第38話
文字数 1,318文字
そして、次の日から僕とお釈迦さまは二人の苦行僧と一緒に修行をすることになった。
「それでは、シッダールタ。私の名はカンノン……こちらはチカと言います。これから一緒に苦行をすることになりますが、よろしくお願いします」
「観音様、どういった修行をなさるおつもりなのでしょうか?」
観音様はとりあえずと、いつも僕がやっていたトレーニングメニューを組んでくれた。
「まずは瞑想をしてもらいます。ミロク、禅の修行はサボってはいませんでしたでしょうね?」
「禅ですか……というと、壁に向かって坐禅をする感じになりますね。目は半眼にして足を組む感じになります」
「あなたはとりあえず、結跏趺坐 をマスターして貰います」
「はい……ですよね……」
そうなのだ、僕はまだ半跏趺坐 しか組むことができなかった。
結跏趺坐とは、左右の足の甲をそれぞれ反対側の股ももの上に置いて、足の裏が上向きになるように座ることである。禅宗での正しい座り方で、慣れないうちはこれが体がバキバキになるような感じでとても辛いのだ。仏が悟りを開いた時の姿だと言われている。
半跏趺坐とは片方の足を他方の足の股にのせてすわることで、菩薩坐とも言われている。この形で座る人がほとんどなのではないのだろうか。禅の初心者におすすめの形なのである。
「シッダールタにはこの半跏趺坐から始めてもらうことになります。よろしいですね?」
シッダールタは、だだ、ありがとうと返事をしてすぐに坐禅の形を組んだ。
「わかりました」
……。
「さすが、形になっています……。この分ではすぐに結跏趺坐をマスターしてしまいそうですね」
僕はただシッダールタの様子に、ただ感心をするだけだった。さすが仏教をこの世に教えられただけある。常人が図るレベルでは考えてはいけなかったのだ。
「チカにも結跏趺坐をやってもらいます。ああ、チカはもうこの形は組めていたのでしたね、ではいつもの様に組んでみてください」
「ええっ!? チカ……お前! 結跏趺坐をもうマスターしていたのか!? そ、そんな……その歳で……僕はそんなに遅れていたのか……」
僕は何故かまた涙目になり、チカの坐禅を組む様子を見ていた。確かにサマになっていた。凄すぎる、僕はなんだか情けなくなった。
「でも、この成人の体ってのは慣れないものだな……。なんか上手く組めないしなあ」
……。
「チカ、お前……成人の女性になっても体型があまり変わっていないな」
千佳の体型はSサイズの服が丁度良い感じなのだろう、何故だろう、僕はちょっとだけ嬉しかった……。
「ミロク……いいか? あんまり俺の体をジロジロ見るんじゃねぇぞ、間違っても色目なんか使うなよな、分かってるよな?」
「わ、分かってるよ!」
そして、僕も試しに結跏趺坐を組もうとしてみる……やっぱり慣れないものだなあ。
「なんだ、ミロクも組めているじゃないか、慣れだよ、慣れ。一日ちょっとずつやっていれば身につくって。頑張るんだぞ? ミロク!」
うう、優しいなあ。
「ミロクはそれを一日三十分やって貰います。慣れないうちは、十五分を二セット。頑張ってくださいね? ふふふ」
「は、はい……」
そうして、各々、四人での修行が開始されるのだった。
「それでは、シッダールタ。私の名はカンノン……こちらはチカと言います。これから一緒に苦行をすることになりますが、よろしくお願いします」
「観音様、どういった修行をなさるおつもりなのでしょうか?」
観音様はとりあえずと、いつも僕がやっていたトレーニングメニューを組んでくれた。
「まずは瞑想をしてもらいます。ミロク、禅の修行はサボってはいませんでしたでしょうね?」
「禅ですか……というと、壁に向かって坐禅をする感じになりますね。目は半眼にして足を組む感じになります」
「あなたはとりあえず、
「はい……ですよね……」
そうなのだ、僕はまだ
結跏趺坐とは、左右の足の甲をそれぞれ反対側の股ももの上に置いて、足の裏が上向きになるように座ることである。禅宗での正しい座り方で、慣れないうちはこれが体がバキバキになるような感じでとても辛いのだ。仏が悟りを開いた時の姿だと言われている。
半跏趺坐とは片方の足を他方の足の股にのせてすわることで、菩薩坐とも言われている。この形で座る人がほとんどなのではないのだろうか。禅の初心者におすすめの形なのである。
「シッダールタにはこの半跏趺坐から始めてもらうことになります。よろしいですね?」
シッダールタは、だだ、ありがとうと返事をしてすぐに坐禅の形を組んだ。
「わかりました」
……。
「さすが、形になっています……。この分ではすぐに結跏趺坐をマスターしてしまいそうですね」
僕はただシッダールタの様子に、ただ感心をするだけだった。さすが仏教をこの世に教えられただけある。常人が図るレベルでは考えてはいけなかったのだ。
「チカにも結跏趺坐をやってもらいます。ああ、チカはもうこの形は組めていたのでしたね、ではいつもの様に組んでみてください」
「ええっ!? チカ……お前! 結跏趺坐をもうマスターしていたのか!? そ、そんな……その歳で……僕はそんなに遅れていたのか……」
僕は何故かまた涙目になり、チカの坐禅を組む様子を見ていた。確かにサマになっていた。凄すぎる、僕はなんだか情けなくなった。
「でも、この成人の体ってのは慣れないものだな……。なんか上手く組めないしなあ」
……。
「チカ、お前……成人の女性になっても体型があまり変わっていないな」
千佳の体型はSサイズの服が丁度良い感じなのだろう、何故だろう、僕はちょっとだけ嬉しかった……。
「ミロク……いいか? あんまり俺の体をジロジロ見るんじゃねぇぞ、間違っても色目なんか使うなよな、分かってるよな?」
「わ、分かってるよ!」
そして、僕も試しに結跏趺坐を組もうとしてみる……やっぱり慣れないものだなあ。
「なんだ、ミロクも組めているじゃないか、慣れだよ、慣れ。一日ちょっとずつやっていれば身につくって。頑張るんだぞ? ミロク!」
うう、優しいなあ。
「ミロクはそれを一日三十分やって貰います。慣れないうちは、十五分を二セット。頑張ってくださいね? ふふふ」
「は、はい……」
そうして、各々、四人での修行が開始されるのだった。