第20話~二年参り~

文字数 8,692文字

「では基本魔法からということで進めさせて頂きます」
”うん基本から覚えてコントロールと変な魔法を使っちゃうの避けないとでね”
「変な魔法とは?」
”ブラックホールとかあったら間違えて出したら何が起きるかとか予想が付かないしね”
「ブラックホール・・・・言葉のイメージから闇黒穴(あんこっけつ)ですかね空間に穴が開き凄まじい吸引力であらゆる物を吸い込み次元の狭間に送り磨り潰してしまう魔法です」
”あるんだ気を付けよう”
「かなり上級というか最上級になる魔法ですので・・・無敵チートであっさり出しそうで怖いですね」

「鬼火は対象物質を闇の火で焼いて消滅させてしまうのでモンスターの討伐では使えますが狩猟目的ですと不向きな魔法になります」
”食料調達しようとしても消えちゃったら意味ないもんね”
「そうです今回は対象に物理的攻撃と同じダメージを与える魔法です」
壁際には新しく的の案山子が数体新たに並べられている
”魔法物理結界”
テラスを囲むように薄い紫色のガラスみたいな幅一メートル位の六角形が組み合わさって覆われていく
「流石です物理ダメージ系の魔法は魔法結界だけでは防げませんので物理結界も同時に必要です」
”結界は魔法との相関図を考えていたから今回は魔法と物理かなって”
「そこは流石に創造主特権ですね」
”でも考えてみると「まどか」が普通に物理攻撃無双で闇属性攻撃魔法って物語にほとんど登場しないから闇属性魔法に関しては知らないこといっぱいなんだよね”
「それで基礎からですね」

「今回は私が見本を先にさせて頂きます」
”うん”
おっ結界以外のルシファーの魔法を初めて見れるよ
案山子に向かって伸ばした右腕の周りに数本の黒い矢が腕を囲むように現れた当然だけど鏃は案山子の向きでね
「魔矢」
掛け声で案山子に向かって矢が放たれる
矢は案山子を貫通して結界にあたり砕け散り消えていく
案山子は穴だらけでズタボロになっている
「この魔法は属性を問わず使えますが属性により付帯効果は変わりますが」
”付帯効果?”
「火であれば火矢とかです」
”闇の場合は”
「強烈な貫通力です」
”装甲の厚い防具とか皮の分厚いモンスター向きってことかな”
「そんな感じです」

”じゃあやってみるね”
「見ただけで御説明は不要ですか?」
”うん”
車椅子を案山子の方向に向け右腕を伸ばす
腕の周りに数本の矢をイメージして腕に魔力を「ほんの少し」だけ込める
まてぇ現れた矢はルシファーの数倍太くて本数も十数本とかで矢に囲まれて腕が見えない
横を見ると結果にワクワク感満載な表情のルシファー
結界あるから心配なく好奇心だけで見てられるもんね
これ以上魔力を落とすのは無理だよ
嫌な予感が満載だけど放ってみるしかないよね

「魔矢」
放たれた矢は案山子をチリも残らないレベルで粉砕して結界にあたると砕けたけど破片がコッチ向かって凄い勢いで跳ね返り飛んでくる
コレはヤバイ
破片に当たったら痛いじゃ済まない気がするよ
伸ばしたままの右腕の手を開き平を正面に向け壁をイメージして魔力を込める
手の平の少し先に私とルシファーが影に入るサイズの黒い半透明な壁が現れる
跳ね返って来た破片は壁に当たり消滅していく
”ふ~”
全ての破片が消滅したので壁を消す

パチパチパチ
呆れた顔のルシファーが拍手をしている
「まさか破片が跳ね返ってくるほど強度強力で案山子は無散してるし・・・水滴一滴レベルですか」
”もっと絞ったつもりだったんだけど”
「まさに無敵チートですね」
”魔力を絞る練習が先かなあ”
「反射的に魔防壁まで出しちゃうし驚くというか呆れるレベルですね」
”反射的に出したけど魔防壁っていうんだ”
「これも属性問わずに使える物理攻撃に対する盾魔法ですが付帯効果が属性で変わります」
”水属性は火の攻撃に耐性があるとかかな”
「そうです闇属性の場合は魔法に対しても盾効果があります」

