第97話 笑いについて

文字数 673文字

 ところで、私は笑うことが大好きである。
 笑っていると気持ちがいいからだ。
 人と話す時など、たいてい笑っている。軽薄とも思われかねないが、実際そうだろうから仕方ない。家人と話す時など、へらへらしている。
 だがしかし、笑いはほんとにいいのだ。プロ野球のDeNaの内野手に、柴田という選手がいるが、この人もけっこう笑っているらしい。小柄だが、負けて泣いたりしている。とてもいい選手だと思う。
 この柴田選手は、チームにとって大きな存在らしい。いつも笑っているから、自然まわりも明るくなるという。

 私のような人間は、柴田選手のようになれない。たとえば職場で、「あなたの笑いはほんとうに良い、笑顔がほんとうに素晴らしい」と実際に言われたこともあるけれど、そうすると何か「常に笑っていなければならない」ような、義務感に捕われてしまうのだ。
「職場が明るくなる」などと言われた暁には、もう心臓がドキドキして、死んでしまう。

 ほめられるのは、鳥肌がほんとに立つほど嬉しい。でも自分の場合、妙な方向に行ってしまう。
「声が素敵。声優さんみたい」と介護の職場で可愛い女の子から言われたが(たまには自分がほめられたことも書いておこう)、それからその子と話す時、私は自分の声にばかり、やたら意識が行って、緊張してダメになった。
 しかし、とにかく笑いはいい。私はかなり天然らしいので、人を笑わそうとすると、かえって笑ってもらえない。そのまんまでいいらしいのだが、人を笑わせたくて笑わせられる、そういう才能のある人はほんとうに凄いと思う。あんまりにも作為的だと、イヤだけれども。
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