人生(2024.4.2)

文字数 281文字

目が霞み
うすぼんやりで
出口を探す

先まで見えていたのに
と焦りながら
足元が気になる

躓かないように
穴にハマらないように
死体を踏まないように

明日は我が身で
転んで大腿骨を折れば
死を待つ人になる

烏が頭上で鳴き
僕は獲物と認識された

みんな紙一重なのだ
出口に辿り着く手前で
屍となる自由は僕にもあるが
不自由が好きなもので
転びたくない

転びたくて転んだ人は
たぶんいないだろう

転びたくない
と思いながら
転ぶのが人生だ

なんて馬鹿らしい
なんて救いようのない
なんて愚かしいのだろう
そして
なんて愛おしいのだろう

人生が終わる時に
人生はまた始まる
のかもしれない

人生を終えたことがない
けれど
そんな気がする
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み