「まったく破片ですら私の魔防壁で防げる自信ないレベルですし私が結界を張っていたら結界が破壊されて壁も破壊して後ろの山ままで届いて吹っ飛ばすレベルとかもう何がなんだかですよコレ以上高等な攻撃魔法をお教えしなくてもダブネスですら一瞬で回復不能レベルまで粉砕できそうですよ」
凄い勢いで捲し立てる様に一気に話して肩で息をしてるルシファー
なんかルシファーの「王族としての仮面」でなく「素顔のルシファー」を見れてる感じでうれしいよ
「ぜえぜえ・・・何にしろ明日からは新たな魔法でなく魔力を絞る特訓ですね」
”お願いいたします”
「魔力を高める訓練はありますが絞る訓練は少し考えないとです」
”結界解除”

「そう当然ですが彩美の結界は私には見えないレベルとか初めてですよ結界が見えないなんて」
車椅子を部屋に向かってルシファーが押してくれる
部屋に着くとベッドに優しく寝かしてくれ
「本日この後に謁見が入っておりますのでは夕食後女子会に参ります」
”うん楽しみにまってるね”
「では失礼します」

なんか疲れたよ少し午睡をするかな
使った魔力は疲れるほどではないけど気疲れとかだね
と言っても簡単に寝付けないので最近はサイドテーブルに常備されている数種類のポーションから一本を手に取る
ラベルの文字は読めないけど色が効果で違うので見分ける事が出来るのは便利だよ
一番効果の薄い睡眠ポーションを飲む
とりあえず少しでも食べて寝て体を回復しないとだしね
あっもう効果が・・・意識が・・・闇に落ちて行く・・・

次の日のクリスマス当日もイブと同じでコスプレイベント
今日は普通のコスプレイベントデーだね
違ったのは七海と私の左手薬指に青く輝くお揃いの指輪があること
美香も徳さんと信さんと一緒に楽しんでたね
信さんは美香のことをかなり気に入ってくれてるみたいでうれしいよ

平穏にクリスマスも終わり気が付くと大晦日
お店は帰省するキャストやスタッフも多いので二十八日で年内はラストで新年は五日からだね
なので昨日と一昨日は七海とネズミーランドにお泊りデート
七海にクリスマスプレゼントの希望を聞いたら
「物より共有の思い出が欲しいな」
って七海のリクエストに考えて出した答えはネズミーランドでのデートをセッティングして御招待ってね
少女みたいに笑顔ではしゃぐ七海が見れて最高だったよ

二日間の遊び疲れで十時過ぎには目が覚めていたんだど十四時くらいまで七海とベッドでゴロゴロしちゃった
まあすることはしましたよ夫婦ですから姫納めでね
そろそろ起きてシャワーしないとの時間だね

いまだにお風呂とか明るい所で七海の裸をみるとあまりの美しさにドッキとする
出あってすぐの頃に自分をオバサンって言うのが我慢出来なくて軽く頬を叩いてしまった時があるけど・・・
普通に歳を知らなければ二十歳でも通じる顔だし体もだと思うよ
ただお店にいる時はオーラっていうのかなが出て迫力ある姉御感が凄いので見た目以上に年齢を感じるけどね

シャワーを出て居間のソファーで二人寄り添ってノンビリと予定の来客を待つね
お供はルーアンヌ・ブリュット・ナチュール・ロゼでね
フランスだけどシャンパンでなくスパークリングだけど
シャンパンって言っていいのはフランスのシャンパーニュ地方で厳格に決められた製法を守ってるものだけが名乗れる称号なんだよね
だからシャンパーニュ地方以外でスパークリングワインって分類されてもシャンパン並みに美味しいのはいっぱいあるんだ
このスパークリングは香り豊かだけどボディーは軽めなんで午後のお茶代りに最適なんだよね
お値段もテーブルワイン価格で気軽に飲めてコレもお気に入りの一つだよ

