第32話~イベントフラグ~

文字数 8,146文字

足の裏に地面を感じ始め肌に纏わりつく空気の感覚が強くなる
右手には七海と繋いだ手の温もりを感じ始める
目を開くと見慣れた石造りの部屋だね
以前と違うのは横に七海が居ること

「ここが彩美の部屋?」
”違うよ二人の部屋だよ”
「はははは一本取られたよ」
絶対に初の転移で緊張してるはずだけど感じさせないとこが凄いよね
私はベッドサイドテーブルの呼鈴を鳴らす
「それは?」
”これは魔法の呼び鈴で鳴らすと対になる鈴が鳴るんだ”
「ファミレスの呼び出しボタン!」
”そうだね一番合ってるイメージかも”
なんて話していると

コンコン
「失礼します」
”帰ったよナタリー”
「お帰りなさいませ御隣の方が七海様ですか?」
”うん”
「七海様ナタリーでございます」
「私も物語を読んで来たので会えてうれしよ」
「よろしくお願いをいたします御用があれば何なりと」
「ありがとう」

”あれ帰還後は狭霧に引き継がれるんじゃなかったけ”
「ガイアに向かわれた後にナターシャと話したのですが彩美様のお手伝いを出来ないのが寂し過ぎるのでルシファー様にお願いをして基本は私とナターシャで手が回らない時だけ狭霧でお願いいたしました」
”なんか寂しいとかうれしいよ本当に”
「ルシファー様を御呼びになりますか」
”うんお願い あと灰皿・・・と言っても分からないよね”
「そちらのサイドテーブルのはタバコですか」
”うん我慢できないので持ってきちゃった吸い殻とかは全部鬼火で消しちゃうから世界観の影響は大丈夫だから”
「灰皿は色々とお話をお聞かせ頂いた中でイメージ出来ておりますので使えそうなのをすぐに御準備します」
”お願い”
「あとお酒はどうします?」
”何かおススメでお願い出来るかな”
ナタリーが準備のために部屋を出る

「馴染んでるね彩美」
”それなりの期間居たからね”
初めての環境に少し興奮してる七海の顔が可愛いよ
我慢出来ずに抱き着き口付けをする
ルシファーが来た時に興奮状態だとツッコミが怖いので軽くだよ
「異世界で始まる新婚生活」
”はは滅多に居ない二人だね”

コンコン
「失礼いたします」
ナタリーが押し車を押して入って来たよ
「ルシファー様は謁見中で三十分後位になるそうです」
押し車にはワインのボトルとグラスと銀のスープ皿だね
「灰皿はこちらで如何でしょうか」
”ありがとう丁度いい感じだね”
押し車で持って来た物をソファーのサイドテーブルにセットしてくれた
「ではしばらくお待ちください」
ナタリーが押し車を押して部屋の出る

大量のタバコカートンを新しくソファーの横にあった棚に並べて収納したよ
何かガイアに行ってる間に部屋の家具が少し増えてたんだよね
ワインをグラスに注ぎ灰皿を持ってテラスへ
テラスの椅子に座り七海と乾杯
「おっ予想してたより美味しい」
”そうなんだよワインはかなり当たりが多いよ”
「でもアルコール度数がかなり高いね」
”こっちのお酒はどれもアルコール度数が高いんだよ”
テラスのテーブルに銀の皿を置いたのでタバコに火を着ける二人
メネシスで初の紫煙は不思議な気分だね

”あと気を付けるのは辛いの基準が全然違う事かな”
「それは危険だ」
七海も私と同じくらいしか辛い耐性ないので注意だよ
”こっちのピリ辛はガイアの激辛なんだよ”
「それはヤバイ気を付けるよ」
少しお腹が空いて来たねルシファーと話が終わったら初外出で何か食べに行きたいね

一服とグラスのワインを飲み切ったので軽く七海に部屋を案内するよ
といってもすぐ終わるけどね
「テラスの壁が高いんだね」
”この部屋は隠し部屋になってるから外から見ると壁に見えるようになってるんだって”
「あっ!温泉だ!」
”二十四時間入り放題!”
「それはうれしいね」
まあ後はトイレの場所を説明して終了

コンコン
「お帰りなさいませ」
クリスタルを溶かしたような声が懐かしいね
”ただいま”
立ち話も何なんでソファーに座って挨拶だね
「初めまして七海様ルシファーでございます」
「初めましてルシファー様」
”えーい!様は面倒なので省略”
「では七海よろしくお願いをします」
「うんルシファーよろしくね」

