雨垂れを肴に飲む

文字数 233文字

雨垂れを肴に飲む
雨垂れを肴に、飲む
みずたまりを打つ音はぴしゃぴしゃと
トタンを打つ音はとぼとぼ、と
ときおりしゃあああと駆け抜ける車の音に
グラスの氷を
カランと
合わせてみる
ひとつ、ふたつ、
みっつ、よっつ、
かぞえるごとに
かぞえられなくなって
もうひとつ、もういっぱい
胃のふにほうってあたたかい花をさかす
ひとつ、ふたつ、
みっつ、いつつ、
春をおなかにたくわえて
さらに聞くあまだれのリズム
おのずとあたまはゆらいできて
じかんはぐにゃりとまがって、とけた

カラン……

もう音はあわせられない


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