肩にもたれかかり少し下から七海の顔を見ると顎のラインが美しすぎて我慢出来ない
突然起き上がり七海の頭を胸に抱きしめる
少し上目使い目線で七海が私の目を見る
「どうしたの?」
”可愛いくて綺麗すぎて愛しすぎて我慢できなかったの・・・”
自然に唇が重なりお互いを貪りあう
「彩美の舌を齧りたい・・・」
もう一度唇を重ね舌を差し入れる
甘噛みで痛くないけど・・・あっ・・・だめ・・・その軽い刺激が・・・頭が真っ白に・・・
今度は私の頭が七海の豊かで柔らかい胸に抱かれていた

「ごめん可愛い過ぎて私も我慢できなくてね」
”たとえ肉体が滅しても魂は永遠に一緒だと汝は誓えますか?”
「当然!はいだ!YESだ!YESか”はい”以外の選択肢はない!」
自然に唇を割って出た言葉だけどなんで「魂」なんだろう・・・
照れ隠しか店オーラが混じって姉御感出てきたけど可愛いいよ
頭を抱きしめる腕に力が入る七海
その気持ち良さに体を預けていたら寝落ちしそうだよ・・・

ピーンポン
跳ね起きてインターホンへ
ピロリンピロリン
ドアを開けると美香が入って来た
”いらっしゃい”
「おじゃましまーす」
「いらっしゃい」

今日は三人で「二年参り」を約束してたんだよね
「荷物は届いてるよ」
「あとで着付けお願いします」
「まかせて」
今回は荷物が多くなるので先に宅急便で送ってた美香なんだよね

さて少し早いけど夕食の準備を始めるかな
着付けの時間考えると少し夕食を早めにしないとなんでね
深夜にはお腹が空いちゃうと思うけど出店とか年越し営業してる店もあるので大丈夫だよね

大鍋でお湯を沸かして
中鍋に白胡麻油をたっぷり張ってコンロの自動温度管理を百八十度に設定するね

冷蔵庫から大エビを取り出して頭を取って殻を剥いて背中の中央に軽く包丁を入れて背ワタを抜くいて尻尾の先を少しだけ切るよコレしないと水が入ってる時があるので爆発して超危険なんだよね
エビのお腹側に横向きに何ヶ所か切れ込みを入れて真っすぐにして軽く引っ張って伸ばしておくと揚げても丸まらない綺麗な姿になるよ
ナスはヘタを取って縦半分にしてヘタの合った方向から尻の一センチ位手前まで数本縦に切れ目を入れるよ
椎茸は石附を取って表面に飾り包丁を十字に入れるね
あとシシトウとミョウガを軽く洗って水気をよく拭き取ったら材料の下準備は完了

白ネギを薬味用に薄く筒切りにして小鉢に入れて取り分け用のスプーンをセット
小さ目だけど山葵も良いのが丸で手に入ったので鮫皮のおろしして小鉢に入れて取り分け用のスプーンをセット
う~ん山葵の香りが気持ちいいね
そうだ蕎麦つゆの準備もしないと本当は蕎麦つゆも作りたいけど手間が凄すぎるので今回は某有名店の蕎麦と一緒に店舗で出してる蕎麦つゆを買っておいたよ蕎麦猪口に移し替えておくね

本当は茹でたて蕎麦と天婦羅を同時に調理出来ればいいけど流石に私の調理スキルではバタバタになるので揚げたてで天婦羅も出したいけど先に揚げて麺を茹でるしかないのが残念だよ
テーブルを見ると七海と美香がジャックを飲みながらコッチに注目してるよ・・・なんか恥ずかしいねえ
仕上げに入る前に一休みかな

テーブルに行くと私のジャックも準備されていたよ
乾杯をして一口
「彩美ちゃん天婦羅まで揚げちゃうの!すごい!」
”御客様の天婦羅職人さんにコツを聞いてやってみたんだけど思ったより簡単で驚いたよ”
「天婦羅って難しいってよく聞くけど」
”お店の味は再現出来ないけど最近は市販の天婦羅粉で「コツのいらない」とかあるのでコレを使えば簡単って後は余熱で熱が入るから気持ち早めに油から引き上げるくらいだって”
「と言っても練習作は十分美味しかったよ」

