episode:10

文字数 7,216文字


ギルド『蒼い月』


この世界の四大大国のひとつ、東の国「ランスニュイア」の国家公認ギルド。

その戦力は1国と渡り合えるほどの戦力を持っていた。

ギルドマスター「アルテミス」の死後、ギルドは衰退し解散する。


拠点だった酒場宿には、最後のギルドメンバーの1人「オルファリス」が、

アルテミスの子「アテナ」と、戦災孤児で引き取った「パラス」の

2人の少女と一緒に慎ましく暮らしていた。


ある日、助けを求める不思議な声のもとへ、夜中部屋を抜け出し向かう少女たち。

その人物は光る羽根を生やした、大天使なる存在「ミカエル」であった。


ミカエルは捕らわれた場所から解放してくれた礼として、

パラスには「亡くなった両親へいつか逢わせる事」約束し、

アテナには「パラスの夢を叶える為のチカラ」を授けた。


"血の契約"


そしてミカエルは二人へ忠告する。「この村を離れるように」と。

2人は忠告通り、急いで村を飛び出して山を登る。

振り返ると、彼女たちの育ったエンドラの村は業火に覆われて焼かれていた。


何もかもを失った2人。


衰弱したパラスを背負い、数日山を登るアテナ。
2人はその後、ランスニュイアの女軍兵「アストライア」に保護される。
そしてその者の使用人として働きながら学び、国の兵を目指すことになった。

生きてゆくために始まる新しい生活。


そんな日々の中、アテナはある不安を抱えていた。

しかしアテナはミカエルとの血の契約後から、食欲がまったくわかなくなる。


食べなくても平気な奇妙な身体。


アテナは自分の体の異変や、ミカエルとの出来事を全て、

アストライアへと打ち明けた。


アストライアはその聴取を元に、エンドラの業火事件を更に調べ直すのだった。


一方、城下町では謎の失踪事件が多発していた。

休日中に忽然と姿を消したパラスを、アテナは必死で探し回る。


やがて出会った謎の青年。その手に抱えていたものは、意識の無いパラスだった。

アテナは青年からパラスを奪い返すと、襲い来る青年と戦いはじめる。


~登場人物~


■アテナ=パルティナ

栗色くせっ毛の短い髪。栗色の瞳。男の子みたいな容姿をした少女。

事故死したギルド「蒼い月」のギルドマスター、アルテミスの一人娘。

活発で行動的だが、お馬鹿でお調子者。パラスが大好き。


■パラス=ルイアーナ

長くまっすぐ伸びた金色の髪。真っ白い肌。人形の様な可愛らしい容姿の少女。

戦災孤児となった後、ギルド「蒼い月」の幹部ゼファに拾われる。

時折我儘な面もあるが、人の話をよく聞く優等生。アテナが大好き。


■オルファリス=ルアイル

薄氷のような美しい容姿。青色の長髪。青色の瞳。難病を患った女性。

アテナとパラスと3人で、解散したギルド拠点の酒場宿に住んで暮らしていた。

元ギルド「蒼い月」の副マスター。


■ゼファー=ユイオン

汚らしい身なりの無精ひげを生やした中年男。

難病のオルファリスを気にかけ、酒場によく顔を出していた。

元ギルド「蒼い月」の幹部。


■ミカエル

超長身の謎の男。自分を大天使と名乗り、アテナと血の契約を交わす。


■アルテミス=パルティナ

束ねた栗色の髪。栗色の瞳。「群青の月姫」という異名を持つアテナの母。

かつて精鋭ぞろいのギルド「蒼い月」のギルドマスターだったが、

魔法詠唱実験で事故死する。(その後ギルドは衰退し解散。)


■アストライア=クェス

赤い短髪。赤い瞳。凛とした佇まいに華がある男勝りな女性。

ランスニュイア国の軍兵(大佐)。諜報活動が主な仕事。

アテナとの出会いに運命を感じ、生きる道を示す。


■アヤ=マキナーシブル

黒色の長髪。褐色肌。アストライアに使える使用人。

常に無表情で正面を見たまま目を合わせずに淡々と喋る長身の少女。

口調も表情も硬いが、利口で気づかいが出来る使用人として優秀な子。


■リゼット=リスタニア
2つ結びのオレンジ色の髪。八重歯がチャームポイントの可愛らしい少女。
使用人4人の中では最年少。年の割にはしっかり者で仲間想い。
使用人の先輩として、パラスに色々と教えることになる。


