第46話~出会いは何処にあるかわからない~

文字数 9,497文字

朝ごはんはワイバーンのモモ肉簡易燻製をスライスしてバケットに挟んだ簡単サンドイッチとコーヒーで済ましたよ
食材を集めて準備してると馬車に間に合わないかもで手抜きゴメンね
メイクとか出発準備をして野営の片付けも終わり街道沿いで乗り合い馬車を待つ
しばらくすると乗り合い馬車がやってきたよ
今回は最初から寝袋座布団だったので何とかお尻は大丈夫でした

夕方頃に冒険者ギルドの前で馬車を降りる
ケンプファー達は昇級審査が終わるまでギルド酒場で待ってるよ
ジルと一緒に私達とミナイもギルマスに呼ばれたよ
ギルマス室に入るとリナから
「ジルお疲れ様でした」
「ありがとうございます」
「彩美と七海もお疲れ様でした」
”ありがとうございます”
「しかし精霊級のサラマンダーが居たとは二人に行ってもらってよかったよ」
「サラマンダーを一撃とか凄まじかったですよ」

「昇段試験の結果はどうだったジル」
「全員問題なく銀級の力と心得がありますので昇級でよいかと」
「監視者ではないので参考までにだが二人はどう考える」
「ジルと同意見です」
”四人共充分な実力ですメイレーンに関しては白金級でも十分活躍出来る力がありましたので今後が楽しみですよ”
「そこがパーティー制の問題点だな逸材が居てもパーティー全体の平均実力に均されてしまう」
”メイレーンはパーティーメンバーの為に鍛錬した結果だと思いますのでソロではここまで成長出来たかわからない面もありますね”

「では四人は銀級昇格で手続きを進めてくれミナイ」
「はい」
受付フロアに戻るとジルが四人を呼びに行く
しばらくすると
ケンプファー達が現れ依頼完了の報告をして銀級のコインを受け取ったね
後で見てた私達にケンプファーがやってくる
「ジルさん彩美さん七海さん本当にありがとうございました!」
「「銀級おめでとう!」」
「「ありがとうございます」」
と昇級のおめでとうを伝えたら依頼の〆だね
今回は掃除屋なしの依頼だったので回収したモンスターを売りに行くよ

ジルにサラマンダーの入った袋を担いでもらって四人と一緒に北門を出て数分歩くと見えて来た大きな建物に入る
建物の中はかなり広い倉庫みたいだけど道具ラックには刃渡り二メートルくらいはある包丁に斧とかの色々なサイズと種類の刃物がセットされ建物内のアチコチ設置されてるよ
建物に入ると一人の男性が話しかけてきたよ
「かなり大きい空間拡張袋がパンパンだが何を持って来た?」
”サラマンダーですよ”
「は!?お嬢ちゃん達が!!」
私達の階級コインを見つける
「これは大変な失礼をした水晶級だったか」
男に案内され建物奥のサラマンダーが十分に横たわれるスペースへ行く
ジルが袋からサラマンダーの死体を取り出してくれたよ

男はサラマンダーの死体を一周してチェックしてるよ
「ふへぇ~驚いた首の頸動脈を両方切断だけの傷跡とか初めて見たよこんな綺麗な状態」
「私も現場で見てたけど信じられない狩り方だったよ」
「普通は攻撃魔法で一番高価な表皮がボロボロだったりポーションの材料として重宝される脳とか内臓が傷付いていたりで大幅に価値が下がるからな」
男はサラマンダーの目玉を覗き込み何か確認してるね
「目玉に曇り一つ無い新鮮な状態だし最低でも二百万Gには成るな」
”じゃあバラし終わって金額きまったらギルドに明細と入金をお願いしますね”
「預かり証明を作るから冒険者メダルをこの紙に乗せてくれ」
メダルを指示された机上の紙に置くと紙が一瞬光る
冒険者メダルのメモリへ記録された情報が自動的に転記される魔法紙だね
「メダルありがとう残りを記入するので少し待ってくれ」
預かり証明書は複写になっていて一枚を控えで渡してくれた
「サイズが大きいので数日後になると思うがギルドに明細を届け入金しとくよ」
”お願いします”

