第9話 厄介払い

文字数 376文字

 いくら強いといっても所詮は子供。本気の大人にかなうはずもありません。
 「こやつの根性を叩きなおしてくれる。」
 源頼光は言葉巧みに太郎を誘いました。

 こうして、彼は都へ行くことを決めました。動物たちが見送りにきました。
 「本当に、あいつ出てくべか。」
 「せいせいした。これで、仲間たちも安全にくらせる。」
 動物たちは、うれし泣きをしておりましたが、太郎にはそれが別れを惜しんでるように見えました。
 「立派な侍になったらまた戻ってくるから。」
 「もう、戻ってくんなよ。」
 かれらの遠吠えに太郎はいつか帰ってくると心に誓うのでした。

 それからの、足柄山は平和な時がすぎました。
 「あいつがいなくなって、本当によかった。」
 「ああ、これで悠々自適に暮らせる。」
 「あいつは大食いだったからな。これで栗もどんぐりも食べ放題だ。」
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