別の顔(2024.5.26)

文字数 317文字

別の顔を見た時
知らん顔
できるかどうか

いつもの顔と
違う別の顔

私生活の顔を
見てしまったら
情が湧いて困る

悪い奴ではない
良い奴の顔

どちらが本物で
どちらが偽物か

考えなくても
答えは明らかだ

会社で見る
悪い顔は
しょせん演技で
ほんとうは優しいのだ

私生活の顔を
見なければ
良かった

憎しみが
緩んでいく

だからといって
許せるはずもない

別の顔を
知らなければ
心から憎めたのに

忘れよう
見なかったことにしよう
と思えば思うほど
あの笑む顔が思い浮かぶ

たぶん
無能なわたしは
心底嫌われているのだろう

だから
怒鳴られて
ばかり

抱かれた
こどもは
父親の別の顔を
知らない

わたしは
上司の別の顔を
知ってしまった
けれど
こどもは
知らないままでいい

憎しみは
わたしにも
笑ませてやろう
という意志に変わった
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