これで数日後には今回の報酬代りのサラマンダー売却金が入金されるね
「流石にほぼ無傷のサラマンダーだと凄い金額だな」
ジルが唸ってるよ
建物の出入り口で待ってると同じようにワイバーンの死体を売って来たケンプファー達が戻って来たよ
”さて祝杯を上げに行こう!”
「なんかいい店あるかなジル?」
「そうだな・・・」
ジルに連れられて西門近くのお店に入る

お店の前に着くと何の店かすぐにわかったよ
「火鍋だあ~」
ちょっち待て外席のテーブルで食べてる人の鍋を見ると真っ赤でヤバイ気配しかしないぞ
辛い物を食べた訳で無いのに汗を滴らす七海と私を見てジルが
「大丈夫だよ辛さ調整も出来るし辛くないスープもあるからさ」
”よかった~”
店外の四人席を二つ並べて席を作って貰ったよ
「一つの鍋で三種類までスープは選べるから普通と辛いの苦手用にチキンスープでいいかな」
「ジルありがとう」
ジルがビールと鍋を注文してくれるよ
ケンプファー達もスープの種類を伝えてるよ

”遮音結界”
これで色々気にせずに話せるね
「「結界が見えない!?」」
メイレーンとセレンが驚く
セレンが席か離れて結界の外に立ちメイレーンに話掛けてるが何も聞こえない
戻って来たセレンにメイレーンが
「遮音されてる」
と伝える
「初めてでしたので見えないレベルの魔力で張られた結界」
メイレーンが驚くの仕方ないよね
「俺は元々見えないけど魔法師でも結界が見えないなんてあるのか?」
「結界は次元を多重化して特定の層に歪みを作る事で特定の力を抑え込む効果が生み出されるんだけど魔力が強いほど多重化の層が深くなって強い効果を発揮するの」
ケンプファーの問いにメイレーンが答える
「なんか難しいな」
「簡単に言うと彩美さんの強力な魔力で多重化した層が深すぎて私やセレンの魔力ではアクセス出来ないの」
「それでも難しいな」
?が消えない顔のケンプファーだったよ

さあビールが届いたよ
今日はマグナムジョッキサイズだから普通に持ち上がるよ
「「カンパーイ」」
「「昇級おめでとう!」」
「「ありがとー!」」
「しかし彩美さんと七海さんが居なかったらヤバかったな俺達じゃサラマンダーの相手ところか逃げるのですら無理だよ」
「火葬でもなきゃ使えなきゃ精霊級なんて無理だよ」
「あの火力じゃ私レベルの防御魔法じゃ何も防げなかったよ」
”今日のはイレギュラー過ぎるからね”
「なにせ渓谷付近はギルドで指定地域にされた位だからな」
「指定地域ってなんですか?」
ジルの話にセレンが反応したよ
「今回の場合はどんな簡単な内容でも渓谷付近では精霊級ドラゴン出現の可能性ありで白金級以上しか受けれない依頼となる」
ジルの回答にケンプファーが
「じゃあゴブリン討伐とかでも高額報酬依頼になってしまうってことなのか?」
ジルが答える
「そう滅多に指定されない危険地帯になったってことだ」

御代わりのビールと同時に炭火コンロに乗った鍋が二つ届いたよ
鍋は不思議と設定とか物語に無いはずなのにガイアの火鍋屋と同じ形だね
ガイアでは三個に区分けってあまり見ないタイプが主流ってのも面白いよね
肉と海鮮の盛り合わせも一緒に来たよ
「牛と豚に鶏と海鮮盛り合わせにしたよ」
ジルが説明してくれたよ
”わあ!白岩貝とかうれしい!”

