第53話~勘の鋭い者達~

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ガイアに戻って三日目と四日目は特に大きな出来事も無く夜の世界を満喫
三日目は徳さんとアフターで四日目は初めて近藤とアフターだったことぐらいかな
近藤も義理堅いよね礼子の件にお礼とか
あっもう一つ月一のお客さんは四日目に帰って行ったので体調は回復だよ
そして今日はイブだよ

「はい次!」
柔道場に響く私の声
「お願いします」
襟を取りに間合いを詰めてきたけど脇が甘いよ
腰を下げ伸ばした腕の下を通り抜け袖を取り下げた腰を伸ばす勢いで投げる
ズドーン
と畳に叩きつけられる音が響く

明日にはメネシスに帰るのでしばらく間が空くと梶原が稽古に誘ってくれたんだよ
梶原の前では大の字で荒い息で伸びてる七海と美香
ワンセット終わって休憩中だね
そして何故か私は全部員と順に乱取り中とか

「あの子はいったい何者なんだ梶原」
部長が二人の回復を待つ梶原に話しかける
「高校時代の同級生ですよ」
「いやそうじゃなくて日本代表女子達でも勝てるかのレベルだぞ」
「護身術として一年位前に教えて欲しいと頼まれて趣味レベルで教え始めたのですが」
「筋がいいとかのレベルじゃない」
「彩美ちゃんは趣味以上では興味がないのがもったいないとは思いますが」
「女子部に所属してくれるなら中途特例入学を学園に推薦したいレベルだが」
「それは難しいと思います彩美ちゃんは別の夢を全力で追いかけていますから」

次が来たね
駄目だよ組立がわかり過ぎる
袖を取に来たけど直線的な動き過ぎる
少し軸をずらして空振りさせて釣り手で襟を取り引手で袖を取り足を狩る
ありゃ結構いい勢いで転んでしまった
受け身大丈夫かな
梶原から本当に上手い人は相手が受け身を取れるように投げるって教わったいたけど難しいな

「梶原以外は全員撃沈か凄いな」
次は部長さんですかあ!
「お願いする」
完全に私の腕を見極めモードだよね
うわあ早い!
袖と襟を取に来るのを捌くだけで目いっぱいだよ
梶原の攻めが甘く感じるほどの勢いだよ
あっヤバイ懐に入られる
いきなり部長が後ろに飛び退き青い顔になる
「あっ!」
思わず声がでちゃった
やってしまったよ
あまりに凄い気迫へ反射的に殺気が出ちゃった

「そこまで!」
梶原が止めてくれた
休息用にベンチに部長と並んで座り前に梶原が立ってるよ
「失礼だが彩美さんは何者なんだ梶原」
”梶原君!武の道を信じてもいい?”
「部長なら間違いないよ」
梶原は割り込んだ理由をわかってくれたみたいだね
”失礼します”
部長の額に手の平をあてイメージを送り込むよ
メネシスで戦った記憶の一部を
盗賊の野営地を七海とジルを従え走り抜け盗賊達を斬り続ける
目前にいる何百と言う兵に向かい馬を駆り中央突破で斬り走り抜ける
それらのシーンを瞬間的に切抜き一瞬に圧縮し送り込んだ

「信じられない・・・だが間違いなく現実・・・言葉に出来ないが理解し納得だ」
部長はスポーツドリンクを一口飲んで気を落ち着かす
”この状況を御理解頂けるとは武の道はすばらしいですね”
「全ては我が胸の内に留めるが次にこの世界へ帰って来た時も道場に来て稽古を付けてくれると嬉しいな」
”その稽古をつけて貰うのは私達で”

部長は梶原と交代で休息を終えた七海と美香の稽古を始める
「さて彩美ちゃん」
”はい!お願いします”
梶原との乱取りは本当に楽しいよ
柔道のルールを守る事で私の無敵チートは制限された状態
頼れるのは自分の肉体のみ
しばらくすると二人揃って大の字でひっくり返って荒い息な状態だよ
「数日前と比較にならない切れで驚いたよ」
”イメトレを頑張った”
「イメトレだけでここまで上達するのか」
”先生がいいからね”
「これは俺もオチオチしてられないな」

