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酒中偶成
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花火
文字数 168文字
火薬はすべて空に撃て
人ではなしに空を撃て
空いっぱいの大輪の花
開いては消え、開いては消え
そのたびに人の心を撃て
地上に落としたいくつもの種
やがて芽吹いて互いに腕を組み
地平線の彼方まで
よろこびの花で覆いつくせ
ああ、もっと高く
高く高く打ち上げろ
この空を共有するすべての人へ
それが叶わなくばせめて
この夜を共有するすべての人へ
和解と結束を呼びかけろ
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ああ、絶望を洗い流しておくれ
酒中偶成
中郷鷹花
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今日も酒に脳を溶かして
ああこの大気の水底に沈む我々は
雨垂れを肴に飲む
アテのない旅
消さずにおこう
ひとたび愛を知ったなら
何者にもなれなかった残骸が
遅咲きの花
自分がカラッポだから
明かりを消して寝る前に
明日が来るのが怖くて
いつでもぼくはゆらいでいて
酒に呑み疲れて
酔いどれてひとり歩く
花火
ああ、絶望を洗い流しておくれ
自分を自分で上塗りして
腐れ縁
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