恒例だよ・・・前半は食べる飲むに集中するメネシス的な飲み会流儀
鶏スープは普通にシャブシャブだね
漬けタレは店内にあるタレBarで好きに調合出来るのも何かガイアの食べ放題なお店を思い出すね
皆んなは何か真っ赤なタレを作ってたけど七海と私は少しずつ味見をしてポン酢な感じのだよ
辛いのが苦手な人用スープって看板に偽りだよ食べれなくは無いけど物凄く辛いけど癖になりそうな感じもあるね
このスープで七海も私も汗まみれです

でもやっぱ好奇心を抑えきれずに・・・普通の辛さで牛肉を一枚・・・
「彩美!それ絶対にヤバイ!」
七海の悲鳴と
”うわあああああ!”
轟く私の悲鳴!
驚くジルと七海以外のメンバー
「彩美!いい加減に学習しろー!」
ジルのお叱りが響きます
ジョッキを飲み干し掠れる声で
”ビール三杯お願いします”
顔は真赤になり汗まみれで涙声の私だよ

遮音結界でテーブルメンバー以外に悲鳴が聞こえなかったのはいいけど
「彩美さんどうしたんですか?」
セレンの問いにジルが
「二人の生まれた地方は辛い食べ物が少なくてコノ辺りのほんのり辛いでも超激辛に感じるんだよ」
「でも料理好きの彩美は結果こうなるってわかっていても毎回ね皆んなが食べる普通の味が気になり手を出して自爆するんだ」
呆れ顔の七海だよ
「あっだからか!」
メイレーンが何か気が付いたみたい
「だから作って頂いた料理はどれも辛さで誤魔化さずに塩漬けとか燻製で下処理するから薄味でも美味しく感じるんだ」
流石の主婦歴三十年だね
メネシスでは肉の臭みとか野菜のエグ味を誤魔化すのに少し濃い味付けで辛い香辛料を使った料理が多いので私の料理だと薄味に感じるんだね

しかし凄い勢いで追加のお肉が届く
牛と豚は薄切りなので数枚纏めてしゃぶしゃぶしてだもんね
私は牛と豚を十枚ずつと鶏肉を数切れに白岩貝とか切り身魚を数切れで御馳走様です
ビールを飲んで追加が届いては皆んなの胃袋へ瞬時に消えて行く光景を楽しんで見てるよ
まだ舌がヒリヒリだからビールのペースが早いけどね

いったい何キロの肉が消えたのか皆んな一時間位黙々と食べ続けて居たもんね
さて飲み雑談モードになるね
「ふ~食べた食べた」
ジルがお腹をさすりながら満足そうな顔をしてるよ
「昇級も嬉しいけど一撃でサラマンダーを御二人が仕留めた瞬間を見れたのが感動でした」
”ケンプファー達ならサラマンダーを倒せる日も遠くないよ”
「俺達が!?」
「パーティーのメンバー構成もだけど二日間一緒に居て人間関係も利害でなく目的と信頼で硬く結ばれていて」
七海に続くよ
”戦闘時の連携も素晴らしいのもあるけど一番は各々の役割に対する自信と信頼が素晴らしいよ”
続く七海
「思い立ったら冒険者でなく五年以上きちんと修行や準備をしてからって大きいよね」
「そう思い付きや自分過信で冒険者を始める者も多く大理石級や銅級は階級別死亡率で鉄級以上に比べて数倍でギルドも頭が痛いんだよ」
唇を噛み締めるジル
”あと私の見立てになっちゃうけどまだまだ成長できる可能性を感じるけど焦らないでね”
「なんかそこまで褒められると嬉しいけど恥ずかしいですよ」
少し顔が赤らんでるケンプファーも可愛いね
「まあ彩美や七海みたいなチート級は別だから私も大理石級から銀級になるのに五年そして銀級で三年粘って金級だったしね」
「頭ではわかってるけど俺とサイは覚醒者でないので老いと残り時間を考えて気が急いてしまう」
セレンがケンプファーを抱きしめる

