第88話 発端

文字数 506文字

 かの国で革命が起こったのは、とある地方に住む、ふたりの兄弟の挙動がきっかけだった。力による為政の支配下、決められた期日に、その労働の現場にふたりは行かねばならなかった。だが、悪天候に見舞われて、道路がこわれ、ふたりはその場に行けない。
 どんな事情であれ、決められたことを守らねば殺す、というのが、当時の世の掟であった。

「これから遅れて行っても殺される。行かないでも殺される。どうせ殺されるなら、反抗してやろうじゃないか」
 兄弟はそう決めて、絶対的権力に立ち向かった。おそらく、武力をもって。
 だが、このふたりの行動が、圧政下に置かれ、不満をくすぶらせていた民衆の心に刺さった。そして機運高まり、為政者たちを引きずり下ろすまでの「一揆」、つまり革命にまで発展したのだった。

 サッカーの試合で、業を煮やした少年が、ボールを手に取ってそのままゴールに走ってしまった。これがラグビーの発祥といわれる。
 まったく、単なる個人的なことが、それを見た・知った者に、偶発以上のものに変える影響を及ぼすことがある。
 意図して、何か事を為そうとすると、あざとさが見える。しかし無心であれば、どんな陰影もない。そのまま、pure 。
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