第41話~水晶級~

文字数 8,677文字

馬車の来た道を逆に駆け抜け王都方向に戻る
南門の二リーグ手間で感じたよ
少し行き過ぎ感覚が消えた所で脇の小さな森に入り馬を留める
先ほど感じた方向にある五リーグ位離れた山の中腹を鷹目で見ると猟師の姿をした男が鷹目で街道を見張ってるね
七海が腕を男に向けると目が赤く光り出し鷹目を使い出したのがわかる
出現した細い光る矢は一本だけ
鷹目を使って精密に狙いを付けると
「光矢」

矢は真っすぐ男に向かい額を打ち抜く
その瞬間に馬を煽り男の元へ全力疾走で駆け抜ける
馬の脚に部位強化を施し連続疾走の負担を減らすよ
険しい山道も走破し十分もかからず男の死体へ到着する
少し遅れて七海も到着する
男の荷物を漁ると袋に入れられた託鳥が見つかった
七海が手の平を当てると私達では理解できない言葉を発する
「目的地と託す内容はセットされてるね」
託鳥を袋に戻すとポーチに収納して別の袋を取り出す
袋の中から先ほどの託鳥とは別の予め狭霧に録音と目的地を設定してもらった託鳥を空に放つ
託鳥は王都の目的地に向かって空を駆け一直線に向かう
私達は山を降り南街道に戻ると少し王都方向に行き西街道に向かう脇道に入る

「来たよ」
ナンシーが手を上げると託鳥が降りて来て留まる
頭を撫でると狭霧の声で
「見張りは始末した」
と託された言葉を伝える
横で一緒に言葉を聞いたケンが
「全員行くぞ!」
「「おおー!」」
約二百名の闇の国国軍第一師団隊員が一斉に馬に乗り込み隊列を組む
そうここは王宮の中庭
私の連絡まで出陣の待機をしていた
ケンとナンシーの馬を先頭に南門を抜け西街道に向かう脇道へ向かう道を駆け抜ける

さっきの猟師は反逆兵の監視役で南門からリガヅイ家に向かう国軍を確認したら託鳥を本隊に飛ばし西街道から王都内に進軍する手はずになっていたんだよ
放置して置くと中々出撃してこな国軍を不審に思い城内が見える場所に移動して
人影のない中庭を見て既に出撃をしているが南街道に来てないこと伝えられると西街道に国軍が来る可能性を考へ臨戦態勢になられてしまい国軍の奇襲が失敗し被害が多くなるからへの予防対策だね

私達は西街道に出る少し手前で道を外れ西街道に並走する状態で森の中を王都と逆の西へ向かうよ
数リーグ進むと森の中から西街道で隊列を組む反逆兵達が見える
そのまま森に隠れながら隊列の一番後ろまで行き森に潜む
予定時刻を超えても託鳥が来ないのに反逆兵達はイライラしてる感じだね
反逆兵の本体は反逆貴族が約三百人に隣国軍約五百人で合計約八百人
しかし五百人もの他国軍が感ずかれる事無くここまで進軍してるとは反逆貴族の手引きが無ければ無理な所業だね

これに対して国軍は二百人
国軍の人数が異常に少なく見えるけど平時王都にいる人数は一師団の二百人程度
別の一師団と交代で貴族領地で無い辺境の巡回警備をしているので総数でも四百人
通常は王都が奇襲を受ける事は無いので王都手前の貴族領地や村が襲われた段階で連絡があり貴族達に出兵を要請し兵を集め千人とかの大軍になる
王都に千人とか常駐する場所を確保するのも維持費も恐ろしい事になるからね

主街道の一つである西街道の道幅は大型馬車が余裕ですれ違う為に十メートル位ある
今回の反逆軍の主目的は王宮制圧なので機動力の高い騎馬兵が隊先頭に三百騎で五騎ずつ横に並んで列を作っている
後の五百人は歩兵で王宮制圧後に王都制圧を担う
歩兵は横に十人ずつ並んで列を作っている
最後尾には重歩兵に囲まれた騎馬が数騎いるねコレは司令部というかお偉いさんだね