不思議と覚醒者は非覚醒者をパートナーに選ぶ事が多い
それが必ず老いて死に向かうパートナーを見送る苦行が待っているとわかっていても
かつて「人」であったことの自分への想からなのか・・・ただ覚醒者同士が出あう確率が低いだけのか
”私の刻が限りあるものであった時・・・私は絶望から命を捨てようとしたことがあった・・・その時に私が出会い救ってくれた最愛の人・・・私は誓った限りある時間の残りを全て最愛の人への想いに注ぐことを”
あっ美香が言うドリーマーモード・・・やっちまった
「その思いの結果が覚醒したあとのチート級に繋がるまで!そうか!限りあるから!なら俺も!」
なんか私のドリーマーより脳筋なケンプファーの意味不明だけど何かを感覚で理解した言葉
セレンはケンプファーの言葉に何かを感じたのかケンプファーを抱きしめる腕に力が入ってるよ
ケンプファーの脳筋的反応で何か乗り切れた感謝だけど何時の間にか七海が私の腕に抱き着いてるしジルはそれを見てなんかほほ笑んでるし
もう私のキャラ位置付けはどうなってしまうのか
「彩美は今のままでいいよ」
私が感じた心の葛藤を察した七海が耳元で囁く

それから話の流れは普通の雑談に戻りお腹もいっぱいになりジョッキも空いたので少し疲れはあるけど時間が早いのでジルの案内でガイアのクラブみたいな場所に河岸を変えたよ
店はメインストリートから少し奥に入った小道にあるんだけど店内に入ると広さに驚いたよ
幅三十メーター四方位でメインストリートの飲食店だと六~八軒位入るサイズだよ
店内は薄暗く軽快な音楽が大音量で流れてる
入口から一番奥側は端から端までバーカウンターになってるね
右側には小さいけどステージがあり三人組が演奏している音楽が店内に流れてる
壁際には直径五十センチ位の立ち飲み用テーブルが何十卓と並んでカップルや友人同士でグラスを片手に楽しんでるよ
店の中央はダンスフロアーで音楽に合わせて多くの人が踊り天井に下げられたミラーボールの反射光で非現実的な空間を演出してるね

皆んなで空いてたテーブルを囲むと上下ビキニアーマーで派手な化粧をした若い女性がやってきた
「飲みのもどうします~」
何人もビキニアーマーの若い女性が居るなって少し不思議に思ってたらウエイトレスさんだったのね
テーブルにコイン用の小皿があったので金貨を数枚入れる
「彩美さん俺らも・・・」
”今日は昇級祝いだよ”
から注文だね
ジルからウイスキーに似た火酒ってお酒があると聞いていたので七海と私はソレをストレートでお願い
他のメンバーも各々好きなお酒を注文したよ

しばらく雑談をして待っていると大きなトレーに大ジョッキを乗せてウエイトレスが戻って来た
ってやっぱし怪力だね片手の平にトレーを乗せるウエイター持ちで大ジョッキが七個とか私だったら両手でも持ち上がるかだよ
テーブルにジョッキを置いてコイン皿で会計をするとウエイトレスは別のテーブルへ
「「乾杯!」」
ウイスキーに近いと聞いていたけど近いでなくウイスキーだね
ガイアと違うのは洩れなくアルコール度数が高い多分六十度はあるんじゃないかな
味はかなり嫌では無いけど苦味が強いね樽を焦がす工程の後処理がガイアと違うのかな
でもこの度数だとこれくらい味が濃い方が飲みやすいね
「これ癖あるけど美味しいね」
七海も同じ感想だね
しかしストレートでも大ジョッキとか酒と辛さ耐性に関してはメネシスはガイア感覚だと異常だよ
一杯目は雑談をしながら少し休息も兼ねて飲みモード
ジルの飲んでる透明なお酒も気になったので一口貰ったよ
”うが!これはスピリタス!?”
「これも火酒なんだけど彩美達が飲んでるのは麦でコッチはジャガイモが原料だよ」
ジルの説明を聞いて納得だね