「さてもう一度お願い出来るかな」
七海と美香の稽古を一区切りした部長
”よろこんで”
今度は覚悟をきちんと持ったので殺気を出すことはないよ
うっ攻めを捌くだけで隙が見つけられない
あっ今なら!
部長の踏み込みが僅かに浅く隙を感じ攻めに転じた瞬間「違う!」と頭の中で叫び声が響く
完全に誘いに乗ってしまった
誘いに乗った私の攻め手は予想されており体軸をずらし躱すと同時に私の懐に入ってくる
バーン!
綺麗な一本背負いが決まり畳に叩きつけられたよ

練習を終えベンチで少しだけ休息
梶原からキンキンに冷えたスポーツドリンクを受け取る
汗で大量に出た水分が戻って来て生き返るよ
「今晩は信さんとお店に行く予定だよ」
”わあ楽しみ”
なんて少し雑談をしてたら部員達に次の練習指示を終えた部長がやって来たよ
「最後は誘いに乗ってくれなかったら危なかった」
”見事に乗っちゃいました”
「あの誘いが効くのは彩美さんと梶原だけだしな」
”えっ?”
「他の部員では数ミリの踏み込み差に気が付くなんてないからな」
”そういうことか意図した誘いで数ミリは無いと思い込んで反射的に動いてしまったよ”
「見えるが故の罠」
”勉強になります!ありがとうございます”
「いつでも大歓迎だ練習に来てくれな」

着替えて部の皆にお礼をしタクシーでマンションへ
美香はシャワーに自室へ
七海と私もシャワーを浴びたらタンクトップに短パンでベッドへ
「あっあっ気持ちいいよ」
”この辺りかな”
「そこそこ!」
言っとくけどエッチじゃないよ!
「ここまで彼方此方の筋肉がパンパンになるなんて」
”慣れるまではね”
「そういえば最初の頃は彩美も帰って来ると筋肉痛に身悶えていたね」
七海にマッサージをしてるんだからね

柔道の練習と一緒に教わった練習後のマッサージとかストレッチを施してるよ
少し魔力を込めてるので普通よりは格段に効果がでるはず
三十分位で全身を終えると
「おお!凄く楽になった」
とブンブン腕を振り回したりスクワットをして筋肉の状態を確認する七海
「ありがとう」
”私は七海の触り心地を楽しんだから”
良いタイミングでシャワーを終えた美香もやって来たよ
「うう彼方此方の筋肉がパンパンだよ」
と言う事で美香にも魔力を込めたマッサージとストレッチだね

ブンブン腕を振り回したりスクワットをして筋肉の状態を確認する美香
七海と同じ反応で思わず笑いそうになったよ
「ありがとう凄く楽になったよ」
ピンポーン
おっ届いたね
美香とリビングに行くと七海が受け取ってテーブルに並べているよ
今日のランチと出勤前の食事は宅配ピザにしたんだ
しかしテーブルのLLサイズ十枚とかダイニングテーブルでは場所が足りず半分はキッチンのカウンターに箱のままだよ
冷蔵庫から缶ビールを持って来て
「「乾杯」」
二人は凄い勢いで食べ始めたよ
私は数切れでお腹いっぱいになり傍観中

しかし何がどうなって二人はそこまでの大食いになったんだろう
覚醒してメネシスの人と同じ食事量になったのなら私もなるはずなんだけどな
これだけの勢いで食べるけどドカ食いの食べ方でなく一口が驚くくらい大きいだけで普通に食べてるから食べ姿は綺麗で見てて楽しいけどね
おっと
”はいビール追加だよ”
「「ありがとう」」
そう言えば美香が私達が帰って来てから凄いお腹が空くようになったとか言ってたよね
この図式ってもしかして私が気が付かない間にドレイン系を発動してるのか!?
とか考えてる間に二人の食事も終わったね

少しだけ飲み物はビールだけどティータイムだね
「彩美ちゃんが私達から何かをドレインしてる!?」
推測した理由を伝えたよ
「何も吸われてる感覚はないが」
「私もだよ」
「吸われるのでなく逆で彩美ちゃんと一緒にいると日に日に魔力がほんの少しだけど強くなって行く感覚だよ」
「私も彩美と再会してからその感覚は日々感じている」
お互いの顔を見て何か納得してる二人
”えっ何?”
「やっぱ彩美はこうでないと」
「お約束の彩美ちゃんだね」
はい!?何なの!?
「答えは彩美ちゃんが自分で見付けないとね」
「メイレーンの成長と共に見付けられるかもな」
なんか消化不良だけど今は二人から何かをドレーンしてたとかで無い事で良しとしよう