国軍は騎馬兵のみで構成されているから戦闘開始時は騎馬兵対騎馬兵の混戦にならない様にケンは中央突破を狙って来るだろうから・・・
そう広いと言っても道幅の制限があり多数の兵が居ても思うように動かせない反逆軍それを逆手に攻めれば少数でも十分に勝機はある
それに国軍は全国から集まった志願兵の中でも最高峰の者だけが入れる一騎当千の集まりだしね

隊列の先頭から
「なんで森から国軍が!」
「どうなってる?」
等の叫び声と同時に剣を切り結ぶ音が聞こえ始める
少し手前から街道脇の森の中を静かに進んで反逆兵から見えない様近づき直前で飛び出し奇襲だね
・・・はじまったね
”行くよ七海”
「ほーい」
私達は列の最後尾に飛び出る
”水晶乃剣よ”
「水晶乃剣よ」
剣に魔力を込める
私の剣は黒に青と紫が混ざった炎を纏った状態になる
七海の剣は黄金色に光り輝く

私達は横に並び隊列の先頭を目指し中央突破をする
魔力を帯びた剣は一振りで数人の敵兵を易々と切り裂く
剣が直撃した兵は体が割かれ二つの肉塊になる
腕や足だけ切り落とされるも兵もいるし運良く剣の範囲から外れ無傷の兵も居るが無視して全力で敵兵の隊列を割り隊列の前方を目指す
敵兵たちは前方か後方のどちらに備えればいいのかで混乱が起きている

歩兵から騎兵に切り裂く敵兵が変わり騎兵を数十騎を斬り倒した処で前方にケンとナンシーが見えたよ
七海が右に私が左に移動して列中央を国軍に譲り両端の残った騎兵を切り倒しながら列の先頭まで斬り抜ける先頭まで辿り着くと反転し馬に脚部強化を施し全速力で国軍に追いつき左右端の切り残した歩兵を殲滅して隊列の最後尾まで辿り着く
ケンとナンシーはワザと斬らずに残した最後部の馬に乗った貴族と思われる数人を捕縛していた
振り返ると街道は死体と手足の無い重傷者で舗装されている
何十人かは森に逃げ込んだ可能性はあるけど今回は殲滅が目的でないので放置でいいね

貴族の捕縛を終えたケンとナンシーが馬を降り私達の方に向かって来る
私達も馬を降り二人を出迎える
「闇の国国軍第一師団隊長のケンです」
「副隊長のナンシーです」
”白金級冒険者の彩美です”
「同じく七海です」
隊員の手前でね初対面を演ずるよ
「今回はご協力感謝いたします」
「私達は依頼を遂行しただけでですのでお気にしないでください」
ケンが
「では私達は王都へ逆族の搬送と王妃殿下に御報告に戻らさせて頂きます」
”怪我人とかは大丈夫か?”
「御二人のサポートがあり軽症者が数名ですのでお気になさらないでくださいませ」
王都に帰る国軍を見送るよ

国軍が見えなくなり七海と視線が合うと大爆笑
「「私達も王都に変えるのにタイミングがぁ!」」
”ズルしちゃおうか!”
「いいねぇ」
馬に跨り馬の背中に羽をイメージして魔力を集中する
羽根を背に携えたペガサスと化した馬で空を飛ぶ
地上からは夜の闇に溶け込んで見えない高さまで上昇する
七海と横に並んで空の旅はテンション最高だね
王都の上空を飛び見つけられ騒ぎになると面倒なので街を避ける様に黒泉館裏手から回り込むよ
少し海の上を飛ぶと黒泉館の隠し部屋テラスが見えて来たよ
着陸して翼を解除して馬を降りる

東の空には薄く灯りが差して夜明けが近いのを知らせてくれてる
翼から解き放たれた馬達はテラスの端で横になって寝てる
馬が立ち姿でなく横になって寝るなんてよほど今日は疲れたんだね
ゴメンね酷使して

呼鈴を鳴らすとナタリーがやって来てくれた
テラスにいる馬を見て
「大抵の事では驚かない自信がありましたがテラスに馬ですか!」
「今回の依頼でリガヅイ候に頂いたんだけど厩舎の準備してなかったので」
「でもどうやってテラスに?」
”ちょと色々あって空を飛んで帰って来てテラスに着陸したんだ”
「失われたと言われる飛行魔法ですか!」
”使える者が現れたとなると大騒ぎになるから毎度のメンバー以外には内緒だよ”