仕上げ前にテラスにジャック片手に出て一服
紫煙を巡らしながら花園神社方向をみると賑やかだね
出店が通りにまで出ててもう人が溢れてるね
さて仕上げに入るかな

ボウルに簡単天婦羅粉を入れて説明に書いてある量の水をいれるよ
軽くダマが残る感じで混ぜて衣の準備完了
冷水とかボウルを冷やす準備とか卵もいらないので本当に簡単だよ
菜箸の先に衣を付けて付けて油に差し込むと花が咲いたように周りに広がる温度は大丈夫だね
ナスの切り込みを開いて扇状にして衣を付けて油の中へ
箸で裏返しりしたくなるけど我慢なんだよね衣が剥がれたりしちゃうので
衣から勢いよく出てた泡が小さくなってきたら揚がった目安
油きり網に並べて余計な油を落とすね
ミョウガと椎茸にシシトウも同じ手順で揚げるよ
最後はエビは尻尾の先を持って尻尾の根元まで衣をつけたら油の中へ

大き目のボウルに水を張って氷をいれて冷水を準備し終わるとエビが揚がったので油切り網へ
生蕎麦を大鍋のお湯に入れたらタイマーを二分セット
その間に油切り網の天婦羅を敷紙を敷いた皿に綺麗に並べてテーブルに持って行く
「うわー美味しそうだよ」
「うまそうだな」
”もう少し待ってね”
蕎麦猪口とネギに山葵もテーブルに出したらキチンタイマーが鳴ったので蕎麦を冷水に移すよ
冷水でよく締めて手で揉んでぬめりを落としたら笊に上げて良く水切りだね
皿に取り分けたら完成でテーブルに持って行くよ

”はいお待たせしました”
「「いただきまーす」」
「蕎麦の喉越しが良いな」
「海老さん天婦羅だよ幸せ」
美香はエビも大好きだったね
「この蕎麦つゆに天婦羅の油が浮かんできてから食べる蕎麦も風味が増していいね天婦羅蕎麦の醍醐味の一つだな」
「あれねーちゃんも彩美ちゃんも不思議な食べ方だよ蕎麦に山葵を乗せて山葵が蕎麦つゆに着かないようにって」
「山葵の香りと蕎麦の香りを合わせて楽しむ昔の食べ方だね」
美香が真似をしてみると
「うわわ美味しいけど山葵がツーンって」
軽く涙目になってるよ
”乗せる山葵の量は好みで調整だよ”
なんて年越し蕎麦と天婦羅も成功かな・・・で・・・毎度の
「「おかわりお願いします」」
天婦羅は多めに揚げてるので大丈夫そうだね
”ほーい数分お待ちを”
キッチンに行って蕎麦を茹でるよ

”はいお待たせ”
なんか二人の目が・・・
「なんかさっきより多くないかい?」
”食べちゃうでしょ”
「「うん」」
さっきは三人前を三人で分けたけど今回は二人で分けたので1.5倍だもんね
「ふぅ~お腹いっぱい美味しかったあ」
「天婦羅の腕も家庭レベルでは最高まで極めてきたね」
ティーポッドに蕎麦湯を入れて持ってくる
七海は〆で蕎麦つゆを蕎麦湯で割って飲むのが好きなんだよね私もだけど
「この天婦羅の油がアクセントで蕎麦湯も美味しくなるのがなんとも」
私も天婦羅蕎麦は天つゆでなく蕎麦つゆで食べるのが大好きなんだよね

テラスに皆んなで出て食後の一服
十九時でもう夜空だね
花園神社の辺りは賑やかで明るいよ

さて私は洗い物をしちゃおうね
美香と七海は寝室へ
洗い物が終わったらメイクしちゃおうね
メイクが終わって少しソファーで一休みしてたら
ガチャ
寝室から美香が出て来たよ
”うわあ凄い!”
美香は赤を基調に花柄の振袖姿
振袖は美香のお母様が成人式で着たのを受け継いだってね
「どうかな」
”超かわいいよ!”
顔が赤らむ美香が可愛い

「彩美ぃ~」
”じゃ行ってくるね”
寝室に入るとベッドの上に黒い振袖が準備されていた

数日前
”結婚したんだし留袖じゃないの”
「私が見たいから振袖でいいのだ!」
”はーい”
なんて話で振袖になりました
振袖は七海のお母さんが成人式に作ったのを取っておいたけど着る機会がないまま保存していたのね
二十歳の頃はまだ雇われで自分の店を出すのにがむしゃらに働いていて成人式は行かなかったんだって

