ああこの大気の水底に沈む我々は
文字数 277文字
ああこの大気の水底に沈む我々は
いっときの酒にまどって
家路は暗く
対岸の火事は
明るくぼうっとして
雲間から漏れ出す月光のよう
あつくうずくこの胸は
しんせんな酸素を求めて徘徊する
横をすり抜けた二輪車
錆びてつぶれぬかと心配して
深く天上を見上げれば厚い雲
その広さに息が詰まるようで
まとわりつく粘性の何かに
身体が重く、じれったい
黒い並木のシルエットは
きっとその背後に悪意をかくしている
街灯を映して鈍く明るくとろとろと流れる水よ
素知らぬ顔して流れるかわよ
夜の夢を溶かして大海へとつなぐその役目は
さぞ重いことだろう
さぞ切ないだろう
ぬらぬらと恨めしげなその水面が
何よりの証拠だ
いっときの酒にまどって
家路は暗く
対岸の火事は
明るくぼうっとして
雲間から漏れ出す月光のよう
あつくうずくこの胸は
しんせんな酸素を求めて徘徊する
横をすり抜けた二輪車
錆びてつぶれぬかと心配して
深く天上を見上げれば厚い雲
その広さに息が詰まるようで
まとわりつく粘性の何かに
身体が重く、じれったい
黒い並木のシルエットは
きっとその背後に悪意をかくしている
街灯を映して鈍く明るくとろとろと流れる水よ
素知らぬ顔して流れるかわよ
夜の夢を溶かして大海へとつなぐその役目は
さぞ重いことだろう
さぞ切ないだろう
ぬらぬらと恨めしげなその水面が
何よりの証拠だ