「七海の属性は光だったんですね」
”光魔法は物語では出番がほとんどないので設定が無くて共通魔法しか教えれてないんだよ”
「光属性ですと私も知識が深くありませんのでお教え出来る事が私も少ないです申し訳ありません」
”やっぱし闇と光は特殊だからそうなっちゃうよね”
「この部屋の秘密を守れ光属性に詳しいとなると」
”ミカエルかな?”
「流石ですね光の国大使館に赴任しておりますので」
”ミカエルなら状況を説明すれば理解してくれるのは間違いないね”
「ではコチラは後程に手配をいたします」

ではとルシファーが三人のグラスにワインを注ぎ乾杯
「しかし男時代の彩美でも七海とそっくりだったとお聞きしていましたが並ばれると双子ですね」
体のサイズの話とかルシファーにすると予想してたいたみたいだね
”あっ美香の強制覚醒も大成功したよ本当にありがとうルシファー”
「彩美ですので成功は信じておりましたよ」
”それで美香の部屋も準備をお願いしたいのだけど”
「既に手配をしております」
”流石だね”
「この部屋のお隣に同サイズの部屋を御準備中ですテラスは共有になります」
”うんそれは問題ないよ”
「出入口は別々に作りますが内扉も予定しておりますが」
”それは便利なのでお願いするね”

「今日はどのような御予定をお考えですか?」
”街に出て見ようかなランチして冒険者ギルドで登録して後は気分次第で”
「ではまずは出かける御準を致しましょう」
ルシファーが木製の小箱からバングルを個取り出しテーブルの上に並べる
”選剣儀だね”
「剣が主を選ぶ儀式だね」
この儀式は物語に出て来てるから飲み込みが早いね
「やり方はわかりますか」
「うん」
七海が左手の平を下にしてサイドテーブルに向け魔力を込めてる
「剣よ私に力を!」
二本のバングルが霞み出しドテーブルから消える
七海の左手首に消えたバングルが二個が現れる
「選剣儀無事に終了です」

「やはり二本とは驚きはしませんが七海も無敵チートですね」
「この色の一本は彩美と一緒だね」
”うん水晶と銀だね”
「確か水晶は最強万能で銀は水晶に魔法の面では敵わないけど防御に関しては水晶以上であってるかな」
”あってる!凄い細かいところまで覚えてくれているんだね”
「最低でも数百回は読んだよ休みの日は一日に十回とか読んだ日もあるしね」
「驚かないって先に行っておきますよ」
「水晶乃剣よ!」
七海の右腕に剣が現れる
水晶乃剣は日本刀に近い形状だね
「やはりあっさり抜きますか」
「剣よありがとう・・・銀乃剣よ!」
銀乃剣はデカいなロングソードだね
七海が剣を納める

「でも剣技なんて私知らないよ」
「剣技が無くても無敵かと思われますが私が型などの基本はお教えしますのでご安心ください」
「ありがとうございます師匠」
「師匠とか恥ずかしいのでやめてくださいね」

「次は七海の服ですね」
ルシファーが呼鈴を鳴らす
服が届くまでテラスに出て一服
ルシファーも興味深々で付いて来たよ
「知識としてはお聞きしていましたが実際に見ると煙を吸って吐き出すとか不思議な光景ですね」
もうウズウズしているルシファーがわかるよ好奇心旺盛なんだよね
”一本吸ってみる?”
「よろしいのですか?」
一本手渡すと指先の火で火を着けようとして上手くいかないでいる
”息を吸いながら火を着けて”
無事に火が着くが・・・
「ゴホゴホ・・・」
”初回から勢いよく吸い込み過ぎたね”
しかし最初から肺に入れるとは凄いね
今度はゆっくり吸い込んで吐き出すルシファー
「なんだか落ち着くってのは分かる気がしますね」

吸い殻は鬼火で消してメネシスへの流出とかで何か起きて干渉しないようにね
ルシファーもタバコは気に入ったみたいなので好きに棚にあるのを持って行っていいよって言ったら喜んでくれたよ
部屋に戻るとナタリーが私の時と同じで袋を持って待っていたよ
ナタリーが手伝い着替えると
デザインは私の服と同じだね
違うのは生地は淡い金色でアクセントラインと縁が濃い金色で入っていて帯も濃い金色だね
ブーツとコルセットグローブのデザインは同じでも黒革でなく白い爬虫類の皮に素材変更されてるね

”うわーバトルモードな天使降臨!綺麗だよ!”
「よくお似合いですよ」
壁の姿見を見てる七海
「うーんお店のコスプレデーで着てみたいな」
そっちですか
”えっ!?”
七海の背中に私と同じ形状だけど金色に輝く翼が現れ大きく開く
「おっ出せたね」
って初チャレンジですか
あまりに七海の姿が可愛いすぎて抱き着いちゃったよ
「これは美香が惚気の炎に焼かれるって言ってた気持ちがよくわかりますね」
七海は翼を仕舞いソファーに皆で戻る