そう普段も飛行で移動すれば便利だけど飛行魔法は伝説時代の秘術とされているので私達が使えるとなると騒ぎを通り越して研究対象とかになる可能性も大きいので普段は使わないんだ
あと飛行が使えるとなるとチート過ぎて頼られる存在として私達は大きくなり過ぎ「英雄や勇者が全てを解決してくれる世界」になってしまい目的を達成出来なくなるからね
あくまで「絶対にいないレベルのチート存在」として頼られては駄目なんだよ

「厩舎は黒泉館の長期滞在者用を御準備出来ますがテラスからの移動をどうしましょう」
「今日は明るくなってきたので無理だけど夜の闇に紛れて飛行で海側から人が居ない森にでも移動して普通に移動して戻って来る予定かな」
”すごい面倒で申し訳ないけど今日の夜までの飼葉と水用の大きい桶をお願いできないかな”
「それは狭霧に言えばすぐに手配できます」
”あと白酒をお願いできるかな”
「では酒の準備と狭霧に伝えてまいります」

頼んだ物が届くまではテラスで一服
「流石に今日は疲れたね」
”そうだね魔力大丈夫?”
「ここまで減ったのは初めてだけど少し寝れば回復出来る範囲だよ」
”風呂入って一寝入りしたらギルドに報告に行かないとだね”
十分くらいで狭霧がやってきたけど
直径一メートルで高さも一メートルくらいある木桶を二つ運んで来たよ
本当にメネシス人は怪力だよ
片方の桶は飼葉がメイッパイ入ってるね
空の桶はテラスの水道横に置いてホースを使って水を張ってくれたよ
「厩舎も今日中に手配をしておきます」
狭霧が部屋を出るとナターシャが風呂のテーブルに酒を持って来てくれたよ

体を洗い埃を落とすとスッキリだね
湯舟に浸かり酒を飲み始めるよ
もう七海の目がお眠な感じでトローンってなってるよ
やっと魔力が体に馴染んだところでだもね
流石に疲れたよね

七海を抱き寄せ少しずつ明るくなるテラスを見ながら飲んでいたら七海のグラスが手から離れ落ちる
グラスが湯舟に落ちる前に受け止めサイドテーブルへ置き七海を見ると静かに寝息をたててるよ
七海を御姫様抱っこでベッドまで運ぶ
ベッドサイドで片膝をついて膝の上に座らせるようにして片手で七海の体を支え空いた手を使いタオルで髪と体を拭いてベッドへ静かに寝かす
ベッドに横たわる七海の裸体を見てると・・・駄目だよ我慢出来ない
七海の上に膝立ちで跨り顔を見下ろす
顔を近づけ唇を重ねる
唇の感触を満喫したら唇を割り舌を七海の中へ
舌に舌を絡め感触を楽しんでいると七海の体がビックって少し痙攣する

これ以上続けるとゆっくり寝てるのに起こしちゃうよね
でも・・・我慢できない・・・どうすれば・・・
軽く痙攣を繰り返す七海の目が薄く開く
ゴメン起こしちゃったよ
ゆっくり七海の両腕が上がり私の背に周ると少し浮いてた上半身を抱き寄せ密着させる
唇が自然と離れ耳元で囁きが
「いいよ」
もう一度キスをして・・・

柔らかくて温かくて気持ちいいよ
まだ微睡む意識で感じる抱きしめる七海の感覚
もう少しと思うけど今日はやらねばならぬ事が色々あるんだよね
私が起きた気配を感じ七海も起きたみたいだね
目を開けるとキスが出来そうな距離に七海の顔
七海の目が開き金色の美しい瞳と目が合う
「おはよう」
”おはよう”
軽いキスをしてベッドを出たよ
今朝は七海の疲れを考えて一回だけって思ったけど私も疲れていたみたいで一回目の絶頂で二人揃って意識を失ったんだね