一杯目を飲み干したら少しフワフワと気持ちいいね
まあこの度数を大ジョッキだからね
ジョッキが空いた事を察したウエイトレスが注文を聞きに来たよ
七海と私は麦火酒が気に入ったので同じのだよ
再びジョッキが届いたよ
追加でおつまみに漬物とチーズの盛り合わせもね
クラブで漬物ってのも不思議な気分だけどメネシスで漬物は万能な肴感覚で場所選ばずあるんだよね
二杯目を少し飲むとジルはサイを連れてケンプファーはセレンと一緒に踊りに行ったよ
残ったメイレーンが聞いて来たよ
「御二人は踊らないのですか?」
「私達は見てる方が好きかな」
「私とサイも見る方なんですがサイが踊りに行くなんて珍しいです」
ダンスフロアを見ると確かにサイはぎこちない感じでジルがリードしてるね

踊りに行かない私達に気が付いたウエイトレスがハイチェアを持って来てくれたよ
「サイが笑顔なんて珍しいよ」
「そうなの?」
「小さい頃から自分の体格を活かせる職業は冒険者だ!って決めたけど師匠になる人も居ない小さな村だったんで一人で毎日黙々と山に行き修行を続けていたら人と接することが少なくて少しコミュ障になちゃったんだって」
”口数が少ないな程度だと思っていたけど”
「私もそんな感じで気にしてないんだけどサイは気にしてるみたいなんだよね思うように人と話せないって」
「サイの悩みも解決する日は近いんじゃないかな」
七海の視線の先を追うとギコチなさが抜けたサイがキレすら感じる動きでジルと二人笑顔で踊ってるよ
メネシスでもかなり巨躯な二人で片腕のジルだけど体格から想像も出来ない俊敏さと綺麗な動きで周りを囲むギャラリーも出来始めてるよ

麦火酒の二杯目を飲み干すと少し七海がトローンってなって私にもたれ掛かってきたよ
私も軽い酔いを感じるよ流石にこの度数でこの量となるとね
でも麦火酒の癖が私達を虜にして三杯目を頼んじゃったけどね
「御二人を見てると私も新しい恋をしたいなって思うけど忘れられない・・・いや・・・私が忘れちゃうとあの人の存在が無くなっちゃう」
”本当に愛していたんだね”
「あの人は限りある刻だから必ず見送る事になるって覚悟もしてたし”俺が死んだら俺に縛られず自由に生きてくれ”って口癖のように言われていたけど早過ぎだったよ鍛冶屋として生活も安定してきたからそろそろ子供でもなんて話しになった時になんて」
”忘れる必要はないよ・・・そして急ぐ必要もね永き刻を過ごして居れば亡き御主人のことも一緒に受け入れてくれる人に出会えるよ絶対に”
「そうだね出会いを楽しみに待つわ」
中学生くらいの容姿に似合わない大人の哀愁感が漂う表情のメイレーンだね

音楽が納まると拍手と大歓声を背にジルとサイがテーブルに戻って来たよ
あっ手を繋いだままって野暮な考えはやめようね
”二人とも凄い!”
次の曲が始まりケンプファーとセレンは踊り続けている
「サイの上達が早くて面白かったよ」
「ジルの教え方が上手だったから」
ジルさんからジルになってるね
サイとジルはハイチェアに納まらないので立ったままだけどサイがジルの腕が無い右肩にもたれ掛かってるよ
寄り添う腕に少し力を入れて七海が気が付いたよって
メイレーンも何か察した感じだけど気にせずサイを褒める大人の反応だね
「凄かったよサイ」
「ありがとうメイレーン初めてだったけどジルが本当に丁寧に教えてくれたから」
二人は芋火酒を頼んで一息でジョッキを飲み干し再びダンスフロアへ

