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酒中偶成
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酔いどれてひとり歩く
文字数 105文字
酔いどれてひとり歩く
春の夜の街の匂いが好きだ
排気ガスと埃と
揚げ物の匂いと煙草の匂い
少しの寒さを感じながら
酒に火照る身体を感じながら
ぬるく暖まってきた3月の風に
やさしく撫でられて歩く
そんな春の夜の
街の匂いが好きだ
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花火
酒中偶成
中郷鷹花
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今日も酒に脳を溶かして
ああこの大気の水底に沈む我々は
雨垂れを肴に飲む
アテのない旅
消さずにおこう
ひとたび愛を知ったなら
何者にもなれなかった残骸が
遅咲きの花
自分がカラッポだから
明かりを消して寝る前に
明日が来るのが怖くて
いつでもぼくはゆらいでいて
酒に呑み疲れて
酔いどれてひとり歩く
花火
ああ、絶望を洗い流しておくれ
自分を自分で上塗りして
腐れ縁
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