テラスに出ると水を飲んでた馬達が寄って来る
漆黒の毛並み馬は私の元へ
七海の元へは白馬が
首を降ろし頭を寄せてきたので撫でると大きな舌で頬を舐めてくれたよ
昨日はあんなに酷使したのに懐いてくれたみたいで嬉しいよ
七海も白馬に顔を舐め回され信頼をアピールされてるね
頭をポンポンってすると舐めるのを止め再び水を飲みに行ったよ

一服しながら
「可愛いものだな」
”このままテラスを厩舎にしたいけどガイアに帰ってる時とか世話出来ないから無理だよね”
「厩舎の方が馬達も落ち着くんじゃないかな」
”そうだね”
「で名前決めた?」
”安直だけどダークにしたよ”
「はは私はフリューゲルだよ」
”翼かぁ良い名だね!”

お風呂で体を洗い軽く浸かったら出掛ける準備だね
今日はギルドに報告だけの予定なので普段着にコルセットをしてブーツで準備完了
時計を見ると十三時少し前なので時間的にも丁度いい感じだね
もう定番の流れで七海が私の腕に腕を回し少しもたれ掛かりながらメインストリートを冒険者ギルドに向かって歩くよ
「西街道が封鎖されてるらしい」
「何があった」
「夜中に国軍が西街道に向かってたから何かあったな」
街中は西街道の突然な封鎖と夜中に出動した国軍の話で溢れている
そうか死体の処理とかで封鎖されちゃったんだ
あの光景を一般人が見たらトラウマになるレベルだよね

冒険者ギルドに着くとミナイの居るカウンターに行くよ
「依頼の無事達成おめでとうございます」
”ごめんね朝一と思ったけど眠気に負けてね”
「リガヅイ卿と王宮から報告が来ておりますが内容に驚くばかりでギルマスを含めて対応に時間がかかって先ほど結論が出たので丁度よいタイミングでしたよ」
「なんか大変なことになったの?」
「順を追ってでまずは報酬からです」
二百万Gはギルドの口座に入金で必要時引き出し使えるよ
リガヅイ家の家紋が入った金のコインが渡される
「これ裏面に名前が刻まれてます」
”これが身元保証?”
「このコインを提示すればリガヅイ家の一族と同じ扱いになります」
使い道は色々あるけど必要に応じて貴族と同じ待遇を受けれるので持っていて損は無いね
まあ冒険者でも宝石級になれば同じことだけど冒険者でなく貴族としての場合が便利な時もあるしね

「次に昇級なのですが」
水晶のコインがカウンターに出される
「ギルマスも悩んだのですが今回の依頼では正統な理由なく国家転覆を狙う大規模な軍事行動を防いだというダイヤ級昇級対象依頼に匹敵するレベルで十分な成果です」
一息つくミナイ
「もう一つはリガヅイ卿と王宮の両方から昇級の推薦状が出された事です特に王宮からは二人の協力がなければ国軍のみで勝利できたか不明で仮に勝利出来てたとしても団員ほとんどを失う大規模な人的被害を出していたと第一師団団長の推薦も添えられて」
”なんか大事になってる気が”
「なってます!で裏事情を知ってるギルマスは自分では公平な判断が出来ないと光の国にある冒険者ギルド総本部ギルドマスターに託鳥で判断を仰いだんです」
「お手数をおかけいたします」
七海ぃ~!って本音的にはぁまあそうだよね
「託鳥を朝一で送って先ほど返信がありました」
”なんて?”
「過去に例の無い偉業であり本来であればダイヤ級へ昇級させるべき条件は揃っているが生者に三階級以上特進はない鉄則があるので水晶級へ二段階特進とするとの返信でした」
これもしかしてミカエルの連絡を受けてウリエルが裏で動いてる可能性あるね
「なので異例の異例になりますが二回連続の飛び級で水晶級への昇級が決定しました」

昇級の手続きを終え水晶のコインを渡される
「御二人の事情を知っていても本当に驚きですよ冒険者登録から一週間で水晶級とは驚きですよ」
「彩美の計画もあるけどミナイを含めた皆んなが助けてくれたから・・・ありがとう」
”本当にだよ・・・ジルとのコレは仕込みなしな本当に偶然な出会いが始まり”
「おう!水晶級に昇級かあ!二人には三日天下な私だったな!」
”ジル!”
「ミナイが託鳥をくれてな」
「バラさないでくださいよ恥ずかしい」

絶対に私達が水晶級昇格の祝杯を上げ酒場に行くとミナイは予想して一番最初に私達が昇級を伝えたいジルを呼んでくれてたんだね
”ありがとうミナイ”
「恥ずかしいです」
「ギルマスに少しだけ会えるかな」
ナイス七海!