「ずーっと笑顔のサイが幸せそうで嬉しいな」
”本当に何処に出会いがあるかはわからないね”
「その先ほどの話だと彩美さんも七海さんと奇跡的な出会いだったんですか?あっ無理には・・・」
”理由は話せないけど私が自死を考えるほど難しい状況になった時に偶然出会い私じゃ無理だった状況を解決を全力でしてくれたの”
「どんな事があっても彩美さんが自死を考えるなんて想像できないです」
”七海と出会って強くなれたよ出会う前は・・・”
ジョッキの酒を一息に飲んで少し落ち着く
”七海に魂を救われた私は七海のために残りの人生を全て注ぎ七海を守るって誓ったの”
「困難に苦しむ彩美に逢った時・・・絶体絶命な状態でも自分の命より民の命を守る為に奮闘してる姿に感動して惚れ一生寄り添うことを決めた」
うまく現実を最果て北国の姫様設定に言葉を置き換えたり丸める七海だね

”それからほぼ同時期に覚醒した私達は永遠に刻を一緒に過ごしたいと結婚をして二つの国を一つに纏めて小競り合いが続く隣国関係を終わらせようとしたんだけどね”
「双方の一同大反対で私達を別れさせようと本格的な戦争に向かってしまい私達は王族から離脱宣言をして国を出たんだ」
ここら辺は冒険者になった真の理由を出せないから嘘で塗り固められてるけど何回も七海と設定を摺り合わして破綻しない様になってるよ
”行く当ての無い私達は冒険者になることを決め王都に向かうことにしたの”
「私達が王族離脱したことで戦争は回避できたけど国士を遡り私達の存在は完全に消されちゃったけどね」
ここら辺は万が一だけど余計な詮索をする者が出た時の対策設定ね
「愛を貫く為に王族を捨てることになるなんて」
まあ王族ではないけど私達の安住地であった新宿での安寧を捨てる事にいずれはなるから気分的には完全な嘘じゃないよ
”私は七海と一緒なら他は何もいらない”
「私も・・・」

「どうして私にそこまで話してくれるのですか」
”その問いに今はまだ答えられない”
「えっ?」
「貴方が成長し刻を迎えた時に全部話すから」
そうメイレーンが秘めた可能性は私達が表舞台から去った後を任す一人になる可能性が大きいから
「なんか不思議な御二人ですね意味不明なのに不思議と納得できちゃうし」
ここで踊りを堪能した四人が帰って来たよ
「久々にメイッパイ踊ったなセレン」
「ええ楽しかったね」
「ジルさんとサイのダンスは驚いた」
「本当にギャラリーの視線を全部持っていかれたね」
笑顔でジルに寄り添うサイをみてケンプファーが
「なんかサイが何時もと違くね?」
セレンが肘でジルを小突く
「鈍感にもほどがある」
ふぅ~と溜息交じりなセレンと困惑するケンプファー

新たなジョッキが届き皆んな一息で飲んで店を後に
ジルとサイはもう一軒行くとメインストリートに戻って行き
ケンプファー達は疲れMAXで家に帰ると北門方向へ
別れ際にメイレーンが私達に握手を求めて来たので未来のイメージを送ったよ
何かハッとしたメイレーンが耳元で
「うん理解は出来ないけど感じることは出来た私頑張るよ」
ってね

