第4話
文字数 229文字
やっぱり、そんなわけなかったなと、僕は気落ちして尋ねた。
「どちらさまで……?」
「あははははっ!」
被せるように、甲高い女性の笑い声がした。
それが純粋に楽しそうというよりは、どこか意地悪な響きを含むことを僕は聞き分けていた。
職場にそういう人がいるのだ。
その笑い声は、その人を想起させたのである。
「あははははっ!」
彼女はいつまでも笑い続けていたが、それで名乗ろうともしない。
僕はうんざりしたのと気味が悪いのとで、それ以上相手にせず、部屋に引き上げた。
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