~この世界に存在する4つの大国~


●北の国「ロードレー」

大陸一の軍事大国。
世界の屈強な戦士達が、1度はこの国の兵士を夢見て目指す。

絶対的身分階級制度があり、軍はもちろん、
町民にも収める税の多さによって、いくつかの身分が存在する。
その制度に逆らう者は容赦のない処罰を受け、

見せしめに街中で処刑される事も珍しくなかった。


また奴隷制度もあり、

主に身寄り無い孤児達が、最下級身分として物のように売買されている。


そんな13代目ロードレー国王が統治する厳しい階級制度だったが、
それ以外の法律は穴だらけで、その緩い法を好んで住む人々も多かった。


さらには"大国最強"という傘の元に集まる人も少なくは無い。
人口も、軍事力も、大陸一である。


●南の国「セルクシエ」

魔導士として代々、才受け継ぐ一族達が多く住む魔法大国。

その一族は古くより国兵として仕え、様々な魔法で国を守り、豊かにしてきた。


魔法の素晴らしさに魅入られた多くの世界の若者は、

この国で猛勉強をし、国公認の魔導士を目指す。

しかし魔法の才能に恵まれない者は、国を後にする他ない厳しい現実も待っていた。


セルクシエは過去、ロードレーと戦争をおこして大きな損害を受けたが、

ランスニュイア国仲介の元、なんとか協定を結び停戦。

しかし今も一触即発の状態は続いている。


●東の国「ランスニュイア」

現在アテナ達が住まう国。

科学研究、工業機器等の様々な開発・生産に長けた技術大国。


元々はセルクシエの才無き流れ者と、

ロードレーの厳しい階級制度に反対する人々で集まった山の上の小さな村であった。

その後自分達の技術をどんどんと発展させ、

急速に大国にまで成り上がった、歴史が浅い国である。

まだ小規模な国だった頃、そんな素晴らしい技術を狙うのはロードレーだった。
しかしギルド"蒼い月"の存在で手出し出来ず、

ランスニュイアが大国に発展するまで時は流れてしまう。

そんなランスニュア国王は代々、
更なる平和と、住まう民を第一に考え、

技術開発への投資で国を発展させ豊かにしてきた。


●西の国「イースルー」

国交をすべて断っている孤立した宗教国家。
通貨すらなく、生活する信者は自然と調和した原始的生活を送っている。

人口は少数だが大陸最古の国であり、灼熱の砂漠の中に存在する。
資源も少なく、そこに住まう信者の暮らしは決して豊かとはいえない。


古より伝わる神伝書や禁断魔法書など、
沢山の書を教えとして、神を崇め暮らす謎多き国である。


激しく降る夜雨。

けたたましい雨音は、パラスの泣き叫ぶ声をかき消すほどだった。


死人のような謎の青年は、近場に落ちたアテナの短剣を拾い上げると、

仰向けに倒れた瀕死のアテナへユラユラと近づいていった。

「だめ…だめアテナ逃げて…いや…。;;」

真っ白い手に握りしめられた短剣。

やがて青年はアテナの心臓を目掛け、その刃を躊躇いなく振り下ろした。

―――――。

辺りには血が飛び散る。


その惨状を青年の背中越しに見ていたパラスは、

手を伸ばして何度もアテナを呼びながら泣き崩れた。


カランと短剣の落ちる音が微かに聞こる。


その音に、次に殺されるのは自分だと恐怖したパラス。

涙と雨に濡れたグシャグシャな顔を、青年の方へ恐る恐る向けた。


すると何か様子がおかしい。

手で瞳を拭いよく目を凝らすと、青年はガクンと地面へ両膝をついた。


何が起きたのかわからなかった。だが次の瞬間理解する。


その場に真っ赤な軍服姿がヒラリと目に飛び込むと、

パラスはおもわず大声で叫んだ。


「大佐!!!!!;;;」

アストライアは青年にふるった剣を身構えたまま、

ぐったりした血まみれのアテナを抱きかかえている。


傷を負った青年は表情一つ変えず、膝をついたままキョトンと首をかしげた。

