第6話

文字数 200文字

 やれやれ。
 僕が胸を撫で下ろすと、ドアの向こうから、ヒックヒックという声が漏れてきた。
 泣いているのだろうか。
 僕はスコープで彼女の様子を覗き込んだ。
 やはり長い前髪で顔を覆ったまま、肩を震わせていた。

 彼女は彼女で、そのマサシという男に翻弄されていたのだろうか。
 今夜の自分と思い重ねると、彼女の泣き声が自分のそれのようにも聞こえてくる。
 
「だ、大丈夫、ですか」
 つい、僕の声が詰まり気味になる。
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