ナタリーが小さな金と黒の布で作られた巾着をテーブルに置いて部屋を出て行く
「服が彩美からガイアでの着物に近いとの話で初詣話の時に聞きました巾着で財布を作ってみました」
”うわー可愛い”
「本当に可愛いな」
「とりあえずの活動資金で巾着には十万ゴールド入っております」
”このサイズに十万ゴールドって空間圧縮術が施されてるだね”
「はい」
”でもこんな大金”
「不足の時はいつでもお声がけください」
”クエスト報酬で返せるようにがんばるね”
「お気になさらずにですが彩美が望むのであれば楽しみに待っております」

おおよそ価値観的には1G(ゴールド)=十円な価値観なので巾着にはざっくり百万円入ってる感じだよ
物価も物によって誤差は大きいけど定食が一食百G=千円なので同じ感じかな
渡された巾着を手に握り開くと消えてるよ
「なになにソレ」
”難しい理論は分からないんだけど手の平の上の空間を歪めて違う次元に送り収納した感じかな”
もう一度手を握り開くと巾着が現れる
”違う次元と言っても手の平上と連動してるので何処でも手の平の上に取り出せるよ”
「うわー便利!」
”といっても次元が違うだけで手の上は変わらないので手の平に乗るサイズまでだけどね”
「まったく超上級魔法の一つを発動イメージ伝えたら簡単に実現とか本当にチートですよ」
”だってこれならスリとか怖くないし落とす事もないから覚えておきたかったんだ”
「あっこれって超上級魔法師で発動の依り代に魔法書を使う人が魔法書を収納しとく時の魔法だ!」
本当に少しだけしか記述のないおまけみたいな場所まで覚えててくれて嬉しいよ
七海も手の平に巾着を乗せ手を閉じると巾着が消えてるよ
もう一度閉じて開くと巾着が現れる
「おっうまくいった」
「まったく七海もチート過ぎです私ですら習得に一年以上を要したというのに」
物語には雑だけど発動を書いていたね・・・本当に私ですら書いた内容では足りなくてルシファーに教わって発動出来たのに七海は凄いな

「ではこの後は街をご堪能頂ければ」
”うん夕食まで済まして来る予定だけど戻ったら三人女子会でいいかな?”
「楽しみにしております」
ワインも丁度飲み干したのでボトルとグラスを持ってルシファーが部屋を出ていったよ
「本当に女王様でも出来る事はするって凄いね」

”さて初外出だあ!”
興奮から七海に抱き着き口付け
今回は我慢せずに欲望のままに・・・
どれくらいお互いを楽しんだのだろう
「ふふ私も彩美とペアルックでデートなんて心躍るよ」
街中で一服は出来ないので出発前に一服をして気合をいれて出発!

黒泉館も街中も頭にマップは完璧だから迷子はないね
街中は時間が進んで少し変わってるかもだけど大丈夫でしょう
部屋の入口から貴賓室の廊下へ一枚の扉の前を開けると同じ扉が並ぶ廊下
ここは長期滞在者向けの部屋が並ぶ廊下だよ
貴賓室への入口は部屋の一つに偽装されてるんだよ入る時は念通暗号が必要だけどね
流れ者が長期に滞在する場合に使う感じで流れ者設定の私達の出入りには最適な場所だね

階段を降りると黒泉館のエントランスだよ
うわあ!メネシスの住人がいっぱいだあ
「活力を感じるね」
”本当だよ”
外に出ると中世の城下町が広がってるよ
黒泉館はメインストリートの一番奥にあるので目の前の通りは広く左右には二~三階立ての石造りの建物が並び一階は全てお店になってるね
メインストリートは行きかう人々で溢れてるよ
肌の色は多彩だけど髪の色は属性に応じた赤に水色と緑なんだよね黒と金は滅多にいないから
服装は中世の西洋風
男性はシャツに袖切りベストとズボンが多いね色は多彩だよ
少しだけど甲冑だったり革鎧も見かけるよ
女性は男性と同じかロングワンピースにコルセットでお洒落をしてる子もいるね
うわ!まじでビキニアーマーとかもいたよ

七海が私の腕に腕を回して寄り添う
そうだねメネシスでは同性婚も普通だから違和感なく歩けるね
「お腹すいた~」
”そうだねお昼過ぎてるもんねボルケーノは夜行きたいからマナの台所でいいかな”
「うん」
両方とも物語に出てくる有名店だよ

