核はあるんだ”

「その前になんで彩美の中に彩海の魂が?」
”彩美とお墓参りに来てくれた時に取り憑いたんだよ”
「はい!?」
”成仏できなかったんだよね”
「あの男への恨み?」
”それもあるけど残されたなーなが心配で”
「でも何故お墓で?」
”現生との繋がりがなければ肉体を失った魂はたもてない私の繋がりは自分の御骨だったから”
「それでお墓だったのか」

”お墓参りに来てくれると必ず復讐の進み具合を教えてくれたよね”
「あやの魂に届けば少しでも心安らぐかなって」
”成功を聞いた時は安心して成仏出来るかなと思ったけどなーなが感情を閉ざしたままなのが気になって留まってしまったんだ”
「私があやの成仏を邪魔していたのか」
”でも彩美と来た時にあっこの人がなーなを癒してくれてるって感じてね”
「で取り憑いたの?」

”今の美香と似た感情だよ・・・なーなの愛する彩美を繋がりにして二人の幸せに寄り添い彩美の中で静かに永遠の眠りへつこうと”
「ある意味の成仏なのかな」
”今は彩美の脳を借りてるから普通に話せるけど肉体のない魂だけの私は思考とか出来ない感じるだけの存在だから”
「魂は肉体を動かす核だけど思考は脳が物理的にないと駄目ってことなのか」
”おおよそ合ってるよ墓参りに来てくれた時は双子のシンパシーでなーなの脳を少しだけ借りて簡単な思考を一時的に取り戻していただけだから”

一息付きジャックを煽る彩海
”うが!お酒は私には早かったか!?”
「ははは味覚は昔のままなのかな」
”ある時に感じたの私が役にたてる何かを”
「それが強制覚醒の話だったと?」
”そう・・・そうしたら何かを伝えたいと魂が何かを発したみたいで気が付いた彩美が自分の中にいる私の魂に気が付いてアプローチしてくれて脳の一部を借りる事が出来て理解したので協力を申し出たの”
「でもそれで強制覚醒は成功するけど彩海の魂が無散してしまうのでは」
「駄目!そんなことまでして私は覚醒出来ないよ」
”無散はしないよ彩美と相談して核を失うと同時に彩美の魂と融合するから”
「そうなると彩美の人格が彩海と混ざる事に?」
”それは大丈夫だよ融合と言っても彩美の魂に少しだけ居場所を作ってもらって三人の幸せを感じて永遠の眠りにつくから”
美香が水のグラスを持って来て彩海に渡す
一口飲んで心を落ち着ける
”もう私の魂は一滴の雫程度しか残ってないの肉体を失ってから魂はどんどん力を失い続けてるので何れ消滅するのであれば”

(彩美・・・お返しするね)
表情が私になり戻ったことを二人が理解する
”彩海の魂は私が揺り篭になって守るから安心して”
「それであれば状況は今と同じままで美香が覚醒できるのか」
”彩海が表に出る事は出来なくなるけど彩海の望みは眠りだから”
「もう少し彩海と思ったが感じるに彩美の肉体を借りて表に出るだけで魂を消費してるのは感じた」
”今回がギリギリだったの強制覚醒をして存在が残れる魂の残量”
「彩美の中で私達を感じながら安息の眠りを過ごす」
”うん”

「覚悟は出来てるよ!」
”特殊な覚醒だから高熱は出ないけど一瞬で変化した魂と肉体に慣れるまでの数日は地獄のように全てが重くなるから”
「そんなことは造作もないよ!」

”七海は私が彩海の核を美香の魂の中に送り届けたら全力魔力を美香の魂に送って”
「うん」
”核は魔力がないと長時間はたもてないから届いたらできるだけ早くね”
「私の魔力で足りるの?」
”核を届け彩海の魂と融合したら私の魂を七海の体に移すから”
「そんなことが」
”七海と私なら出来る私は七海の魂に魔力を送るから七海の魔力に変換して送り続けてくれれば絶対に量は足りるし双子の核同士だから魔力の効率も良いはずだしね”
「どうやって彩美の魂を戻せばいいの?」
”終わったら口付けして”
「わかった」
”でも・・・その・・・魂の無い肉体は脈打つだけの肉塊と同じだから何も管理されない・・・お漏らしとかしても笑わないでね”
「はは今更だよ」
”もう”

”では始めるよ”
(彩海はじめるよ)
<ほーい>
姉と同じで重要な場面ほど軽くなるなあ
これが彩海と最後の意思疎通
始めるよ

美香の胸に右手の平を押し付け魂を探す
見つけた!
私の背中に翼が現れ大きく開く
よし扉を開けられた
彩海の魂を私の魂に取り込むのと同時に扉へ彩海魂の核を届け扉を閉める
私が美香の胸から手を離した瞬間に七海が手の平を当て魔力を送りはじめる

私は七海に口づけをして魂を七海の中へ
魂がない肉塊になり崩れ落ちる私の肉体を感じた瞬間に意識が消える
いま私の魂は七海のなかで魔力を送り出すだけの装置になっているから

口付けの感触から全身に意識が広がる
無事に戻れたね
「大丈夫!?」
”うん元気!”
なんとか粗相とかなく大丈夫だったみたいで安心だよ

そうだ美香は!
ソファーに寝かされていたが意識はあるね
「うう体が鉛になちゃったよ」
成功だね

”何か感じる?”
「う~ん実感はまだ何もないけど何か変わった感じだけするよ」
美香の胸に手をあて魂へ魔力を送り込む
種類が違うから意味ないのではと思うけど七海の中で七海の発する魔力を感じてる間に種類をなんていうのかコピー出来るようになってね
まあここも魔力に関する事だから無敵チートが働いてるんだね
「なんか全身がポカポカしてきたよ」
手を離すとゆっくり起き上がる美香
「ねーさんマキさんに連絡しないと」
突然思い出した美香
「そーだった今日は出勤だったから休みを伝えないとだね」
時計を見ると17時近くになってたんだね

マキとの通話はビデオモードでしたよ
私を見て驚いたけど安心したのかマキの涙を初めてみたよ
今日は休みで明日から私も出勤での準備もお願いをしたよ

美香は一時間くらい休んだら立って動ける位までは回復したよ
「全身に砂袋付けられてる感じだけど何とか動けるよ」
”よかったあ”
ぐ~
「お腹がすいたよ~」
今日は買い物とかから始めると御飯が遅くなりすぎるので外食に決定

さて何処に行くのか
久々のガイアでの食事が楽しみだよ
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登場人物紹介

彩美<主人公>

女装癖のある男子高校生

平穏な高校生活が崩れた時に出会い救ってくれた七海と恋に落ちる

七海との出会いで高校生活を送りながらニューハーフとして生活することを決め新宿のMIXバーで活躍する生活を送る

少し普通ではないけど七海と一緒に平穏な日々を過ごしていたが突然の異世界転移で女体化する

異世界転移で与えられたご都合主義は「無敵チート」だけで苦労満載の異世界生活が始まる

唯一与えられた無敵チートの意味を日々考えている

七海<ヒロイン(純女)>

新宿二丁目にあるMIXバー「セブンシー」のオーナーでママ

店を開くまでは歌舞伎町で伝説級のキャバ汝として活躍していた

絶望の淵にいる彩美を愛し救いの手を差し伸べ恋人になる

少し特殊な性癖を持つため彩美と少し不思議だけど幸せな同棲生活を楽しんでいた

ある日突然の異世界転移した彩美の帰りを待ち続けている

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