流石に麦火酒をあの量は効くねえ
少し千鳥足の私達は夜の喧騒を楽しみながら黒泉館の自室へ戻る
酔いと疲れでこのままベッドに倒れ込みたいけど埃と焚火の煤まみれで気持ち悪いからお風呂へ
服も下着も脱いでテラスへ出てまずは我慢してた紫煙を堪能
足元が覚束無いので椅子に座るともたれ掛かり七海が体を預けて来たよ
「さてシードは芽吹くかな」
”芽吹く為に必要な水は与えられるけど芽が出るかは本人の想い次第だからね”
紫煙を堪能し七海を抱える様に風呂へ行き髪と体を洗い湯舟へ
「麦火酒は美味しかったけど危険だな」
”飲み口は軽いけど度数が半端ないよね”
ナターシャがキンキンに冷えた白酒を持って来てくれたよ
呼鈴鳴らしてないって無いのにって思ったら
「説明は出来ないのですが御部屋にお戻りなると感覚でわかるんです」
何か部屋とシンパシーを結ぶ契約魔法とかがあるのかな
まあ深くは考えないよ助かってるからね

白酒を飲み切ったところで
「ふにゃ~」
あっ七海が完全に落ちかけてる
”ベッド行こうか”
「今日は猫だよにゃぁ~ん」
体を拭き終えたら七海を御姫様抱っこでベッドへ
膝立ちで七海に跨り酔いでとろける顔を見下ろすと我慢できない
上半身を倒し七海の唇に重ねるよ
柔らかくて温かいよ
その感触を楽しんだら七海の唇を割り舌を入れる
私の舌が七海の舌に絡んだ感触を感じた後は身を委ねてきたよ
まだ火鍋で受けたダメージが回復してない絡む舌先が心地よく癒され意識が飛びそうになるのを今日は耐えるよ

七海が重なる唇を自然に離す
「まったく無茶するから荒れまくってるよ」
”ごめん”
「そこも彩美だから大好きだよ」
今度は七海から唇を重ねに来て私の唇を割り私を癒すように優しく撫でてくれる
そこから薄く白く瞬く脳に負けない様に今日は七海を・・・
バストのトップを唇で楽しみながら手で揉むけど女体化してわかった女子の体
胸なんてただ男の欲のままに揉まれても脂肪の塊でブルンブルンするだけで何も感じない
愛する人揉まれてるって感情から快楽が生まれる不思議という男ではわからない感覚もあるのも理解できるようになったけど
胸の少し奥にある乳腺を刺激されると起きる果て無き快楽は男の体では理解出来ない感覚
痛みにならないギリギリの力で胸を押し潰すように少しコリっとした感覚で乳腺を見付けたら優しく揉み解すよ
「あっあっ・・・」
胸の芯へ与えられた刺激で激しく痙攣する七海を楽しみながら舌は臍周りを攻めながらアソコへ

そこからは私の記憶も飛び飛びだよ
酔いに任せネコとタチを何回も入れ替わりお互いを貪る
タチとして精神的な快感・・・ネコとして肉体的な快感・・・
気が付くと二人軽く痙攣する体で抱き合い唇を重ね微睡みから意識が闇に落ちて行く・・・
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登場人物紹介

彩美<主人公>

女装癖のある男子高校生

平穏な高校生活が崩れた時に出会い救ってくれた七海と恋に落ちる

七海との出会いで高校生活を送りながらニューハーフとして生活することを決め新宿のMIXバーで活躍する生活を送る

少し普通ではないけど七海と一緒に平穏な日々を過ごしていたが突然の異世界転移で女体化する

異世界転移で与えられたご都合主義は「無敵チート」だけで苦労満載の異世界生活が始まる

唯一与えられた無敵チートの意味を日々考えている

七海<ヒロイン(純女)>

新宿二丁目にあるMIXバー「セブンシー」のオーナーでママ

店を開くまでは歌舞伎町で伝説級のキャバ汝として活躍していた

絶望の淵にいる彩美を愛し救いの手を差し伸べ恋人になる

少し特殊な性癖を持つため彩美と少し不思議だけど幸せな同棲生活を楽しんでいた

ある日突然の異世界転移した彩美の帰りを待ち続けている

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