アストライアは青年に言う。

「致命傷ではないが、足の深手だ。

 動くことはままならんぞ。大人しくしろ。」

アストライアはアテナを抱え、

剣先を青年に向けて身構えたままパラスの方へと回り込んだ。

「無事か?パラス」
「はい;;でもアテナが・・・;;;」

アストライアはアテナの首の脈を確認する。

そしてそのままパラスへと預け、青年に鋭い眼光を向けた。


青年は見向きもせず、やがて首をコキっと鳴らしてしゃべりだした。

「今日ハ…、本当ニ厄日でス。消さネバなラヌ、命ガ増エ忙し・・・」

アストライアは語り途中の青年の背中を、

肉眼でも追いきれない程の剣速で切り付けた。


しかし、その剣は空を切る。


忽然と姿を消した青年。

雨は次第におさまり小雨に変わっていくと、シンとした空気に包まれた。

怯えるパラスはアテナを強く抱きかかえ、

キョロキョロと青年の姿を探す。


一方、アストライアはその場にある工場の屋根上に目を向けた。

その先にはユラリと影を揺らし、

屋根をきしませて立ち上がる青年が姿があった。


青年はゆっくりポツリと言葉を発した。

「ナルほド、」
アストライアは剣先を青年に向け、言い放つ。
「貴様はここで捕まえねばならぬと、

 私の直感が言っている。殺しはしない。降りてこい。」

青年は言葉を返す。
「捕まエル?人間如きガ思いアガった事を言いまスネ。

 赤髪の子ヨ…コノ傷の報いハ、何時カ必ズ受けテもらイマス。」

青年は血滴る自分の足を掌で拭うと、

それをアストライアを見ながらベロリと舐めとった。


そして雨夜の闇の中へ姿を消した。

アストライアは青年の気配が消えた事を確認すると、素早くアテナを背負った。

そしてパラスの手を引いて、全力で走り帰城するのだった。

ランスニュイア城、

アストライアと使用人が生活する一角の客室。


意識は回復しないまま、医務員フィートの手当てを受けたアテナ。

パラスはずっと手を握り締め、傍に付き添っていた。


部屋の扉をノックする音が聞こえると、アヤとリゼット、アストライアが入室する。

アストライアはパラスの肩に手を添えて、語りかけた。


「パラスも手当ては受けたのか?」
「私はなんともありません。けどアテナはまだ・・・。」
「そうか…。もし話せそうなら、あの場で何があったのか話してくれるか?」

パラスはアーテルから聞いた事件の事。

その後、自分の記憶のある部分だけアストライアに説明した。


アストライアは小さく頷き言葉を返した。

「その失踪事件は私も知っている。出かけた2人が心配になってな。

 見回りも兼ねて、迎えに行こうと思ったのだ。」

「ありがとうございます。大佐が居なかったら私たちは・・・。」
「礼はいい。私にとって皆は家族だ。」

アストライアはそう言いながら隣の居るリゼットの頭を撫でると、

リゼットはニコりと笑顔を返した。


アストライアは椅子に腰かけ、手を組んで話を続ける。

「あの青年を斬り付けた私の剣は、

 間違いなく足へ深手を負わせた手ごたえがあった。

 にもかかわらずあの跳躍力。並外れている。おそらく人間ではない。」

暫く会話が途絶え、静寂に包まれる。

アストライアは椅子から立ち上がると、部屋の柱時計を確認した。

「私は兵を連れて、もう一度あの現場へ行ってくる。」
パラスは虚ろな目で、アテナの手を強く握った。
「私、今夜はこのままアテナについてます。」
「そうか・・・。無理はするなよ。パラス。」
「はい・・・。大佐もお気をつけて。。。」

キラキラと青白くきらめく場所。

あたりを見渡すと、美しい水晶に囲まれた世界が広がっていた。


アテナは裸足で、またどこかへと向う。


神秘的な気分に包まれるこの懐かしい感じ。

あぁそうだ思い出した。あの時と同じ。またママに逢える!


