第十一話

文字数 239文字

さわやかなあお空のあおを
瞳に映した少年が
虫取り網片手に
緑色の地を蹴って
駆けていく

私の必死の呼びかけにも答えずに
私をどんどん引き離していく

たまらず私が彼を捕まえようと
手を伸ばすと

彼は凶兆を孕んだ声で泣いた

明け方五時
白濁した意識がこめかみから流れ落ち
床に溜まりをつくるころ

私は目を開けた

そして聞いた

私の家の屋根の上を走り回る
何者かの足音を

そして見た

この淀んだ瞳で

そいつが
黒い翼を広げて
鳴きながら
食い荒らし
奪い去っていくのを

ガラクタに埋もれてもなお
静かに輝き
眠っていた

私の大切な
宝物を

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