今日も酒に脳を溶かして

文字数 359文字

今日も酒に脳を溶かして
部屋の隅をぼうと見る

何も見えずに
火照った身体を持て余し
寝巻きのままに
外に出る

星は見えた
月は見えた
みえないものは
なんだったのだろう

肺のあたりの肺じゃないところ
心臓の近くの別の場所
胃では決してない
よくわからないいってんが
ぶるぶるとふるえている
いまにもなくなってしまいそうな
かすかな存在の主張
うれしくもなく
ましてや楽しくもなく
だが
いやではなく
否定して退けたいこともなく
できればそのわずかなふるえがもたらすあたたかさに
いつまでもあまえていたい
そんな思いがこみあげる
消えてしまいそうなその火を
消えそうなままに
むごいだろうか
依存だろうか
むいみな試みだろうか
でも
それでも消えそうなままに
弱く
永く
ずっと
ずっと
ながく
もどかしく
ともして
灯して
やわらかく
やさしく
なみだに変わるまで
ともして
まもって
ともして
灯しておきたい
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