心弾ませてパタパタと走り出した。


やがてたどり着いた白い神殿の中へと入っていく。

暫く進むと、途中で誰かがしゃがみこんで泣いているのを見つけた。


アテナは心配そうに、その子へ駆け寄り声をかける。


「どうしたの?パラス。泣いてるの?」

何故今、自分がその子をパラスと呼んだのか、

そんな事はまったく気にならなかった。


するとパラスが答える。


「私の大好きなアテナが死んじゃったの・・・。」
「・・・?w何言ってるのパラス。私ここにいるよ?w」

アテナは困惑しながら苦笑いでそう返答した。

しかしパラスは依然シクシクと俯いて泣いている。


耐えかねたアテナは、パラスの肩を掴んで自分に振り向かせた。

「見てほら!ね?w」
パラスは冷ややかな目をアテナへ向けて口を開く。
「あなたは、だれ・・・?」

その言葉に動揺したアテナは、パラスの肩を掴んだ手に力を入れる。

すると掴まれた肩がグシャリと潰れて血を流しだした。


慌てて手を放すアテナ。支えを失ったパラスはその場に倒れ込むと、

地面に頭をぶつけて血まみれになっていった。


やがてどんどんと、血だまりをつくる死骸へと変わり果てていく。

その惨状を目の前にして、アテナは喉を傷めるほどの叫び声をあげた。

「うわああぁぁぁぁぁ!!!;;;」

アテナは泣きながら必死に血溜まりをかき集め、

その変わり果てた原型の無いモノを抱きしめる。


するとどこからか、クスクスと笑い声が聞こえてきた。

「あーあ。パラスちゃん死んじゃったねー。」

アテナは涙にぬれたグシャグシャの顔を、その声の方へと向けた。


するとそこに可愛い服に身を包んだ、無邪気に笑う少女がソファへ腰かけている。

さっきの激しい悲しみも忘れ、アテナはキョトンとその少女へ尋ねた。

「だれ・・・?パラスの事知ってるの?」
少女は口元にうっすらと笑み浮かべて答えた。
「私はアリスって言うの。パラス?って子の事はよく知んない。

 でもアテナ、あなたのことはずっと見てたよ。やっと逢えた、嬉しいー♪」

「私を見てた?どこで?」

「此処でアナタを見たあの日から。ずーっと。」

「?」

話がまったくよくわからないアテナ。

少女はソファから立ち上がると、アテナの方へと近づいてゆく。

「ねぇねぇアテナ!私あなたの事すっごく気に入っちゃったの。

 私とずっとここに居よう!?楽しいおしゃべりいっぱいしたい!」

アテナは申し訳なさそうに、少女に言葉を返した。
「ごめん・・・わたしパラスを探しに行かなくちゃ。」
「なにそれ・・・うっざ。」
アテナの顔を覗き込んで、そう言い放った少女から笑顔が消える。

そして足元に広がる肉片と血だまりを、何度も強く踏みつけながら話を続けた。

「だってほらパラスちゃん、

 こん!なに!グチャグチャに!なっちゃってるじゃん!」

アテナは再びさっきの悲しみを思い出すと、涙をポロポロとこぼした。


しばらく泣きながら佇んでいると、そこへ誰かの声が聞こえてくる。

それは聞き覚えのある安らぐ声。アテナは思わず名前を呼んだ。

「…パラス?」
目の前へとやってきたもう1人のパラス。

アテナの手を取り、柔らかく微笑んで頷いた。

「無事だった・・・よかった。パラス;;」

パラスは手を引いてアテナをどこかへ導く。

その光景に、少女の顔はどんどんと不機嫌になっていった。


そして去っていく2人に言い放つ。

「私の方が!アテナを必要としてるのに!どうせお前ら2人は・・・・・・・・・


 ・・・


 ・・


 ・

瞼ごしに光を感じると、アテナはゆっくりと瞳をあけた。


見慣れた装飾。客室の天井。

開いた窓から風が入ると、清々しい外の匂いがした。

ふと隣を見るとパラスがそこに居て、アテナの手を握ったまま眠っている。


「パ……ラ…ス。」

丁度そこへアヤが水桶を持ってやってきた。

目を覚ましたアテナに気が付くと、桶を置いて駆け寄り話しかける。

「アテナ、気が付かれたのですね。本当に良かった;;」
アテナは消えそうなかすれ声で返答する。
「アヤ…。わたしなんで・・・ここに・・・?」
「アテナが何者かに殺されそうになった所を、

