第5話

文字数 299文字

 と思ったら、ガチャガチャガチャガチャと、しきりにノブを引く音がした。
 僕は、飛び上がるくらい驚いた。
 押し入ろうというのか。
 続けてダンダンダンと、ドアを叩く音がする。

「どうして? ねえ、どうしてなの?」
 
 女性は、絡むような詰問口調になったが、そのような言われ方をしても初対面の僕は答えようがない。
 僕は、彼女をなだめるつもりで立ち上がった。
 部屋を間違えているのでは、と声を掛けたが、彼女はドアを叩き続けた。 

「マサシ! いいから出て来なさいよ!」

 マサシ?
 やはり、間違えている。
 それで、僕はマサシではありません、その人はここにはいませんよ、と告げた。
 すると、しんと静まり返った。

 
 
 
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