そろそろ出勤準備をしないとの時間だね
イブの今日は私達の結婚式周年もあるけどメインは例年通りクリスマスコスプレデーだよ
七海と私はメネシスでの冒険者服
サンタとかは溢れかえるから異色で行こうって七海の提案だけど異世界転移を知ってる皆んなにお披露目を兼ねてるよ
服はお店で着替えるのでメイクだけを済ます
今日のヘアセットは店で琴音に任すよ
ブーツは荷物にすると邪魔なんで履いて行きたいけど合わせる服が難しい
スキニーパンツとかイン出来ればなんだけど筒がタイト過ぎてレギンスとかじゃないと無理
レギンスだけで街中は恥ずかしいしで合わせると絶対領域が少し出来るフェイクレザーのインナー付き超ミニスカート
トップスは厚手の白ニットでシンプルにね
七海は黒ニットのミニスカ丈のワンピースだね

美香も準備を終えたと連絡がきたのでマンションのエントランス集合してタクシーでお店へ
お店に入るとフロアはコスプレ衣装に着替えるキャスト達で溢れかえる
着替え終わったキャストからバックルームに行きヘアセットを済まし開店準備を始める
私達も空いてるテーブルに陣取り着替えてヘアセットの列に並ぶよ
今日は琴音の仕事仲間も来てくれて三人態勢で次々と対応してる
「うわあ!和風サンタさん」
って琴音の感想
冒険者服のどこにサンタ要素を感じたか謎です
セットはハーフアップにして色々な和な感じのヘアアクセサリを付けてくれたよ
七海も同じ感じに仕上げてもらったよ
着替えもヘアセットも終わった三人だけど
バニーガールですかあ!美香あ!!
王道の黒スーツに網タイツとバニーカチューシャ
抜群のスタイルに相まって刺激度高すぎです

朝礼で並ぶキャストを見るとサンタからネタのトナカイにクリスマスに関係ないアニメキャラまで色取り取りで楽しいね
ゴスロリの紗季はロング黒髪とスレンダーが相まり黒リップがチャームで可愛いよ
「朝礼をはじめるよ」
静香の声がホールに響く
「ママよろしく」
マキに引き継ぐ
「今日は大ママと彩美の結婚周年とクリスマスイベントが重なり忙しい一日になるので気を引き締めて頼むよ」
「大ママお願いします」
「皆んなよろしく頼む」
信頼してるキャスト達に多くを語る必要はないんだね
静香が締めに入る
「大ママそして彩美ちゃん一周年おめでとう!」
「「おめでとうございます」」
皆んなありがとう
「今日も御客様が笑顔で帰り明日の活力になる一助として楽しんで行こうね開店だよ」

開店数分でほとんどの席が埋まったよ
「彩美ちゃん五番テーブルお願いします」
さあ今日も楽しむよ!
五番テーブルに行くと
”狩野先生!”
「手術を受けたと聞いてけど血色も良く元気そうでよかった」
狩野の横に座ると黒服がキープボトルを持ってきてくれた
ボウモア二十五年とか珍しいボトルがきたよ
メニューに載ってない客注ボトルで確か二十五万円とかだったかな
”飲み方はどうされますか”
「アイス無しの水割りで」
これだけのスコッチを頼むだけあって飲み方も心得てるね
ちょっとイレギュラーだけどキャストタンブラーにワンショット注いで常温のミネラルウォーターをダブルで注ぐ
軽くステアして完成
”おまたせいたしました”
「流石だね彩美さんもどうぞ」
”ありがとうございます”
狩野に出したのと同じのを作る
「乾杯」
”頂きます”
う~ん美味しい!水が違うんだよ!泥炭水で仕込まれた香り!
ロックでは香りが死んじゃうしストレートではアルコールに負けてしまう
そんな儚いけど素晴らしい香りを楽しむ飲み方が常温水割りなんだよ

