証し《あかし》~ 第2話

文字数 735文字

<第一分類>
信者たちは、信者以外の人々に対して、自らがキリスト教の信者であることを表明します。

と言ってももちろん、道行くひとりひとりに、というわけではなく、常識的な意味で自分のことばや行動が見聞きされる生活範囲において、であります。
なぜそうするのか、といいますと、

①ここに信者がいるのだ、と知らしめるため

信者たちから見れば、信者以外の人々は、その生命や生活が荒涼とした砂漠のようなものでありながら、多くの場合それに気づいていない人々なのです。
しかし、何かのきっかけで、彼らがそういう人生に悩んだり疑問をもったりしたときに、その疑問の解決方法を知っている者が、もしくは、その疑問を解決してくれる方を知っている者が、すぐ近くにおるのだよ、ということを暗示しておくのです。

②自らを信者として意識してもらうため

ポジティブな説明をすると、信者たちはこう考えるのです。
『もし、自分が何かりっぱな言動をしたとしても、信者であることを表明していなければ、信者以外の人々は、ただ単に「りっぱな人」として意識してしまう。それではいけない。「さすがはクリスチャンだ」というふうに、神やキリスト教に原因づけられて意識される必要がある。そうでないとせっかくのりっぱな言動も、ただの”証し”のための”証し”になってしまうのだ』

ネガティブな説明をすると、信者たちはこう考えるのです。
『もし自分が自堕落な生活をしていたら、それを見た信者以外の人々は「あれでもクリスチャンなのか」と思い、キリスト教を知ろうとか、信じようとかいう気にはとてもならないのだ。そんなことでは”証し”にならないし、神にも顔向けできなくなってしまう』というわけで、自堕落への歯止めの役を果たし、悪い”証し”をできないようにします。
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