マナの台所はメインストリートの真ん中あたりにあるはず
看板が読めないのが厳しいところだけど店を覗き込むと緑髪で幼さ残る顔の美人で茶色エプロン子を見付ける
マナだね
入口を入る
「いらっしゃいませ そこの空いてる席へどうぞ」
と席を指さされる
通りでもそうだったんだけど闇と光は非常に珍しく闇光のカップルなんてほとんど見ることがない存在で注目を集めてしまう
マナが注文を取りに来る
「初めてですか?」
”さっき街に到着したの”
「当店を何処かでお聞きになったのですか?」
”少し前に野宿で御一緒した方が街についたらマナの台所とボルケーノは絶対に行け!っておススメしてくれたんだよ”
「そうですか御来店嬉しいです」
メニューが出されるが読めない
「私達は北の奥地生まれで言葉は覚えて来たんですが文字まで覚える時間がなくて」
ナイスだよ七海!決めていた今回の設定を綺麗に使ったね
「そうでしたか飲み物はフルーツジュースが何種類かビールとワインがありますよ」
”じゃあビールで”
「私も」
「お食事は単品もございますがランチのサンドイッチセットでいかがでしょうか」
”それ旅人の人もオススメしてたのでソレで!”
「では少々お待ちくださいね」

水色髪の十代半ば位なボーイッシュな女子がジョッキを持って来たよ
確かアルバイトのシチリアだね
「はいビールです」
持ちての付いた木樽をイメージした大ジョッキにナミナミでうれしいね
乾杯をして一口・・・が二人とも飲み干してしまった
”お替わりお願いします”
すぐにシチリアがお替りをもってきてくれたよ

「私はシチリアと言います」
「今後はよく来ると思うのでよろしくね」
「お姉さん達って旅の途中なのですか?」
”ううん冒険者やりたくて北の方の国からこの街に来たの”
「闇と光の御二人だったので何処かの国の王族かと思ってました」
「王族でも端くれの端くれで一旗揚げようって駆け落ちは内緒だよ」
おしゃべり好きなシチリアがこれで私達のことを彼方此方に話してくれるので計画通りだね

料理はすぐに届いたよ
バケットがニ十センチくらいで縦半分に切れてて・・・イメージ通りサドウエイのBLTサンドだね
付け合わせはMのポテトフライが山盛り
完全に作品のイメージ通りで最高だね
「「いただきまーす」」
うんマヨネーズにケチャップのオーロラソースで美味しいね
んんんんうがぁ~
あっ七海も涙目になって口が一文字になってるよ
「「辛いぃいいい」」
ハラペーニョに似た食感のが辛い
「彩美が言っていた意味がわかったよコレでアクセントの辛さとは」
二人で一気にビールを飲み干しお替りをお願いする

先ほどの空気感が気になったのかマナがビールを持って来たよ
「どうかされました?」
”私達の住んでた国だと辛い料理がほとんどなかったので”
「もしかしてグリーンチェリーが駄目でしたか」
「それなのかな少し柔らかい感じで厚みのあるの」
「それですねピリ辛程度のはずなんですが」
”私達に辛さ耐性が無さすぎなんで気にしないで”
「次からは抜きもできますので」

なんとか大量のビールを消費して完食
美味しかったけど次はグリーンチェリー抜きは決定だね
「御会計お願いします」
「はーい!ってランチ二つに・・・ビールがニ十杯!!」
”グリーンチェリーに勝つためにはで”
「それよりまったくビール一人十杯で酔った気配もないのが凄いです」
まだ二十杯は余裕だよとは言えないね
「ランチが百Gでビールが五十Gなので千二百Gです」
七海が巾着を出したけど悩んでるね
”金貨を二枚で大丈夫だよ”
七海が金貨を二枚渡すと銀貨が八枚帰って来たよ

さて次は冒険者ギルドで冒険者登録なんだけど嫌なイベントフラグを感じるよ
七海も感じてるのか腕に回してる腕に少し力が入ってるよ
このままメインストーリートを真っすぐ歩けば後二ブロック位でギルドの支部なんだけど
横道の少し薄暗い通りに入るよ
1ブロック進んだら横の脇道に入ってメイン通りからは見えない位置取りをするよ
「勝手によい場所に来てくれたな」
振り返ると革鎧を付けたムサ苦しい髭面の四十代位が三人と二十代位が四人で腰にはロングソードを下げてる
気が付いていたよだからココに導いたけどこいつ等は迷子でここに来たと思ってるね
リーダー格と思われる一番年長で他のメンバーに比べ筋骨隆々なツルツル頭が話しかけてくる
「自称王族崩れが戦士コスプレで何をしたいんだ?」
シチリアのおしゃべり伝達速度が速すぎ~
戦士コスプレ?チンプンカンプンな七海と私で顔を見合わせてしまったよ

