第11話

文字数 285文字

 唐突に、ドサッとベランダに重たい紙袋でも放り込まれたような音がした。
 僕は上半身を起こして、その方向を見たが、漆黒の闇に溶けて何も見えない。

(引っかかっていた何かが落ちただけか?)
 外に出て確かめることもなく、酔いにまかせて再び僕は横になったが、その瞬間、獣じみた叫び声がした。
「うるああーっ!」

 僕は飛び起きたが、ガっと網戸を開けて誰かが入ってきた。そして、僕にひんやりとしたものが覆いかぶさった。
「うるああーっ!」

 焦って僕はそれをはねのけようとしたが、それは僕の身体にしがみついて離れなかった。
 僕は、しきりにもがいた。

「ち、ちょっと待って! 誰? 助けて!」
 
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