七海の指示に従って色々してる間に着付け完了
思ってたより着物って重いね
「うん可愛い!」
黒を基調に蝶が舞っている柄で何か凄く着てて楽しい
”ありがとう”
「予想通り黒が似合うね」

最後は七海が自分で着付ける
”見てていい?”
「うん」
さっきやってもらったけど複雑な手順を迷うことなく熟して行く
しばらく見てると帯を締めて完成
あっ私の着てるのとかなり近いデザインだよ留袖だけど
「前は時々お店で着たりしてたけど最近は着てなかったね」
”きれいだよ見惚れちゃう”
「ふふ・・・ありがとう」
着物が乱れるので軽くハグされてキス
「さて行こうか」

リビングに戻るとソファーでスマホを弄っていた美香がコチラを見る
「うわあ二人とも綺麗」

仕上げに七海がヘアセットしてくれる
ロングの七海と美香は少し存在感のある簪でアップ
私はボブなのでサイドに編込みを入れてヘアアクセサリでお洒落感を出す
卒業までは髪はこれ以上校則で伸ばせないからしょうがないよね
って今更の校則って感じもしますけどねえ

そろそろ二十二時だね
花園神社まで数分だけど今日は参拝まで二時間位は並んでるので今から並べば丁度いい感じかな
美香と私は七海が用意してくれた巾着バッグに持ち物を準備して出発準備完了
七海は和装用のバッグで少し大人の感じだね

花園神社に着くと既に参拝の列は神社の敷地を出て明治通りまで列は伸びてるね
列の一番後ろに並んでゆっくりすすむ流れに身を任す
ヒールだったら少し疲れるかもだけど草履だから楽でいいよね
しかし二人・・・めちゃ目立ってるなあ周りにも着物の女性は多いけどレベルがダンチで綺麗で可愛いよ

「あそこの三人組さあメチャ綺麗じゃない」
列とすれ違う人混みから聞こえて来た
七海が肘で私の脇を軽くコンってする
「自信持ちな彩美は超絶美人なんだから・・・ほらすれ違う男たちが時々チラチラと見てるよ」
”それは二人を・・・”
「ちゃんと彩美もチェックされてるよ」
「彩美ちゃん気が付いてないみたいだけどメイクするとねーさんとそっくりなんだよ」
”えっ!?”
「彩美のいい所でもあるけど自分に無駄な自信を持たないって・・・でもそれで少し自分に対してマイナスフィルターが掛かってる部分もあるんだ」
”マイナスフィルター?”
「だから鏡をみても実際より低い自己評価なんだよね」
「そうだよ学校でも憧れてる女子がいっぱいいるんだよ」
”なんか信じられない”

美香が私の顔をスマホで撮影して何かし始めた
「はい」
そこにはロングの髪型に加工された私がいた
「髪を降ろしてるねーさんをイメージして見て」
とスマホ画面を七海の顔の横に並べる
”あっ・・・”
「やっと気が付いてくれたか私がお世辞や惚気で美人とか可愛いって言ってる訳じゃないよ」
なんか顔が赤らむ
「ねーさんは若々しいから二~三歳差の姉妹にしか見えないんだよね」
「まあ彩美の見慣れてるメイクは店用で年上に見えて少し威厳を出すようにしてるから気が付きにくかったかもだが今日は彩美とお揃いのメイクにしてみたよ」
”もしやぁ魔乙女姉妹でぇ”
「「てへバレたかあ」」
そこをハモるかよお怒る気力も消えちゃうくらい二人とも可愛いよ