「この飲み方とその笑み・・・楽しんでくれてるみたいでよかったよ」
”素晴らしき刻を頂き感謝です”
「酒も価値がわかる人に飲んでもらい嬉しいだろう」
そこから七海が入院した時の感謝などを少し伝えていたら
「ここは浮世だから先生はなしでな」
”はい狩野さん”
「酔っぱらいの興味本位で聞いてしまうが本当に性転換手術なのかい」
”えっ!?”
「骨格から女性に変わってるし手足の長さも少し変わりまるで七海ママの複製のような体型になっている」
”狩野さんは名医なんですね”
「名医とかでなく職業病で患者の微妙な変化に気が付くようにの癖かな」
”信じてもらえないと思いますが生まれ変わりました”
「信じるしかないな現代医学でここまで生きてる人間の骨格を作り変えるのは無理だよ」

「お久ぶりです狩野さん」
”おお七海ママ久し振りだお会い出来てうれしいよ”
私は席を立ち狩野の向かいへ座り七海が代わりに横へ座る
「七海ママも御一緒に飲もう」
同じ作り方の水割りを作って七海に手渡す
「「乾杯」」
「二人並ぶと双子だね」
”はい狩野さんが先ほど感じた私が七海の複製は間違いでなく事実なんです”
瞬間で七海が察してくれたよ
「異世界ファンタジーが現実になったなんて気が触れたと思われてしまうと思いますが」
「詳しい話を聞く前だが信じるしかないよ医者として医療技術の限界を超えた存在をこの目で見ているんだから」
そこから七海が徳さん達に説明した時と同じ話をはじめる

そろそろ話も終盤に入るところで美香が来た交代だね
「彩美ちゃん二番テーブルお願いします」
”狩野さん美香も私達と一緒なので”
「ではこのまま七海ママの話を聞かせてもらうよ」
”では一旦失礼いたします”
席を立つと話の続きが再会されたね

二番テーブルに行くと上田と新人の二人だね
ってもう新人じゃないよね
”今晩は上田さん”
上田の横に座る
新人二人の間には紗季が既に座っている
「結婚一周年おめでとう彩美ちゃん」
”ありがとうございます”
「さあ記念日だ小遣い貯めてきたからシャンパンだ!」
黒服を呼びモエを注文する
「二番テーブルさんシャンパン頂きました」

シャンパングラスが全員に行き届くと
「乾杯」
上田が音頭を取る
「「乾杯」」
「で新婚生活はどうなんだい?」
”極上ですよ”
「うちみたいにかかあ天下になることもなさそうで安心だね」

そこからいくつかのテーブルを周り一周年のお祝い言葉と多くのシャンパンを頂いたよ嬉しいね
服に関しても好評だけど琴音と同じ「和風サンタ」って感想も少しあったけど本当にどこのサンタ要素あるのか謎だよ
「彩美ちゃん五番テーブルお願いします」
と五番テーブルに戻ると徳さんに信さんと梶原が狩野と合流してたよ
徳さんがと思ったら狩野もジャック祭りに参加してるし
さて賑やかな浮世の本番が始まるね

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感想を一言でも頂けるとうれしく執筆に熱が入ります
掲載サイトによっては匿名で感想を書けないのでマシュマロを用意しました
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登場人物紹介

彩美<主人公>

女装癖のある男子高校生

平穏な高校生活が崩れた時に出会い救ってくれた七海と恋に落ちる

七海との出会いで高校生活を送りながらニューハーフとして生活することを決め新宿のMIXバーで活躍する生活を送る

少し普通ではないけど七海と一緒に平穏な日々を過ごしていたが突然の異世界転移で女体化する

異世界転移で与えられたご都合主義は「無敵チート」だけで苦労満載の異世界生活が始まる

唯一与えられた無敵チートの意味を日々考えている

七海<ヒロイン(純女)>

新宿二丁目にあるMIXバー「セブンシー」のオーナーでママ

店を開くまでは歌舞伎町で伝説級のキャバ汝として活躍していた

絶望の淵にいる彩美を愛し救いの手を差し伸べ恋人になる

少し特殊な性癖を持つため彩美と少し不思議だけど幸せな同棲生活を楽しんでいた

ある日突然の異世界転移した彩美の帰りを待ち続けている

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