 大佐が救って下さったみたいです。

 その後、パラスと意識ないアテナを連れてここへ。」

「わたし・・・また・・・アスさんに…迷惑かけちゃった・・・。」

アヤは安堵の表情を浮かる。

水桶から濡れたタオルを取り出し絞ると、それをアテナの額へのせた。


そして椅子にかけてあった毛布を1枚広げると、

それを眠るパラスにふわりとかけた。

「パラスはほとんど眠らず、

 ずっとこのままで食事もほとんど召し上がってないのです。

 アテナ、今は何も考えずにゆっくり休みましょう。

 パラスの事、後のことも全部、私に任せて下さい。」

「ごめんね・・・アヤ…。」
「早くまた、元気な姿を見せて下さいね。アテナ。」
「うん…。」
アテナはそのまま目を閉じて眠りについた。

ランスニュイアを騒がせた失踪事件。


その日以降、更なる事件は報告されなくなる。

しかし以前の被害者たちは、今も見つかっていない。


アストライアはこの事件について、報告書を補佐長アルベルアに提出。

その後アルベルアは夜の城下町へ、警備兵を巡回させる案を王へと進言した。


王はその進言を受け入れ、夜の警備強化をグリシスへ指示したのだった。

ここは何処かの室内。


男はテーブルで上品に紅茶を飲みながら、

目の前に座る青年と話をしていた。


光零れる窓を見つめる男。

ティーカップを持ち、うっすら困り顔で口を開いた。

「あまり他国で無茶されても困りますね。

 もしこちらまで疑いが及んだ時、後処理が大変なのですから。」

青年は椅子の上で両足を抱え、男へ言葉を返す。
「近場デ集めテモ良かッタのデスガネ、ソチラの方ガ私モ楽でスシ。」
「成程。一応私を気遣ったつもりだったのですね。」

男はそう言うと、静かにティーカップをテーブルの上に置いた。


暫くして青年は血の気無い白い手を口元へ近づけると、

親指の爪を噛みながら、会話を続けた。

「嗚ア、ソウいエバ。少し気にナル人間ガ居まシテネ。」
「貴方が人間に興味を…?驚きました。一体何者でしょうか?」
「ミカエルと似タ生の形。シカシ今はマダ、小さナ存在デスヨ。

 いずレマタ、逢うデショウ。罪深キ赤髪の子モ…ネ。」

男は青年の話を興味深く聞きながら、不敵な笑みを浮かべて言葉を返す。


「ふふふふ。まあいずれにしても暫くは大人しくしてて下さいよ…?」


「…フォルテシモ。」

episode:10 死 神
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登場人物紹介

アテナ=パルティナ

栗色くせっ毛の短い髪。栗色の瞳。男の子みたいな容姿をした少女。

事故死したギルド「蒼い月」のギルドマスター、アルテミスの一人娘。

活発で行動的だが、お馬鹿でお調子者。パラスが大好き。


パラス=ルイアーナ

長くまっすぐ伸びた金色の髪。真っ白い肌。人形の様な可愛らしい容姿の少女。

戦災孤児となった後、ギルド「蒼い月」の幹部ゼファに拾われる。

時折我儘な面もあるが、人の話をよく聞く優等生。アテナが大好き。


アヤ=マキナーシブル
黒色の長髪。褐色肌。アストライアに使える使用人。
常に無表情で、正面を見たまま目を合わせずに淡々と喋る長身の少女。

口調も表情も硬いが、利口で気づかいが出来る使用人として優秀な子。

リゼット=リスタニア
2つ結びのオレンジ色の髪。八重歯がチャームポイントの可愛らしい少女。
使用人4人の中では最年少。年の割にはしっかり者で仲間想い。
使用人の先輩として、パラスに色々と教えることになる。

アストライア=クェス

赤い短髪。赤い瞳。凛とした佇まいに華がある男勝りな女性。

ランスニュイア国の軍兵(大佐)。諜報活動が主な仕事。

アテナとの出会いに運命を感じ、生きる道を示す。

オルファリス=ルアイル

薄氷のような美しい容姿。青色の長髪。青色の瞳。難病を患った女性。

アテナとパラスと3人で、解散したギルド拠点の酒場宿に住んで暮らしていた。

支援魔法において大陸一の実力を持つ、元ギルド「蒼い月」の副マスター。

ゼファー=ユイオン

汚らしい身なりの無精ひげを生やした中年男。

難病のオルファリスを気にかけ、酒場によく顔を出していた。

イースルー国の黒魔術を扱う魔術師。元ギルド「蒼い月」の幹部。

アーテル

ランスニュイアの城下町で大型露店を営む商人。

アストライアの使用人達が、毎日食材を買いに通う。

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