第2話
文字数 1,375文字
戦友【リグウ】2
リ・グウという人物は、大変な美青年で、韓国の王子だった。
李大王は、韓国を守るため、リグウを日本に行かせる。
リグウは礼儀正しく、陸軍大学校を卒業した。
政治に参加する権限はなかったが、日本の公族という地位を得ていたため、韓国を守るために、自分に出来る限りのことをしようと決めていた。
終戦間際、リグウは、広島に置かれた第二総軍の教育参謀中佐として働いていた。
リグウの右腕である、吉成中佐が聞いた。
「リグウさんって、病気にかかったことはあるんですか?」
「うん‥幼い頃は、よく麻疹にかかっていた。」
「麻疹?麻疹ってそんなにかかるもんなんですか?」
「うーん‥。」
リグウは考え込んだ。
「吉成さーん!」
別の隊員が呼んだため、「はーい。」吉成は行ってしまった。
はあ‥
リグウはため息をついた。
リグウは何となく日本が好きだった。
韓国に帰れば、きっと大変面倒な任務が待っている。
出来ればもう、韓国には帰りたくないと思った。
1945年8月6日。
馬のロタに乗って出勤途中、ぞっとするような戦闘機の音が聞こえてくる。
雲の中を飛んでいるようだ。
飛行機の音は止まったので安心したが、次の瞬間、旋回を始めた。
リグウは馬を止め、息を飲んだ。
近くにちょうど、水飲み場があったため、馬に水を飲ませ、自分も顔を洗い、水を飲んだ。
木陰に入った。
すぐに空襲が始まるかと思ったが、なかなか始まらない。
ピカッと光ると大地が揺れた。
「ああ‥。」
元々暑かったのでよく分からない気がしたが、熱風が吹いてくる。
ロタと共に座り込んだ。
15分くらいたっただろうか。
リグウは目がチカチカした。
目の前はさっきよりも明るく見えたが、よく目をこらすと、煙が出ていて、さっきよりも暗かった。
とても暑いが、雨がふりそうな感じだ。空気は湿っている。
気づいたら、井戸のそばに来ていて、ロタは水を飲んでいた。
とっさに、リグウも水を飲んだ。
ロタは火傷をしていて、痛そうだ。
そこに水をかけてあげた。
ロタは行こうと言うように、頭を振った。
「大丈夫か。」
ロタはうなずいたように見えた。
リグウはロタを走らせた。
途中、自分の腕を見ると、焼けただれていたので、びっくりしてしまった。
人をおぶっている者もいるし、うずくまっている者もいるし、亡くなっている者もいる。
リグウはロタから落ちた。
知り合いをおぶっていた貞夫がリグウに気づき、いち早く病院に運ぶよう、警察に伝え、リグウは病院に運ばれた。
偶然、水虫のため、先に出勤していた吉成が泣きながら、リグウに付き添ったが、リグウは次の日、亡くなってしまった。
少しだけ目を開けた。
「リグウさんっ。」
しかし、それが、リグウの別れの合図だった。
リグウは見たかった。
この先の美しい未来を。
「あなたは勇敢でした。」
吉成はリグウの手を握り、言った。
まだ目を閉じてほしくなかったが、リグウは首を横にふることはできなかった。
でも、吉成は泣き、リグウの目を閉じることはできなかった。
リグウは星空の下に来ていた。
今まで見たことのないような、壮大な風景だ。
李大王が来た。
「永遠の命が、誰かに与えられているのなら、リ・グウ。お前しかいない。
お前は本物の王族だ。かけがえない、一族の最後の一人。」
李大王は言った。
『永遠。』
そして、リグウは目を閉じた。
「リグウさん‥!」
吉成は泣き続けた。
By Song River
リ・グウという人物は、大変な美青年で、韓国の王子だった。
李大王は、韓国を守るため、リグウを日本に行かせる。
リグウは礼儀正しく、陸軍大学校を卒業した。
政治に参加する権限はなかったが、日本の公族という地位を得ていたため、韓国を守るために、自分に出来る限りのことをしようと決めていた。
終戦間際、リグウは、広島に置かれた第二総軍の教育参謀中佐として働いていた。
リグウの右腕である、吉成中佐が聞いた。
「リグウさんって、病気にかかったことはあるんですか?」
「うん‥幼い頃は、よく麻疹にかかっていた。」
「麻疹?麻疹ってそんなにかかるもんなんですか?」
「うーん‥。」
リグウは考え込んだ。
「吉成さーん!」
別の隊員が呼んだため、「はーい。」吉成は行ってしまった。
はあ‥
リグウはため息をついた。
リグウは何となく日本が好きだった。
韓国に帰れば、きっと大変面倒な任務が待っている。
出来ればもう、韓国には帰りたくないと思った。
1945年8月6日。
馬のロタに乗って出勤途中、ぞっとするような戦闘機の音が聞こえてくる。
雲の中を飛んでいるようだ。
飛行機の音は止まったので安心したが、次の瞬間、旋回を始めた。
リグウは馬を止め、息を飲んだ。
近くにちょうど、水飲み場があったため、馬に水を飲ませ、自分も顔を洗い、水を飲んだ。
木陰に入った。
すぐに空襲が始まるかと思ったが、なかなか始まらない。
ピカッと光ると大地が揺れた。
「ああ‥。」
元々暑かったのでよく分からない気がしたが、熱風が吹いてくる。
ロタと共に座り込んだ。
15分くらいたっただろうか。
リグウは目がチカチカした。
目の前はさっきよりも明るく見えたが、よく目をこらすと、煙が出ていて、さっきよりも暗かった。
とても暑いが、雨がふりそうな感じだ。空気は湿っている。
気づいたら、井戸のそばに来ていて、ロタは水を飲んでいた。
とっさに、リグウも水を飲んだ。
ロタは火傷をしていて、痛そうだ。
そこに水をかけてあげた。
ロタは行こうと言うように、頭を振った。
「大丈夫か。」
ロタはうなずいたように見えた。
リグウはロタを走らせた。
途中、自分の腕を見ると、焼けただれていたので、びっくりしてしまった。
人をおぶっている者もいるし、うずくまっている者もいるし、亡くなっている者もいる。
リグウはロタから落ちた。
知り合いをおぶっていた貞夫がリグウに気づき、いち早く病院に運ぶよう、警察に伝え、リグウは病院に運ばれた。
偶然、水虫のため、先に出勤していた吉成が泣きながら、リグウに付き添ったが、リグウは次の日、亡くなってしまった。
少しだけ目を開けた。
「リグウさんっ。」
しかし、それが、リグウの別れの合図だった。
リグウは見たかった。
この先の美しい未来を。
「あなたは勇敢でした。」
吉成はリグウの手を握り、言った。
まだ目を閉じてほしくなかったが、リグウは首を横にふることはできなかった。
でも、吉成は泣き、リグウの目を閉じることはできなかった。
リグウは星空の下に来ていた。
今まで見たことのないような、壮大な風景だ。
李大王が来た。
「永遠の命が、誰かに与えられているのなら、リ・グウ。お前しかいない。
お前は本物の王族だ。かけがえない、一族の最後の一人。」
李大王は言った。
『永遠。』
そして、リグウは目を閉じた。
「リグウさん‥!」
吉成は泣き続けた。
By Song River
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