「魔剣のバングルが二本とか何を考えてコスプレしてる」
「髪もどうせ脱色したり染めたりしてるんだろ」
「でもかなり上玉だし服も高級品だからたんまり持ってるんだろ」
言いたい放題だなあ
完璧に追いはぎイベントフラグだね
七海も気が付いたのか顔を見合わせて
「「ははははは初イベント発生!」」
ってハモちゃったよ

「軽く痛め付けて馬車に乗せてアジトで遊んでやりましょうよ親方」
「そうだな」
全員が抜刀をする
「なに死ななきゃ手足の一~二本千切れてもアジトに行けば治癒使いがいくらも回復してくれるんで安心しな」
どうするかねえ
”水晶乃剣よ”
「水晶乃剣よ」
七海と私の右手に魔剣が現れる

男たちが一歩下がり表情が引きつる
「親方あ!マジモンじゃないですか!!どうするんですか!!」
「うるせー!魔剣が二本とかありえねーから認識阻害が施してあるコレもコスプレアイテムだろ!」
あーあ現実逃避始めちゃったよ
彼らの目では見えないよね七人の間を七海と駆け抜け全員の剣を砕く
水晶乃剣で軽く叩けば唯の鉄剣なんてバラバラに無散だよ

駆け抜け振り向くと手首を抑えて脂汗の男達
剣が砕いた衝撃が剣を持っていた手と手首までの骨を粉砕してるよね
さて仕上げは必要ないよね
さっき感じた本命のイベントフラグが発生したね
「そこまでです」
振り返ると十代前半の幼さ残るセンター分けで肩までボブの金髪美女
白ロングのワンピースに茶革コルセットとシンプルな服装だけど隠し切れない貴賓さ
”ミカエル・・・”
小さい声で呟くと少女は私の耳元で
「創造主様・・・御無礼をすいません」
と小声で呟き私達の前に出る

「ユリネス王国の皇女とフィアンセを追剥しようとは無礼が過ぎたなガネ盗賊団」
「なぜ光の国の・・・」
ってぇミカエルが色々と勝手に設定作ってるんですがぁ!?
「仮住まいである闇の国であっても治安を乱す者は看過できないでな」
ミカエルを護衛してた近衛兵達が男達を取り押さえ連れて行く

裏道の入口は近衛兵が警護してるけど通りに一人残ったミカエル
色々聞きたいけど
”ねえユリネス王国ってなんで?”
私の斜めな疑問に素直に答えてくれたよ
「百合で寝る=ユリネを複数形にしてユリネスで咄嗟に思いついたのですが」
「ははははは私達の仮初の国名としては最高じゃないか彩美」
あいかわらす鈴を転がしたような笑い声が気持ちいいよ
ミカエルは初めて会った時のルシファーと同じで色々と察してるね
「本日の夕食はボルケーノで考えておられますか?」
”うんって逆も正なりかなの流れ”
「では十八時に個室を予約しておきますので詳しくは冒険者登録を済ました後程で」

まったくミカエルと話はあとでいっぱい出来そうなので
”七海!冒険者デビューに行くよ!”
寄り添い腕に抱き着く七海の腕に力が入って体を押し付けて来る
うん伝わってるよ!私は貴方にずーっとついて行く!ってね
私もだよ・・・人気の消えた裏通りで唇を重ねるよ・・
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登場人物紹介

彩美<主人公>

女装癖のある男子高校生

平穏な高校生活が崩れた時に出会い救ってくれた七海と恋に落ちる

七海との出会いで高校生活を送りながらニューハーフとして生活することを決め新宿のMIXバーで活躍する生活を送る

少し普通ではないけど七海と一緒に平穏な日々を過ごしていたが突然の異世界転移で女体化する

異世界転移で与えられたご都合主義は「無敵チート」だけで苦労満載の異世界生活が始まる

唯一与えられた無敵チートの意味を日々考えている

七海<ヒロイン(純女)>

新宿二丁目にあるMIXバー「セブンシー」のオーナーでママ

店を開くまでは歌舞伎町で伝説級のキャバ汝として活躍していた

絶望の淵にいる彩美を愛し救いの手を差し伸べ恋人になる

少し特殊な性癖を持つため彩美と少し不思議だけど幸せな同棲生活を楽しんでいた

ある日突然の異世界転移した彩美の帰りを待ち続けている

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