第19話:ロシアがウクライナ侵攻を開始

文字数 2,095文字

 2月8日、マクロンは、ウクライナの首都キエフで大統領のゼレンスキーと会談した。マクロンは、「ミンスク合意」の履行が「平和と政治的解決につながる唯一の道だ」と強調した。2月10日、フランス・ドイツ・ロシア・ウクライナのノルマンディー・フォーマット参加国外相はドイツの首都ベルリンでミンスク合意などをめぐり高官協議を開いた。

 しかし、ロシア側は、合意の完全履行をウクライナ側は合意項目の修正などを求め合意に至らなかった。事前の通達通りロシア・ベラルーシによる合同演習「同盟の決意2022」が開始された。2月11日、ウクライナ政府はウィーン文書に基づき、国境付近での軍事的動向を48時間以内に説明するようロシア政府に要求した。

 これが無視されたため、ウクライナはOSCE「欧州安全保障協力機構」の加盟諸国とロシアとの会談を要求した。アメリカ大統領補佐官のサリバンはホワイトハウスで行った記者会見でロシアはウクライナ侵攻に十分な兵力を集結させたとし侵攻はいつ開始されてもおかしくはないと告げた。出国が困難になる恐れがあるとしてウクライナ国内のアメリカ国民に対し1~2日以内に退避するよう呼び掛けた。

 2月12日、バイデンがプーチンと会談すると、ロシア外交顧問のユーリ・ウシャコフはウクライナ侵略というロシア脅威論はヒステリーだと述べた。2月13日、この日までに十数ヶ国の政府がウクライナからの退避を自国民に勧告し、ウクライナ軍の訓練に参加していた150人のアメリカ軍兵も退去を行った。また、ロシアも在ウクライナ大使館や領事業務の縮小を行った。

 2月14日、ロシア海軍が黒海で軍事演習を行った。15日ドイツ首相のショルツは、クレムリンでプーチンと会談した。また同日には、ロシアが部隊の一部が演習を終え、国境地帯から一部撤収を開始したと発表した。しかしアメリカ政府は撤退は虚偽であると見た。そして、逆に部隊の増強が行われていると考えた。

 同日、ロシアの下院では同年1月からロシア共産党が提出していたドネツク人民共和国とルハーンシク人民共和国の独立承認をプーチンに要求する決議が可決された。BBCがロシアがウクライナ国境付近に約13万人規模の軍部隊を配置していると報じた。ロシアとウクライナの国境地帯には通常は3万5千人程度の兵士が配備されている。

 2022年2月16日、緊迫した状況が報道されると、外相のラブロフは「ヨーロッパでの戦争が今度の水曜日に起こるなんてことはない」と噂を嘲笑した。2月17日、国連安保理では、議長国のロシアによって設定された。ミンスク合意についての会合が開かれた。この会合でアメリカ国務長官のブリンケンはロシアが数日中にウクライナを攻撃できる準備を整えている主張した。

 ロシアがウクライナ侵攻のための口実を捏造することを計画していると述べた。ロシア外務次官のヴェルシニンは「ロシアがウクライナを攻撃するという根拠のない非難」を提示する「サーカス」にしようとしている。その様にアメリカを非難した。同17日、ロシア外務省はアメリカに1月下旬の文書に対する回答を送った。

 2月18日、アメリカ大統領のバイデンは、プーチンがウクライナ侵攻を決断したと確信していると述べた。OSCEは、境界線のウクライナ側とルハーンシク・ドネツク側の両方で計1566件の停戦合意違反行為を確認したと発表した。2月19日「ルハーンシク人民共和国」と「ドネツク人民共和国」の両指導者が「総動員令」を布告した。

 また18歳から55歳までの男性が実効支配地域から出ることも禁じている。2月20日、この日は「同盟の決意2022」が終了予定であったが、ベラルーシ国防相のフレニンはドンバスの情勢緊迫などに関連して周辺国が軍備を強化している語った。そして、大統領であるプーチン・ルカシェンコ両氏が「部隊の戦闘能力の点検」継続を決めたと発表した。

 さらに発表の中で、米欧によるウクライナへの武器・兵器供与を念頭に「周辺で最新兵器が蓄えられている」と指摘。最近のNATO側の軍事活動の活発化が「ロシアとベラルーシを狙っていることは明らかだ」とし、演習の延長継続を正当化した。駐米ロシア大使のアナトリ―・アントノフは、ロシア軍は「誰も脅迫しない。侵略はありえない。そのような計画はない」と述べた。

 2月22日、ウクライナ大統領のゼレンスキーは、ロシアによる親露派地域の独立承認を受けロシアとの国交断絶を検討していると述べた。ロシア議会上院はロシア軍の国外への派遣について全会一致をもって承認した。アメリカ国務長官のブリンケンは記者会見を行いロシアの独立承認は「侵攻の始まり」と非難。2月24日に予定していた米露外相会談を取り止めると発表。

 アメリカ・ホワイトハウスのサキ報道官は「バイデン米大統領とロシアのプーチン大統領との会談は現時点では「当然」選択肢ではない」と述べた。2月23日、ウクライナは、既に発令されている東部の親露派地域を除く全土に非常事態宣言を発令する方針を決定し、ウクライナ軍は予備役の招集を開始した。
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