第65話 言葉の力

文字数 969文字

「どうしたら戦争がなくなるのか」という大仰な文を、だいぶ前に書いたけれど、もう少し身近なところを見てみたいと思った。
 私が、「この人には、かなわない」と感じる人は、理解力のある人である。
 人とつきあうということ── まず、相性というのは、どうしようもなくあるようだ。もう20年以上つきあっていただいていKさんとは、相性がいいのだろう。
 私は、このKさんの前では、もはや全裸の状態である。どんなに自分をとりつくろっても、もう「分かられている」感じ。理解されている、という感じ。

 この理解力というものは、核兵器よりも強い武器ではないか、と思うのだ。ただ、これは、黙っているだけでは何の効力も発揮しない。言葉で、「自分はこう思っている」ということを相手に伝えて、初めて相手に伝わる。想像力、と言い換えることもできる。相手の気持ちを考える、ということ。
 自分の思いを言葉にして、誤解されることもあるだろう。そしたら、理解されるよう、また言い直す。そんな繰り返しであったとしても、それでも関係は成り立つ。おたがいに、相手のことを理解しよう、という気持ちがあれば。

 だが、相性。これは何なんだろう。合う、合わない。好き、嫌い、というそれだけのものだとしても、お互いが「感じる」ものなのだろう。
「相性が悪い」=「あいつ、嫌い」、とても感覚的なもの、あほらしいほど単純なもの、それが動機となって、あっけなく人を殺したりする。そこには相手への想像力も理解しようという気持ちも微塵もない。

 話が飛躍した。
 結局、何かを相手に感じることから、人が人をあやめることができるのならば、そのスキマ、人が人に刃を向ける前に、言葉が、説明が欲しいと思うのだ。
 感じたことを、相手に言葉という形にして、伝えること。伝えようとすること。その言語処理を自己の内部で展開するうちに、冷静になれ、相手と理解し合える萌芽があるのではないか。

 何が云いたいのか、わからなくなっているが、戦争の話に戻せば、戦争には、戦争をすることで、儲かる人間が必ず居るということだ。アメリカに多いようである。
 民族紛争というのは、戦争とは違う。個人どうしの争いも、また別のものなのかもしれない。ただ、戦争というテーマを、身近な人間どうしの争いに引きつけて、書いてみようと思った。
 うまく書けなかった。
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