ギルマスと話したのは込み入って話でなく午後はミナイを半休にして欲しいってお願いだけ
「祝い酒は人が多いほど美味いからな」
とギルマスは即答で許可してくれたよ
去り際に「多分だが明日は王宮への招待が届くから準備を二人に聞いておいた方がいいぞ」とのアドバイス
計画通りだけど準備って?
「でぇ何処で飲みたい?」
それは決まってるよ初めてジルと飲んだ思い出の場所だよ
引継ぎとか着替え終わったら合流の流れでミナイと一旦別れギルド酒場へ

テラス席を陣取り遮音結界を張ってピッチャーをジョッキ替わりにビールで乾杯だよ
周りの冒険者達の視線が少し怖いけど
畏敬すら超えて化け物も見る眼な感じ
冒険者登録から一週間で水晶級なんて記録の残る範囲で数千年の冒険者ギルドでも聞いた事のない現実
多くの冒険者は死ぬまでには金級って頑張ってる多くの冒険者達
それが一週間で飛び越えられた嫉妬と底知れぬ恐怖感的な存在

「ジル!水晶級とか気を使ったら彩美が泣くから許さ無いよ!」
「はは!わかってるよ!だって二人は友って言ってくれたから階級も立場も関係なく私は向かい合いたい」
”今の全ては私の物語に無い存在だったジルの存在から私達に声を掛けてくれた事から始まったの・・・だから本当に予定調和とか仕込みが一切ない出会いで友だよ・・・七海!美香を紹介出来る日が楽しみだね”
「美香とも絶対に気が合うね!」
からジルに美香の説明をしてると

「お待たせです!」
私服に着替えたミナイが合流で再度の乾杯!
乙女会話とか女子会的なことから今回の二連続飛び昇級で羨む者達へ気を付けた方がよいアドバイスとか二人から聞きいたりしてると
ってぇやっぱし来たよねこの気配
七海も感じて苦笑いをしてるよ
「御合席いいかな」
とぉ!椅子が全て埋まってるからって私の膝の上に座るんじゃぁな~い!
そりゃル布越しでもシファーの張りある肌感覚は気持ちいいいよ
じゃあなく!
”ルシファー!”
「おや座り心地は良い椅子なんだが少し騒がしいのお」

ジルが隣の空いてたテーブルから椅子を一脚持って来てくれたのでルシファーが移動したよ
「なかなかの座り心地だったのでそのままでよかったが」
”私も問題はないけど人目ってのを考えてよ”
こんなに身を張ってネタする性格じゃないはずだったけど変化も楽しいね
「ってぇルシファーさま!?」
ミナイが目を見開いてるよ
「二人の水晶級昇級となれば祝いに来ないとな」
”本当に色々ありがとう”

「ジルもミナイも本当に二人の為に感謝の限りだ」
「私はギルドの仕事しているだけですから」
「二人に助けられたのは私の方です」
ここで追加注文したルシファーとミナイのピッチャーも届いたので
「「乾杯」」
ジルが食事を色々注文してくれてるよ
「文字が読めなくてもほとんど困る事少ないけどメニューが読めないのだけは面倒だね」
「ガイアでは旅行に来た外国の方はどうされてるんですか?」
”周辺国の言葉に翻訳されたメニューがある店が多いよ流石にメネシスでは日本語とか英語はないしね”

「そうそうルシファー王宮に行く準備ってなに?」
「二人の場合は服装に関しては冒険者服が正装なので問題ないが二人はスッピンでも十分美人だが一般的には女性は化粧をするくらいかな」
”そういえばメネシスに来てからメイクはしてなかったね”
「冒険者の方はされない方も多いですしね」
そういえばミナイとか受付女は薄化粧してるよね
「私は結婚式でしてもらった時以外したことないしね」
「じゃあ後でコスメショップに行こうね」
ありがとうミナイ

「今日の夜は申し訳ないが部屋で待機をして欲しい」
”使者かな”
「正式な王宮での謁見になると使者が日時を伝えに来るんだっけ」
「本来なら託鳥で日時調整をして使者が出向くのだが今更なのでそこは省略させてもらった」
”なんか本当に今更だけど体面って重要な時もあるからね”
「ジルとミナイならいいかなルシファー」
「私が今こうやって会ってる状態だから問題は何もないと思うぞ」
”じゃあ今晩は私達の部屋で女子会の続きをやろう!”

