第6話 ガキ大将現る

文字数 402文字

 昔は力がある子が周りを牛耳っていた。
 太郎は山奥で暮らしていたので、同年齢の人間の子は周囲にいない。だから、動物の子供を捕まえては、ペットのように扱っていた。
 動物たちも馬鹿じゃない。太郎に逆らえば、一家を惨殺されかねない。太郎にとって、逆らうものは皆食料となった。

 動物たちに食べ物をやってこき使うという手法を昔話から学んでいた。
 「おい、クマ。どんぐりやるから家来になれ。」
 当時、熊の胆は高価な薬となった。逆らったら、一族根絶やしにされかねない。彼はわずかばかりのどんぐりで今で言うところのベビーシッターから運転手までさせられた。もし、彼が証言できればきっとこういっただろう。
 「太郎さんは、本当に怖いです。目的地に遅れそうになると、足で蹴ってきます。相撲で負けそうになると、耳元でささやくんです。『俺に勝ったらわかってよるよな。お前の家族をめちゃくちゃにしてやるからな。』と。」
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