「アップの二人もいいけどショートの子もよくねぇ」
「ばーか!あんな上物からお前じゃ相手にもされないよ」
・・・なんかラノベでの御都合主義な通行人の見本的会話とタイミングではないでしょうか
”なんか七海のメイクがいつもとは少し違うとは思っていたけど”
「前はオフの日はコッチのメイクだったけど何か彩海の件を思い出されてもと思って・・・」
「ねーさんから相談うけてね彩美はそんなに弱くないってね」
七海が相談・・・よかったよ・・・何がって・・・強がって・・・一人で生きて行くことに・・・決別してくれた・・・
「・・・彩美と出あって一緒に過ごして居たら人に頼る・・・それが恥ずかしい事でなく人としては普通って思い出したよ」
”もし私が彩海ちゃんの代替品が始まりだったとしても今の七海は彩美として私の存在を認知してくれてるから彩海と重ねる時があっても気にならないよ・・・と言うかとっても大事にしてた妹と同じになれてうれしいよ”
「今の彩美は彩海以上の存在だよ彩美を失ったら生き続ける自信がない・・・」
「てぇ惚気オーラで百回位は焼かれた気分だよ」

丁度横にたこ焼き屋の露店があってタイミングもよく列が短じかかったので買いに行くよ
たこ焼きの船を二船抱えて戻る
一船を美香に渡す
”その・・・”
「惚気の手打ちで美味しく頂くよ」
まったく察しのいい魔乙女だよ

たこ焼きを食べていると除夜の鐘が遠くに聞こえてくる
年の瀬を感じる一時だね
あっ
「「ハッピーニューイヤー」」
「「明けましておめでとうございます」」
たこ焼き食べてたら年が明けるとか食に始まる年明けとか今年も色々な美味しい物に出会えるかなあって食欲魔人かぁ私は
「「明けましておめでとうございます」」
”今年もよろしくお願いします”
「今年もよろしくお願いします」
「今年もよろしく頼むよ」

気が付くともうすぐ参拝だね
年もいいタイミング明けての初詣だね
お賽銭をして二礼二拍一礼で願い事をして神社から出る列へ
こっちの列はスイスイと進み靖国通りに出る
「さてどうするかな」
”年越しやってる店に行くのもだけど・・・我儘・・・今晩は二人とだけで飲みたいから部屋飲みじゃ駄目かな”
「賛成!」
「それは嬉しい提案だな」


部屋に戻るとまず着物から普段着に着替え
着物も楽しいけどくつろげないからね
ジャックで乾杯して人心地付いたらお風呂の準備をして軽くおつまみを用意するかな
火を使うのは片付けも手間なんでチーズとサラミでいいかな
でも念のためにご飯を炊いておくかな
チーズとサラミの盛り合わせを作ってテーブルに出したら姿見に・・・

私・・・七海ほど・・・美人じゃないよ・・・だって女装で素は男だよ
鏡の中の私を見つめる
やっぱし・・・
いつの間にか七海が後ろに立ってる

「ほら瓜二つだろ」
髪を降ろした七海がロングを襟に入れてボブっぽく髪型を作ってる
「あっ・・・」
鏡の中に私が二人・・・七海が二人・・・
後からハグをされる
「だからいつも可愛いって言ってるでしょ」

「でぇ彩美ぃおつまみ食べたら食欲刺激されたのか腹減ったよぉ」
”はーい”
キッチンに行きお湯を沸かすよ
小さ目の丼にご飯をよそって手抜きだけど茶漬けの素を入れて湧いたお湯を入れてテーブルに
「これはうれしい」
「いただきまーす」

こんな幸せな時間がいつまでも続く事を願い私の年明け夜は深けて行く
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登場人物紹介

彩美<主人公>

女装癖のある男子高校生

平穏な高校生活が崩れた時に出会い救ってくれた七海と恋に落ちる

七海との出会いで高校生活を送りながらニューハーフとして生活することを決め新宿のMIXバーで活躍する生活を送る

少し普通ではないけど七海と一緒に平穏な日々を過ごしていたが突然の異世界転移で女体化する

異世界転移で与えられたご都合主義は「無敵チート」だけで苦労満載の異世界生活が始まる

唯一与えられた無敵チートの意味を日々考えている

七海<ヒロイン(純女)>

新宿二丁目にあるMIXバー「セブンシー」のオーナーでママ

店を開くまでは歌舞伎町で伝説級のキャバ汝として活躍していた

絶望の淵にいる彩美を愛し救いの手を差し伸べ恋人になる

少し特殊な性癖を持つため彩美と少し不思議だけど幸せな同棲生活を楽しんでいた

ある日突然の異世界転移した彩美の帰りを待ち続けている

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