第十九話

文字数 314文字

「好き」
「俺も好き」

私の前を歩く
一組のカップルの間で交わされる愛の言葉

これ程までに簡略化される愛の言葉は
他にあるだろうか

飾りがないゆえに
純粋で

誇張がないゆえに
誠実で

嘘がない

愛はただの感情だ
ただのまやかしだ

そう言う人もいるだろう

でも
彼らの間で流れる温かな空気は
彼らの間で交わされる優しい微笑みは

決して
あやふやなものなんかではなくて

手を伸ばせば
今にも触れることができそうで

断じて
幻のようなものなんかではない

たとえそれが
消えゆく運命にあろうとしても

愛の言葉は
私を優しくさせる

それは
私を飛翔させる

まだこの世に
生きていてもいい
そんな価値があるような気がして

生きてさえいれば
まだそれに
触れる事が出来るとでもいうような

そんな予感をさせてくれて

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