「じゃあ帰りに色々と買い出しだね」
”刺身もあると嬉しいな”
「託鳥持ってるかい彩美」
反逆軍の偵察から奪った託鳥をジルに渡す
ジルが託鳥に伝言を託して空に放つ

料理も届き昼飲み宴会開始!
ミナイもジルもルシファーもだよ七海と同じ勢いで凄い量を食べて飲んでるよ
飲む量なら私も負けないけど四人の数分の一でお腹いっぱいだね
お腹がいっぱいになるとルシファーはコイン皿に金貨を一枚いれて
「ゆっくりしたいが夕方に謁見が入ってるので今日は失礼をする」
と王宮に戻っていったよ
残った料理を三人が食べていると託鳥が戻って来たよ
ジルが託鳥から伝言を聞いて翻訳してくれたよ
「刺身準備出来るって!テイクアウトで準備しといてくれるって」
”うわあ嬉しい”
残りの料理を食べきり酒も飲み干したので買い出しに出発だね

まずはミナイに連れられてコスメショップへ
化粧品のラインナップはガイアと似てるね
アイシャドーとチークとか見分けの付きにくいのはミナイが説明してくれたよ
店員からサンプルを使って化粧をして使い心地を試してとメイクブースに案内されたので久々のメイクだね
ファンデは肌の色が多彩なメネシスだけあってピタッとハマる色があってよかったあ
アイシャドーはゴールドとブラウンで抑えめにしてみるかな
アイラインは壺ジェルと筆かあ発色はいいけど線を引くのが少し難しいよ
あまり濃くしたくないから上のラインだけで少し目尻を長めにする程度かな
マスカラは無いみたいだから省略
眉は太目が巷のブームみたいだけど細目のアーチ型でナチュラル感でいいね
チークはオレンジで控えめにして少しだけシャドーとハイライトを入れてピンクの紅を引いたら完成

同じタイミングで別のブースでメイクしていた七海が出て来たよ
ってえ!
「あら同じ仕上がりだったか」
七海の手を引き売場で待っていた二人へ
「すごい綺麗!」
「これは街中の男達が視線の先に困るな」
それぞれの言葉で褒めてくれたよ嬉しいな
店番の若い女性に使ったメイク道具と同じ物にアイシャドーとリップの色違いを何種類か追加でお願いしたよ
「ここまで化粧映えする御客様は初めてで御二人のメイクを見てて楽しかったですよ」

お酒やテイクアウトで色々なお店の料理を楽しんで買物してたら夕方だね
そろそろ部屋で待機しないとだね
四人で黒泉館に向かって歩き出すよ
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登場人物紹介

彩美<主人公>

女装癖のある男子高校生

平穏な高校生活が崩れた時に出会い救ってくれた七海と恋に落ちる

七海との出会いで高校生活を送りながらニューハーフとして生活することを決め新宿のMIXバーで活躍する生活を送る

少し普通ではないけど七海と一緒に平穏な日々を過ごしていたが突然の異世界転移で女体化する

異世界転移で与えられたご都合主義は「無敵チート」だけで苦労満載の異世界生活が始まる

唯一与えられた無敵チートの意味を日々考えている

七海<ヒロイン(純女)>

新宿二丁目にあるMIXバー「セブンシー」のオーナーでママ

店を開くまでは歌舞伎町で伝説級のキャバ汝として活躍していた

絶望の淵にいる彩美を愛し救いの手を差し伸べ恋人になる

少し特殊な性癖を持つため彩美と少し不思議だけど幸せな同棲生活を楽しんでいた

ある日突然の異世界転移した彩美の帰りを待ち続けている

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